路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【特権を問う】:「なぜ都心でやるのか」 元米軍人も首をかしげる低空飛行問題

2024-12-05 23:55:00 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:「なぜ都心でやるのか」 元米軍人も首をかしげる低空飛行問題

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:「なぜ都心でやるのか」 元米軍人も首をかしげる低空飛行問題

 首都・東京の中心部で米陸軍ヘリ「ブラックホーク」などが低空飛行を繰り返している問題で、在日米軍司令部は「全ての飛行は任務に不可欠」と説明する一方で、個別の飛行目的については口を閉ざしている。住民が不安を抱える中で理由が判然としない低空飛行が続けられている現状に、元米軍人2人は駐留する日本の国民感情に配慮する重要性を指摘した。

アンドリュー・ベイセビッチ氏=2021年3月18日、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」から

 アンドリュー・ベイセビッチ氏=2021年3月18日、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」から

 「日本の人々をいら立たせることは米国の利益にならない」。米退役陸軍大佐で米ボストン大のアンドリュー・ベイセビッチ名誉教授(米国外交)は日本で低空飛行が問題視されている状況についてそう強調した。1969年に入隊し、ベトナム戦争に従軍。帰還後、部隊の連隊長などとして冷戦終結前後の81~84年と88~92年にそれぞれドイツに駐留し、ブラックホークを指揮した経験がある。退役後、米ブッシュ政権のイラク戦争に早期から反対し、著書「アメリカ・力の限界」(邦題)は米国で2008年に出版されてベストセラーになった。

 東京都心部における米軍機の飛行目的は…、

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 政治 【政策・特権を問う・特集日米地位協定】  2021年03月31日  06:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【在日米軍司令部】:横田基地から都心に移転案…自衛隊との連携円滑化狙い・六本木の米軍用地が候補か

2024-12-05 23:54:50 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【在日米軍司令部】:横田基地から都心に移転案…自衛隊との連携円滑化狙い・六本木の米軍用地が候補か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【在日米軍司令部】:横田基地から都心に移転案…自衛隊との連携円滑化狙い・六本木の米軍用地が候補か 

 【ワシントン=田島大志】自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの見直しで、米軍が横田基地(東京都)に置いている在日米軍の司令部を東京都心に移転させる案が浮上していることが明らかになった。米軍準機関紙の「星条旗新聞」が12日に報じた。自衛隊が今年度末に設置する「統合作戦司令部」との連携を円滑にする狙いがあるが、早期の実現に向けて不透明な要素もある。

 自衛隊の統合作戦司令部が新設される東京・市ヶ谷の防衛省と都西部の横田基地は30キロ以上離れており、移動に時間がかかることが課題となっている。同紙によると、移転先として米軍臨時ヘリポート「赤坂プレスセンター」が位置する港区六本木の米軍用地が候補に挙がっている。実現すれば、防衛省との距離は約3キロになる。ただ、戦後に米軍に接収された土地であり、都が米軍に返還を求めてきた経緯がある。

 米国防総省は、統合作戦司令部設置に合わせ、来年3月を目標に在日米軍の組織改編を進める方針だ。トランプ新政権が発足するため、検討作業は遅れるとの見方が強まっている。日本政府関係者は14日、都心への移転案について「聞いていない」と語った。

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 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・米国防総省・在日米軍・在日米軍基地】  2024年11月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特権を問う】:米軍ヘリ、六本木でタッチ・アンド・ゴー 密集地を低空で旋回

2024-12-05 23:54:50 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:米軍ヘリ、六本木でタッチ・アンド・ゴー 密集地を低空で旋回

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:米軍ヘリ、六本木でタッチ・アンド・ゴー 密集地を低空で旋回 

 在日米軍ヘリが首都・東京の中心部で日本のヘリであれば違法となる低空飛行を繰り返している問題で、米海軍ヘリ「シーホーク」が渋谷駅や六本木ヒルズ周辺を低空で旋回するなどした後、六本木の米軍ヘリポートに着陸し、わずか数十秒後に離陸する様子を毎日新聞が確認した。専門家は「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる離着陸訓練と指摘している。離着陸を5回繰り返したこともあり、人口密集地で事故の危険性がある訓練が行われている。

米軍機によるタッチ・アンド・ゴーとみられるおおよその航路(1月5日)

    米軍機によるタッチ・アンド・ゴーとみられるおおよその航路(1月5日)

 毎日新聞は昨年7月から約半年かけて都心を一望できる高さ200メートル級の複数地点から調査する中で、こうした飛行を確認した。

 シーホークは昨年8月21日午後0時45分ごろ、神奈川方面から渋谷駅周辺を経由して六本木のヘリポートに着陸。6分後に飛び立ち、約2キロ離れた渋谷駅上空で旋回した。その際の高度は駅直結の商業ビル「渋谷スクランブルスクエア」(高さ約230メートル)を下回り、このビルを軸に円を描くように六本木方面にUターンした。再び六本木のヘリポートに低空で接近して着陸すると、今度はわずか30秒で飛び立ち、渋谷スクランブルスクエアの横を通過して神奈川方面に飛び去った。…

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【特集・日米地位協定・特権を問う】  2021年03月03日  06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特権を問う】:米軍ヘリ、ヒルズ周辺旋回後 六本木で離着陸訓練

2024-12-05 23:54:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:米軍ヘリ、ヒルズ周辺旋回後 六本木で離着陸訓練

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:米軍ヘリ、ヒルズ周辺旋回後 六本木で離着陸訓練

 在日米軍ヘリが首都・東京の中心部で日本のヘリであれば違法となる低空飛行を繰り返している問題で、米海軍ヘリ「シーホーク」が渋谷駅や六本木ヒルズ周辺を低空で旋回するなどした後、六本木の米軍ヘリポートに着陸し、わずか数十秒後に離陸する様子を毎日新聞が確認した。専門家は「タッチ・アンド・ゴー」と呼ばれる離着陸訓練と指摘している。離着陸を5回繰り返したこともあり、人口密集地で事故の危険性がある訓練が行われている。

東京・六本木の米軍ヘリポートに2回目の着陸をした後、わずか30秒で離陸して南青山エリアを低空で通過する米海軍ヘリ「シーホーク」。後方に見えるのは六本木ヒルズ=東京都港区南青山で2020年8月21日午後0時55分、加藤隆寛撮影(写真は動画から)

 東京・六本木の米軍ヘリポートに2回目の着陸をした後、わずか30秒で離陸して南青山エリアを低空で通過する米海軍ヘリ「シーホーク」。後方に見えるのは六本木ヒルズ=東京都港区南青山で2020年8月21日午後0時55分、加藤隆寛撮影(写真は動画から)

 毎日新聞は昨年7月から約半年かけて都心を一望できる高さ200メートル級の複数地点から調査する中で、こうした飛行を確認した。

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【特集・日米地位協定・特権を問う】  2021年03月03日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察】:知ってはいけない 隠された日本支配の構造 著者 矢部宏治

2024-12-05 23:54:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【考察】:知ってはいけない 隠された日本支配の構造 著者 矢部宏治

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:知ってはいけない 隠された日本支配の構造 著者 矢部宏治

 ◆本誌の要点

  • 要点
    1
    日本には米軍の管理空域が存在し、米軍は日本上空にいつでもどこでも優先空域を指定できることになっている。また、日本において、米軍は日本の警察に捜査されることはない。これらはすべて、密約で決められたことだ。
  • 要点
    2
    米軍と日本の官僚は、日米合同委員会という定例の会議をもち、数々の密約を結んでいる。ここで決まったことに関して、外部に公表する義務はない。
  • 要点
    3
    1950年に開戦した朝鮮戦争で米軍が苦戦していたことが、「戦後日本」の在り方を決定づけた。日本は、独立しながらも、占領下と同じように米軍への戦争協力体制を保持するよう、密約や安保法体系によって方向づけられた。 

 ◎要約

 ◆知られざる米軍の支配

 ■日本の空はすべて、米軍に支配されている
Stocktrek Images/Stocktrek Images/Thinkstock

 東京都福生市にある米軍・横田基地の上空を中心に、世田谷区や中野区、杉並区の上空まで広がる「横田空域」。この巨大な空域を、日本の航空機は米軍の許可がないと飛ぶことはできない。そのため、JALやANAの定期便はこの空域を避け、不自然なルートで航行している。加えて、米軍はこの空域の中でなら、日本政府から許可を得ずしてどんな軍事演習をすることも可能だ。

 似たような空域は日本国内のほかにもある。中国・四国地方にある「岩国空域」と、2010年まで沖縄にあった「嘉手納空域」だ。注目すべき点は、これら米軍の管理空域について、国内法の根拠は何もないということである。

 1959年、日米安保条約の改定によって、本土上空の航空管制権は日本に返還された。しかし、「米軍基地とその周辺は例外とする」という密約と、「その周辺」を拡大解釈する協議によって、横田空域のような空域が生まれた。日米合同委員会という場では、日本政府が米軍機に優先的に管制権をあたえる、という密約も結ばれている。そのため、実質的に米軍は日本全土の上空どこにでも、優先空域を設定できることになっている。

 さらに、航空機が安全に運行できるよう、離着陸する場所や飛行禁止区域を定めた日本の航空法第6章の規定があるが、米軍機と国連軍機にはその規定を適用しないという特例法がある。つまり、米軍機は日本の上空において、合法的に危険な飛行ができるということなのだ。

 ◆日本の国土はすべて、米軍の治外法権下

 たとえば、非常に事故率の高いオスプレイという軍用機は、実質的に日本全土の上空で危険な超低空飛行などの訓練を行っている。2020年からはオスプレイは横田基地にも配備される予定なので、いつ事故が起きても不思議ではない。しかし、そうなったとしても米軍は日本では裁かれないことになっている。

 なぜなら、前述の日米合同委員会という場で、「日本国の当局は、所在地のいかんを問わず米軍の財産について、捜索、差し押さえ、または検証をおこなう権利を行使しない」という驚愕の密約が結ばれているからだ。現に、2004年に米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した事故でも、2016年に辺野古の対岸でオスプレイが墜落した事故でも、墜落現場の周辺は米軍の規制ロープによって封鎖されていた。そして、事故の証拠物件が日本側に渡ることはなかった。日本は、独立国として明らかに奇妙な国なのである。

 ◆支配の構造

 ■日米合同委員会の存在
HAKINMHAN/iStock/Thinkstock

 日本の超エリート官僚は、月に二回ほど在日米軍のトップたちと秘密の会議をしている。そこで決まったことは国会で報告する義務も、外部に公表する義務もない……というと、まるで陰謀論のようだが、これは現実の話である。この秘密会議が、前項で紹介した「日米合同委員会」である。

 日米合同委員会は、アメリカ大使館の公使からも激しく批判されている存在だ。どんな国でも相手国の政府と最初に話し合うのは外交官である。けれど、日本では、占領中にできあがった米軍と日本の官僚の間の直接的関係が、いまだに続いている。

 米軍との間で交わされる密約には、ある種の公式がある。それは、「古くて都合の悪い取り決め」=「新しくて見かけのよい取り決め」+「密約」という方程式である。

 1960年、対等な日米関係をめざして、岸首相のもと安保条約が改定された。だが、このときにも舞台裏では「基地の問題についての実質的な変更はしない」との密約が結ばれていた。1959年12月3日付でマッカーサー駐日大使と藤山外務大臣が合意した文書が、「基地権密約」文書として発見されている。先ほどの密約の方程式でいえば、「行政協定」=「地位協定」+「密約」ということである。

 ◆政府は憲法にしばられない

 沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の市長であった伊波(いは)氏によると、アメリカの国内法は危険な飛行を禁止しており、それが海外にも適用されるので、米軍機は米軍住宅の上では絶対に低空飛行をしない。加えて、アメリカでは、野生生物や歴史上の遺跡などに悪影響があると判断されれば、訓練計画も中止になるという。それなのに、沖縄の市街地では、米軍機はパイロットの顔が見えるほどの低空飛行をしている。なぜ、日本人の人権だけが守られていないのか。

 これは結局、日本人の人権を守る日本国憲法が、米軍には機能していないためだといえる。1959年の、有名な「砂川裁判・最高裁判決」というものがある。当時の東京都北多摩郡砂川町にあった米軍基地の拡張工事をめぐる裁判で、東京地裁は「在日米軍の駐留は、日本は軍事力をもたないとした憲法9条2項に違反している」という判決を出した。これに対して米軍側は、日本政府と最高裁に対して猛烈な政治工作を行った。結果として「安保条約のような重大で高度な政治性を持つ問題については、最高裁は憲法判断をしなくていい」という判決が出された。これは、「安保条約は日本国憲法の上位にある」ことが判例として確定してしまったという意味を持つ。

 加えて、「安保条約のような重大で高度な政治性を持つ問題」という言葉づかいのために、私たち日本人は、米軍基地問題のほかのさまざまな政府の行為に法的に抵抗する手段を失ってしまった。実質的に、日本は政府の暴走を司法で止められない、崩壊した法治国家なのである。

 ◆歪んだ「戦後日本」

 ■「終戦」という言葉
LorenFFile/iStock/Thinkstock

 どうしてこんなふうに、「戦後日本」という国は歪んでしまったのだろうか。著者によると、その出発点は、1945年の8月15日を「終戦」の日と定めたことにさかのぼる。国際的な常識としては、日本と連合国の戦争が終わったのは、9月2日に日本側がミズーリ号で「降伏文書」にサインし、ポツダム宣言を受け入れたときだ。だが、日本は、「降伏」でなく「終戦」という言葉を使い、自分たちに都合のいい歴史を見てきた。降伏という厳しい現実を受け入れず、国際法の世界を見ずにやってきてしまったのだ。

 ◆憲法のルーツ

 そもそも日本国憲法の草案も、占領下に占領軍によって書かれたものだ。この事実を意識することなしに憲法は論じられない。また、憲法9条についても、基本的な文書や条文をたどることなしに議論をしては、意味がない。

 憲法が国連憲章と強い関連を持つことはよく知られているが、その国連憲章の理念は、1941年8月に作成された米英二カ国協定である、大西洋憲章に起源を見ることができる。大西洋憲章は、米英が理想とする戦後世界のかたちを文書にしたものだ。そこには、日本国憲法9条にある「平和に対する人類究極の夢(=戦争放棄)」と、「邪悪な敗戦国への懲罰条項(=武装解除)」の考え方がはっきりと書かれている。

 大西洋憲章の理念は三年後、大戦の連合国側がまとめた、ダンバートン・オークス提案で具体的な条文になった。世界の安全保障は国連軍を中心に行い、米英ソ中以外の国は独自の交戦権を持たないと定められている。まさにこれは日本国憲法9条に重なる条文であり、9条とは国連軍を前提としたものと読み取ることができる。

 「ダンバートン・オークス提案」をもとにしてつくられたのが国連憲章であるが、想定されていたような正規の国連軍はついに誕生しなかった。また、国連憲章に「集団的自衛権」の条項などが意図的に盛り込まれたため、戦後世界は結局戦争だらけになってしまった。

 ともあれ、憲法草案作成にあたってマッカーサーが残したノートにも、「日本はその防衛と保護を、いまや世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる」と記されていることから、憲法9条は国連軍を前提としていることは間違いない。憲法9条論には、安全保障と関係のない「絶対平和主義」という思想で語られることもあるが、そちらは法学上の議論とはいえず、「思ったこと」にすぎないのである。

 ◆【必読ポイント!】朝鮮戦争が発端に

 ■自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
akiyoko/iStock/Thinkstock

 1950年に開戦した朝鮮戦争は、「戦後日本」にとっては決定的な意味を持つ戦争だったと著者は言う。開戦当初、米軍は非常に苦戦した。そうした状況下で、独立に向けてアメリカ側と交渉していた日本は、米軍への戦争協力体制を独立後も継続するという条約を結ばされてしまう。それが、吉田茂首相によって署名された「吉田・アチソン交換公文」である。さらに吉田首相は、日本の独立直後に、米軍の司令官と、有事の際の軍隊の指揮権は米軍にあるということを了解する密約を結んだ。軍隊の指揮権を他国が持っていることは、自国が明らかに他国の「属国」であることをあらわしている。とても正式に条文にできない条項なので、結局密約を結ぶはこびとなったのだ。対米従属の歪みの根幹は、ここにあった。

 さらに、米軍が書いた旧安保条約の原案(1950年10月27日案)を読むと、米軍がめざしていた日本軍のかたちが一層はっきりする。そこには、次のようにある。

 ・日本軍の創設は認めないが、軍隊の兵力や編成などのあらゆる点と、その創設計画がアメリカ政府の決定に従う場合は例外とする

・日本軍が創設された場合は日本国外で戦闘行為を行うことはできないが、アメリカ政府が任命した最高司令官の指揮による場合は例外とする

 つまり、戦力不保持の憲法9条2項、戦争放棄の9条1項の破壊への道は、すでにしてレールが敷かれていたのである。けれど、9条1項の破壊である海外派兵は、現在、まだ完全に実現していない。こちらには特に、日本人も必死で抵抗してきた歴史があるのだ。とはいえ、国民が本気で抵抗しなければ、その方向へ確実に進んでしまうというのも現実である。、この続きを見るには…会員登録を、

 ■定価924円(税込)■出版日2017年08月17日

 ■著者 矢部 宏治(やべ こうじ)

  一九六〇年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、一九八七年より書籍情報社代表。著書に『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:講談社 主要出版物 政治。・経済 【知ってはいけない 隠された日本支配の構造・著者 矢部宏治】 2017年08月17日 07:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特権を問う】:米軍低空飛行、羽田新ルートも影響か 元陸将と軍事アナリストの指摘

2024-12-05 23:54:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:米軍低空飛行、羽田新ルートも影響か 元陸将と軍事アナリストの指摘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:米軍低空飛行、羽田新ルートも影響か 元陸将と軍事アナリストの指摘

 在日米軍ヘリが首都・東京の中心部で、日本のヘリであれば違法となる低空飛行を繰り返している問題で、昨年から運用が始まった羽田空港の新ルートが飛行に影響を与えているとの指摘が専門家から上がっている。

東京都渋谷区の代官山町付近を低空で飛ぶ米海軍ヘリ「シーホーク」。機体の後方には高さ約120メートルのマンションが見える=東京都内で2020年12月17日午前11時40分ごろ、大場弘行撮影(写真は動画から)

 東京都渋谷区の代官山町付近を低空で飛ぶ米海軍ヘリ「シーホーク」。機体の後方には高さ約120メートルのマンションが見える=東京都内で2020年12月17日午前11時40分ごろ、大場弘行撮影(写真は動画から)

 米軍ヘリは新ルートの近くにある六本木の米軍基地「赤坂プレスセンター」のヘリポートを移動拠点にしている。戦後ヘリポートの存在を認め、米軍を航空法の規制対象としてこなかった日本政府に対して厳しい目が向けられている。… 

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【特権を問う・日米地位協定】  2021年03月01日  05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米同盟】:憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態

2024-12-05 23:54:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米同盟】:憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態 ■嗚呼、これが日本の「現実」だった

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米同盟】:憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態 ■嗚呼、これが日本の「現実」だった 

 自民党の衆院選大勝を受けて、安倍晋三首相は今後、日米同盟の強化を図りながら、北朝鮮の脅威に立ち向かっていくという。

 だが、ちょっと待ってほしい。その勇ましい強硬路線は、本当に日本のためになるのか? 結局、アメリカの都合のいいように利用されるだけではないのか?

 アメリカが日本を支配する構造を解き明かしたベストセラー『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏と田原総一朗氏が、徹底議論。戦後、日本がずっとアメリカの「いいなり」であったことの理由や北朝鮮ミサイル危機の行方、さらには、日本がアメリカに核兵器を持たされる可能性について、意見を交わした。

 まず、田原氏が着目したのは、在日米軍の特権が認められた、不当ともいえる日米地位協定だった――。

 対談:田原総一朗×矢部 宏治

 ◆日米間で結ばれた密約

田原: 最初の最初から、おうかがいしたいんですが、そもそも矢部さんが日米地位協定に関心をお持ちになった理由は何ですか?

矢部: きっかけは、2010年に鳩山由紀夫政権が「何か、わけのわからない力」によって退陣したことです。問題は沖縄の米軍基地にあるらしいというので、私は沖縄の基地すべてを撮影する書籍の企画を立て、写真家と二人で沖縄に撮影に行ったのです。ここがスタートですね。

田原: なるほど。鳩山首相が辞任せざるを得なくなったと。それは一般的に、普天間の移設先を辺野古ではなく「最低でも県外」と言ったことに起因していて、鳩山さんはどうも徳之島をその候補として考えていたらしいけど、その徳之島がダメになった。

それで結局、アメリカと交渉して辺野古を認めざるを得なくなり、沖縄を裏切るかたちで鳩山さんは首相を辞任したわけですが、矢部さんが沖縄を訪れて最初に「これは大変なことだ」と思ったのは、どういう点でした?

矢部: 沖縄では、米軍機が民家の上を低空飛行していたことですね。ものすごい低空飛行をしていますから。

Photo by gettyimages

田原: アメリカ国内ではもちろん、沖縄でも米軍の宿舎の上を米軍機は低空飛行しない。ところが、日本人の民家の上は平気で飛んでいる。

矢部: その区別がわかったのは撮影後、かなり経ってからなんですけれど、要するにアメリカ人の人権は守られているのに、日本人の人権に関しては一切ケアされていません。

それはなぜかというと、日本には航空法特例法というものがあり、米軍機は安全基準を守らなくても飛行できることになっている。ですから、米軍住宅の上は飛ばないけれど、日本人の住宅の上はいくら低く飛んでもいいという、ものすごくグロテスクな状況が起こっているのです。

田原: 今回矢部さんの出した本の8ページには、たとえば「アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる」と書いてある。

しかも、「日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない」ということが、なんと外務省が1983年12月につくった高級官僚向けの極秘マニュアルに記されている、と。

これ、どういうことなんですか? まあ占領下ならともかく、なんで戦後40年近く経った1983年の段階で、こんなことが通用したの?

矢部: それが今日、本当に説明したかった点なんです。1952年にできた日米行政協定が改定されて1960年に日米地位協定となったのですが、この地位協定をよく読むと、アメリカは日本国内の基地と区域の使用を許可されると書いてある。

さらに米軍は日本国内の米軍基地や区域に出入りし、その基地と基地や、それらと日本の港や飛行場との間も自由に移動できるという特権についても、記されています。

田原: だけど、これについてはね、1951年に締結された最初の吉田安保はこのとおりだったんですよね。でも、1960年に改定された岸安保では、事前に日本政府と相談をしてOKを得なきゃダメだっていうふうになったのでは?

矢部: そこで出てくるのが、改定のウラで結ばれていた密約なんです。日本国内における米軍基地の使用と米軍の法的地位は、行政協定にかわる地位協定によって規律されると。

田原: そうすると、地位協定はできたけれども、実は52年の行政協定がそのまま続く。

矢部: そうです。それで、この密約ですね、在日米軍の基地権は、地位協定の改定された文言の下で、行政協定の時代と変わることなく続くと。

田原: これは、岸信介は知っているわけ?

矢部: もちろん知っています。

田原: 知っていて密約を結んだ。

矢部: その通りです。

田原: 岸が仮に裏があることを承知でやらざるを得なかったとしてね、現在までそれが続いているというのは、その後の総理大臣はどうしているんですか?

矢部: だから、みんな知らないんです、そうした密約を。

田原: なんで知らないんだろう?

矢部: 引き継ぎがないんです、一言でいうと。

田原: 「ない」っていったって……。

矢部: 僕もそれはびっくりしたんですけど。

田原: 官僚も言わないの?

矢部: 官僚も知らないです。なぜかというと、これは、元外務省国際情報局長の孫崎享さんがおっしゃっているんですけど、外務省でしかるべきポストに就いたとしても、ちゃんとした情報がもらえるのは、その地位にいる3年間ぐらいだけだと。その前後のことは、よくわからないというふうに証言しています。

田原: なんで調べようとしないの?

矢部: 密約について日本の外務省には、政権が変わったら引き継がなくていいという悪しき伝統があるんです。

田原: でも、守ってるんでしょう?

矢部: もちろん米軍側に文書があるから、守らざるを得ない。だからこっちは否定するけど、いざとなったら力で押し切ってくれてかまわないという「暗黙の了解」があるわけです。

 ◆東京のど真ん中で秘密会議

田原: 話は飛ぶけど、日米合同委員会っていうのがあるんですね。これ、僕は矢部さんの本で初めて知ったんだけど。できたのは……。

矢部: 1952年ですね。日本のエリート官僚と在日米軍の幹部が月に2度ほど、都内の米軍施設(南麻布にあるニューサンノー米軍センター)と外務省で行っている秘密の会議です。

ここで決まったことは国会に報告する義務も外部に公表する必要もなく、何でも実行できる。つまり、合同委員会は、日本の国会よりも憲法よりも上位の存在なのです。

田原: 合同委員会の日本側のトップが外務省の北米局長で、ほかに法務省大臣官房長や防衛省地方協力局長などがいる。一方、アメリカ側のトップは在日米軍司令部の副司令官で、メンバーのほとんどが軍人ですね。1952年にできて、まだ続いているんでしょう?

矢部: 65年間続いているんです。1600回ぐらい。

田原: 続いていることを、総理大臣は知らないわけ?

矢部: 鳩山さんは、合同委員会の存在そのものを知らなかったとおっしゃっています。

田原: 鳩山は民主党だからね。たとえば、中曾根(康弘)や小泉(純一郎)も知らなかったのかな?

矢部: あることは知っていたかもしれませんが、その実態については、知らなかったかもしれません。議事録がほとんどオープンになっていませんから。

田原: そういえば以前、石原慎太郎が横田基地の返還と日米での共同使用を訴えていたことがあった。結局うまくいかなかったけど、なんでダメだったんだろう?

矢部: 外務省がまったく協力してくれなかったと石原さんは記者会見で言っていましたけど、合同委員会の実態を見ると、外務省が交渉してどうこうなるっていう話ではないんですよね。要するに、合同委員会で米軍側が決めたら、日本側はそれを聞き入れるしかないという関係なんですよ。

田原: 実は、森本(敏)さん(元防衛大臣)に、矢部さんの本に合同委員会のことが書いてあるよと伝えたところ、彼は知っていたんです。「自分も合同委員会に出たことある」と。そこで、「なんでこんなもの変えないんだ」と尋ねると、森本さんは「それを変えようという意見がどこからも出てこないんだ」と言っていた。

矢部: 合同委員会には本会議の他に、30以上の分科委員会があるんですが、森本さんは自衛隊から外務省北米局日米安保課に出向していた時期があるから、そのころ出ていたのかもしれませんね。

ちなみに合同委員会のアメリカ側のメンバーには、一人だけ外交官がいます。それはアメリカの大使館の公使で、つまりアメリカ大使館のナンバー2なのですが、これまでの何人かはものすごく批判しています、その体制を。

なぜかと言うと、それは当たり前の話で、本来、日本政府と交渉して、決まったことを軍部に伝えるのが自分たち外交官の仕事なのに、頭越しに軍が全部決めちゃっている。これはおかしいと、ものすごく怒っているんです。

田原: 一番の問題はね、なんで日本側がね、日米地位協定にしても日米合同委員会にしても、それをやめようと言わないのかと。言ってみりゃこれは、日本はまだアメリカに占領されているようなものですよ。独立したのに。

でも、いまの体制を続けたほうが得だと思っているのかな、実は。アメリカの従属国になっていることで、安全なんだと。そのために自衛隊も戦う必要もないし。現に72年間、戦死者は1人も出なかったと。平和だったと。それで、経済は自由にやってりゃいいと。

矢部: とくに冷戦時代は、軍事的にも守ってもらえるし、経済的にも優遇してもらえるし、日本にもすごくメリットがあったんですよね。だから変えられなかったんだと私も思います。

 ◆「核の傘」に意味はあるのか

田原: 歴代総理大臣はこれまで、憲法九条を盾に、アメリカの戦争には巻き込まれないようにしてきた。たとえば佐藤(栄作)内閣のときに、アメリカが「ベトナムに来いよ、自衛隊、一緒に戦おう」と。佐藤はそれに対して、「もちろん一緒に戦いたい。ところが、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、行くに行けないじゃないか」と返している。

小泉のときも、ブッシュから「一緒にイラクへ来て戦ってくれ」と求められたので、「行くには行くけれども、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、水汲みにしか行けない」と言って水汲みに行ったの。

その一方で、山崎拓から「憲法改正しよう」と持ちかけられた小泉は2005年、舛添(要一)とか与謝野(馨)、船田(元)らに「新憲法草案」をつくらせるじゃない。

これは2012年の「日本国憲法改正草案」よりよっぽどいいと僕は思っているんだけど、山拓が「さあ、草案をつくったんだから憲法改正を打ち出そう」と小泉に言っても、小泉は「いや、郵政民営化が先だ」と。頭に来た山拓が僕に電話を掛けてきたんです。「小泉の野郎に逃げられた」と。小泉もやっぱり、憲法改正しないで、従属したほうが得だと思ったの。

矢部: 今年8月の内閣改造で沖縄及び北方担当大臣になった江崎鉄磨さんも、就任直後に地位協定を見直すべきだって発言したあと、すぐに引っ込めましたよね。

田原: 日本は「核の傘」の下でアメリカに守ってもらっている。だから、今年7月、国連で採択された核兵器禁止条約に日本は反対したし、条約の交渉会議にも出なかった。アメリカの従属国のままのほうが、安全だと思っているのかな。

矢部: いままではそうでしたけど、今回、北朝鮮のミサイル問題を見てもわかるとおり、核の傘なんて何の意味もありませんし、かえって危険だという状況はありますよね。

田原: もしね、北朝鮮が核を持てば、韓国も核を持とうとするでしょう、当然。日本も持とうとするんじゃない?

矢部: うーん。持とうとするというか……。

田原: 日本が核を持つのに、一番反対したのはアメリカなんだよ。僕はキッシンジャーに、そのことを何度か聞いたことがある。絶対反対だと。

矢部: ところが、いまはむしろ、持たされる可能性が高い。

田原: トランプがそう言ってるじゃない、大統領選挙のとき。

矢部: ですよね。1970年代にヨーロッパで起きたことですが、中距離核ミサイルを持たされて、ソ連とヨーロッパが撃ち合いの状況をつくられてしまった。でもアメリカはその外側にいて、自分たちは絶対安全と。そういう体制が今後、日本・韓国と中国・北朝鮮の間でつくられてしまう可能性があります。

あと、今日はもう一つ、田原さんにどうしてもお話ししておきたいことがあるんです。安倍首相が2015年に安保関連法を成立させて、集団的自衛権の行使が認められるようになりましたよね。もう、あれで自衛隊は海外へ行けるわけですから、米軍側の次の課題っていうのは憲法改正とかじゃなくて、違うフェーズに移っているということを、いま調べているんです。具体的には全自衛隊基地の共同使用なのですが。

田原: どういうこと?

矢部: 要するに、すべての自衛隊基地を米軍と自衛隊が一緒に使って、米軍の指揮の下で共同演習をやるようになるということです。たとえば静岡県にある富士の演習場というのは、もともと旧日本軍の基地で、戦後、米軍基地として使われていました。それが1968年、自衛隊に返還されたのですが、その際、年間270日は米軍が優先的に使うという密約が結ばれていたのです。

田原: いまでもその密約は続いているの?

矢部: ええ。年間270日ですから、日本に返還されたと言ってたら、事実上、米軍基地のままだったわけです。

田原: 本当は米軍基地じゃないんでしょう? 残ってるわけか、少し。

矢部: ちょっとだけ残っているんですよね。全部米軍基地だったのを少しだけ残して、いちおう日本に返したのですが、密約で270日間は自分たちが使うと。そうすれば、基地を管理する経費がかからないし、米軍基地じゃなくて自衛隊基地のほうが周辺住民の反対運動も少ないので、はるかに都合がいいんです。

下手したらね、たとえば辺野古ができたあと、普天間を日本に返して自衛隊の基地にする、でも米軍が優先的に使いますよ、ということだってあり得るわけです。ですからこれから日本では、米軍基地の返還が進み、表向きは自衛隊基地なのにその実態は米軍基地、というかたちがどんどん増えていくかもしれません。

どのような政権枠組みになるにせよ、今後厳しく注視していく必要があります。

(読書人の雑誌「本」2017年11月号より)

知ってはいけない

本書の内容をひとりでも多くの方に知っていただくため、漫画家の、ぼうごなつこさんにお願いして、各章のまとめを扉ページのウラに四コマ・マンガとして描いてもらいました。全部読んでも3分しかかかりませんので、まずは下に掲げたマンガを読んでみてください。

商業目的以外でのこのマンガの使用・拡散は、このサイトから自由に行ってください。また、同サイトでは、「はじめに」や第1章、「あとがき」「追記」を無料で公開していますので、ぜひご覧ください) 
 ◆田原総一朗

 ◆矢部 宏治

 1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に累計17万部を突破した『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J.M.ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・防衛・安全保障・在日米軍】  2017年10月24日  09:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【謎の権力構造の正体】: 「日米合同委員会」

2024-12-05 23:54:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【謎の権力構造の正体】: 「日米合同委員会」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【謎の権力構造の正体】: 「日米合同委員会」

 真の主権回復と主権在民の実現が課題

 ■『「日米合同委員会」の研究』の著者・吉田敏浩さんに聞く

 日米合同委員会は隔週の木曜日に、都心のニューサンノー米軍センターや外務省で会合を開いている。外務省北米局長が日本側代表に、法務省、農林水産省、防衛省、財務省などの高級官僚が代表代理(2016年10月現在)になっています。米側は在日米軍副司令官が代表で、在日米大使館公使を除いてほかは全員軍人です。こんな会合が何十年も密室で開かれて、米軍優位の日米地位協定の解釈や運用について協議している。そこでは米軍の要求が通っているのが実態です。
 日米合同委員会について本格的に調べ始めたきっかけは、民主党中心の鳩山由紀夫連立政権が、沖縄県民の怒りを受けて普天間基地の移設先は「せめて県外」と主張したんですが、米国政府の圧力とその意を受けた外務官僚や防衛官僚などの抵抗を受けて挫折した。あの時からです、これは何だと。
 日本の総理大臣よりも、米軍との関係をより重視した外務、防衛などの高級官僚が中心となった官僚機構が、一種のサボタージュをしたといいますか、米軍の権益を優先し守る、日米同盟を重視した。「日米同盟が日本にとっていちばん重要なんだ」という官僚機構につぶされた。戦後、日本の官僚機構の中に形成されてきた考え方に基づいて、かれらが鳩山政権の方針に従わないで虚偽の情報を流したりしてつぶした。
 最近、少しずつ表に出てきていますが、日本の政治家さえも知らないところで、日本の高級官僚が米国政府、米軍と協議している。その不透明さ、これが日本の進路にも大きく影響している。その中で、日米合同委員会という存在が、いろんな形で報じられるようになってきた。そして、人びとから関心をもたれるようになってきた。
 私は08年に、初めは日米間の「密約問題」の取材を始めた。日米政府がいかに密約についてさまざまな情報を隠蔽しているか、核密約などに関心をもって取材をしていたなかで、核密約だけでなく、日米地位協定に関する日米間の秘密の取り決めがあることを知った。米兵犯罪の裁判権の問題一つでも、非常に起訴率が低い背景に、日本にとって著しく重要な事件以外は裁判権を行使しない、という密約があるらしい、ということを調べていて、それで日米地位協定の密約問題について関心をもって、日米合同委員会についても調べるようになったのです。

 ◆官僚機構の中に密約を維持する「裏マニュアル」

 その過程で、最近出版した『「日米合同委員会」の研究』のなかで紹介していますが、日本の官僚機構の中に日米合同委員会での密約にかかわる一連のマニュアルがあることが分かった。例えば、法務省刑事局の「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」、最高裁事務総局の「日米行政協定に伴う民事及び刑事特別法関係資料」、警察庁の「地位協定と刑事特別法」、外務省の「日米地位協定の考え方」など、官僚機構の中に秘密資料・部外秘資料があって、その中で日米地位協定の条文について、米軍に有利になるような解釈をして、それに基づいて地位協定の運用をしている。しかもそれが国会議員にも、国民にもまったく知らされない形で情報隠蔽され、ずーっと秘密の運用がされていることを知ったんです。
 米軍優位の日米地位協定がいかに不平等な取り決めであるのかは、かなり知られています。しかし、地位協定を実際に細かいところまで解釈する過程で、米軍に有利になるように、官僚機構の中でマニュアル化された「裏マニュアル」があり、実際に米軍に有利な運用がされてきていることが、これらの秘密資料・部外秘資料から分かって、私も驚いた。
 米軍関係者の犯罪で起訴率が低い問題のほかにも、横田空域や岩国空域の問題がある。日本の空であるにもかかわらず、米軍が航空管制権をにぎっている。横田空域でいえば、厚木基地にやってくる米空母艦載機が横田空域を通って群馬県の渋川市周辺の上空に行って、低空飛行訓練をして爆音や墜落の危険をまき散らしている。日本各地で行われている米軍の低空飛行訓練を日本政府は規制できない。横田、厚木、嘉手納、普天間などの米軍機騒音訴訟でも、米軍機が騒音公害の発生源で、騒音は違法だと認められ、損害賠償も認められていながら、米軍機の飛行差し止めは認められない。米軍の軍事活動に日本政府の管理権が及ばないから、差し止めはできないというのが、裁判所の判断なのです。地方自治体も対策が打てない。結局、米軍に対して日本の司法権も行政権も及ばない。事実上の治外法権です。

 「『日米合同委員会』の研究」から

 そういったことが続いている背景には米軍優位の地位協定がありますが、地位協定の具体的な解釈・運用面について、日米合同委員会で在日米軍高官と日本の高級官僚が密室で秘密協議をして、そこで米軍に有利な合意が蓄積されてきているという根本的な問題がある。日米合同委員会の議事録や合意文書は原則として非公開です。情報公開法に基づく文書開示請求をしても、黒塗りの不開示とされる。合意の一部は要旨が外務省のホームページに出ているが、法務省などの秘密資料や最高裁の部外秘資料などと照らし合わせると、合意文書の重要な部分を削除したり、書き換えたりして、あたかも日米対等であるかのように装っているのが分かる。実態は米軍に有利な不平等なものです。
 主権在民の下で、国民の選択によって政治が行われるというのが憲法の原理なんですが、政府・行政機関が事実を公開していない。説明責任を果たしていない。主権在民という憲法の規定が大きく空洞化されている。骨抜きにされている。いわば闇の領域に覆われているということがしだいに明らかになってきた。米軍上層部から見れば、日米合同委員会は日本における米軍の特権を維持するためのリモコン装置のようなものと言えます。占領時代からのフリーハンドの基地使用・軍事活動の特権を維持するとともに、変化する時代状況に応じて新たな特権を確保していくためのリモコン装置です。そのような政治上の装置が、日本政府の機構の中枢に埋め込まれているのです。
 実際に存在する資料に基づいて、米軍の事実上の治外法権を維持する日米合同委員会の密室協議があることを明らかにして、日米関係、日本の政治のあり方はこれでいいのかということを社会に問うために、取材してきた。
 この問題に何一つ手をつけないで、どうして「日本を取り戻す」などと言えるでしょうか。日本の主権を損ない米軍の特権を認める密約などは廃棄すべきです。日米安保など日米関係についていろいろな意見があっても、少なくとも日米地位協定の抜本改定と日米合同員会の廃止が必要です。「真の主権回復と主権在民の実現」。この国が戦後70年余り抱えている課題の解決に向けて迫っていきたい。

 ◆今も米軍に支配される日本の空

 分かりやすい例として、米軍が航空管制をする横田空域の問題、首都圏の上空を日本の飛行機が自由に飛べない、日本の空の主権が奪われている問題があります。
 これは、最近、東京オリンピックに向けた羽田空港の増便問題と関連してメディアでも取り上げられ、大きな関心が持たれている。外務省、国土交通省などは、横田空域は日米地位協定にもとづくと説明し、メディアは鵜(う)のみにして報じている。
 しかし、どういう法的根拠で米軍にそうした特権が与えられているのか。
 私は情報公開法にもとづき、横田空域の航空管制を米軍がおこなっている法的根拠は何かと文書開示請求をしてみました。すると国土交通省は、「文書は日米の合意がないと公開されない。公開すると米国との信頼関係が損なわれる。だから不開示」と。これだけ問題になっていることの法的根拠を開示しないということは、主権在民に基づく行政のあり方ではないと、誰でも思いますね。
 この問題の本質に迫る手掛かりとなるのは、外務省の「秘 無期限」の機密文書、「日米地位協定の考え方」です。これは「琉球新報」がスクープし、本にもなっています。その中の航空管制に関する日米地位協定の第6条の解釈をめぐって、外務省は「管制業務を米軍に行わせている我が国内法上の根拠が問題となるが、(地位協定第6条を受けた)合同委員会の合意のみしかなく、航空法上積極的な根拠規定はない」と言い切っている。そして、「管制業務を協定第6条の『趣旨』により『事実上』委任した」という程度の意味だと。横田空域は「(米軍が航空管制を)事実行為として行うことを日米間で認めている区域にすぎない」と明確に書いています。自衛隊が航空基地周辺で航空管制をするのは航空法に根拠がある。ところが米軍の場合は、そうした法的根拠はなく、日米合同委員会の合意により「事実上、委任している」と。戦後、日本占領時代に米軍がやっていたことを既成事実として認めているわけです。米軍は横田空域を、戦闘機などの訓練飛行や輸送機の出入りなどに使っている。輸送機はグアムやハワイなど海外の米軍基地から横田基地へ飛んできて、そこをハブ(中継)にして、沖縄や韓国などの基地へ向っている。
 米軍は訓練飛行と輸送機などの日本列島への出入りを最優先させるため、航空管制権をにぎって手放さない。その法的根拠は日米地位協定に規定されていない。ただ日米合同委員会の秘密合意によって「事実上、委任」されておこなっているというわけです。「日米地位協定の考え方」では、「米軍による管制は、厳密な航空法の解釈としては、航空法上の意味がないので、我が国民は、これに従う法的義務はないものと考えられる」とまでご丁寧に念押ししているほどです。
 しかし、実際は、日米合同委員会の合意で、外部に公表されない「実施細則」という取り決めが日米両政府を拘束しているわけです。それが、航空管制権という空の主権が侵害されている現実を招いている。そして、米軍機の騒音被害や墜落の危険による人権侵害にもつながっている。

 ◆憲法体系を無視した米軍優位の「密約体系」

 このように憲法体系を無視して、米軍に有利な「密約体系」が裏にある。航空管制の密約も「氷山の一角」で、「裁判権放棄」密約とか、さまざまな密約があり、それらが「密約体系」となって憲法体系を侵食している。
 例えば横田空域の問題にしても、米兵犯罪の問題にしても、米軍に有利な不平等な取り決めがあるということを、文書を公開して国会で、公開された場で審議すれば、大きな問題になるじゃないですか。しかし、日米合同委員会の合意文書を非公開にして、大問題にさせないように覆い隠している。
 基地の提供についても、日米合同委員会の密室で合意して決めています。今、辺野古の海を埋め立てて新基地を建設しようとしているが、どこを基地にするか、いつ、どこに、どんな施設をつくって、どんな手続きを行うかも日米合同委員会で決めている。国土の一部を、領土・領海・領空を基地・演習場などとして米軍に提供するという、主権にかかわる重大な問題に、国会が関与できないというおかしな仕組みになっているのです。
 国民の代表である議員が一切タッチできないところで、日米合同委員会の密室協議を通じて、日本の高級官僚と在日米軍高官によって基地の提供が決められてきた。日米安保条約と日米行政協定(現地位協定)が1952年4月28日に発効すると同時に、日米合同委員会が設置され、基地の提供や米軍の軍事活動にかかわる地位協定の運用に国会議員が一切タッチできない仕組みが制度化された。主権侵害の出発点です。主権在民・憲法を空洞化させる仕組みが日本政府の、国家の中枢に埋め込まれた。
 日米合同委員会に出席する在日米軍高官らは、上部組織である米太平洋軍司令部や統合参謀本部に、日米合同委員会での協議内容について、日本側に何を要求するかなど、常に連絡・報告しながら、米太平洋軍司令部、統合参謀本部からの指示に基づいて交渉しているわけです。
 占領軍だった米軍はその後、安保条約の下で駐留軍に変わった。しかし米軍は、在日米軍基地、日本の領土・領海・領空、日本全土を米軍に有利なように利用するために、日本の官僚を直接コントロールすべく、密室協議機関として日米合同委員会という仕組みをつくったというのが、歴史の真相です。そうすることで日本をコントロールできるのだといえます。そういう制度が日本の国家中枢に埋め込まれて、今日まで続いている。これが実態です。
 この実態を明らかにしなければなりません。主権者である国民の目も手も届かない日米合同委員会の密室で、基地の提供や地位協定の解釈・運用など主権にかかわる問題、人権にかかわる問題が、米軍優位の不平等な状態で取り決められていることを、より多くの人が知って、本当にこんな状態でいいのかを考えてほしいです。戦後70年以上過ぎて、まだこんな状態を放置したままでいいのかということですね。

 ◆日本政府の上に君臨する闇の権力構造

 日米合同委員会に象徴されるように、日米関係の情報は官僚機構がにぎっています。米国政府・米軍との間に太いパイプを築いている。だから、外務省北米局を中心として、米国側と常に密接に協議している官僚たちが政治家に、「米国との取り決めはこうなっているんだから、こうしなくてはならない」と報告・進言すれば、詳しい内容までよく分からない政治家は従わざるを得ないのが実情でしょう。結局、官僚機構がお膳立てした通りに、米国との関係を結ばざるを得ない。
 つまり、官僚機構が米国との太いパイプをにぎることで、日本の政治家をコントロールできる。日米関係に関して官僚機構が実質的に権力をにぎる構造になっている。そして、米軍が日米合同委員会を通じて日本の官僚機構をコントロールし、米国優位の日米地位協定の下での権力構造を維持している。その維持装置が日米合同委員会なのです。そのような隠された二重の構造になっている。
 官僚の方が「米軍の運用に日本は口出しできない取り決めになっている」と言えば政治家もそう思い込んでしまう。例えば、2012年のオスプレイ配備の時も、時の野田佳彦首相は「配備はアメリカ政府の方針であり、どうこうしろという話ではない」と言い、森本敏防衛大臣も「安保条約上、日本に権限はない」と言明した。米軍に対しては日本政府の権力、規制が及ばないと認めている。米軍のフリーハンドの軍事特権を容認している。裁判所もそうです。
 日本の憲法体系、それだけでなく、立法・行政・司法という「三権分立」という、憲法の民主主義の原理を根幹のところで腐食させる闇の仕掛けが、日本国家の官僚機構の中枢に埋め込まれている。日本政府の上に君臨し、日本の主権を侵害する「闇の権力構造」があると言わざるを得ないわけです。
 トランプ政権になって、日本政府に対してますます、軍事的・政治的・経済的に「米国第一」で、米国の利益を最優先する要求をさらに突き付けてくる時代です。これまでもこれだけ不平等な実態があるわけですから、このまま放置しておけばさらに日本の主権や平和、人権が侵害される事態がより深刻になっていくことは、目に見えている。日米合同委員会に象徴される不平等な構造の事実を明らかにして、変えていかなければならない。

 ◆日本の空の主権を取り返せ

 例えば羽田の新ルート問題では、民間機が大田区、品川区の上空を通過することになるので、騒音問題などで地元では反対運動が起きている。これも実は横田空域の問題とつながりがある。これまで民間機が通れなかった横田空域の中を低空で通って、羽田に離着陸する計画がある。日米合同委員会ではどう協議されているのかと、国土交通省航空局に問い合わせたら、「日米合同委員会の民間航空分科委員会で、民間機の一部が新ルートで横田空域の端を通れるように協議していて、最終決定ではないが、米軍側も内諾している。だが、詳しい協議内容は公表できない」と言う。
 このように、在日米軍高官と国土交通省の高級官僚が日米合同委員会の密室で話し合っている。そこで米軍の「お許し」が出るので通れますよと。国会議員も地方議員もタッチできない、主権者の手が届かないところで、国民不在のままで、秘密裏に話が進んでいる。そのこと自体が大きな問題だ。横田空域の航空管制権を取り戻し、もっと情報をオープンにして、ルート問題や騒音対策など国会などの場で話し合える状況にして、どういう解決策があるかは分からないが、地元と話し合えば騒音や危険性がないような飛行ルートをつくれるのではないか。国土交通省が日本の航空法に基づいて日本の空を全面的に航空管制するのであれば、どのような新ルートを設けるべきなのか、どうすればよいのか、もっと開かれた場で、あらゆる情報を公開し、話し合い、決定できる場がつくられるはずだ。ところが、横田空域を米軍が管理しているので、国民がまったくタッチできないところで決められてしまう。これが根本的な問題です。
 だから、このままでいいのかという問題意識を多くの人にもってもらいたい。
 国会でも党派を超えて、日本の主権にかかわる問題、主権在民という国会の存在意義にかかわる問題なので議論してほしい。国会が行政を監視するという役割を高めるべきです。国権の最高機関は、憲法では国会になっていますから、本来は国政調査権を行使して、日米合同委員会の合意文書や議事録を国会の審議の場に提供させ、こういう状況でよいのかとオープンに議論する必要がある。一部官僚にこうした重大な問題を「白紙委任」していていいのか、国会議員の存在意義が問われている。
 国民世論を盛り上げて、政府に迫る必要がある。

 ◆よしだ としひろ
 1957年、大分県生まれ。
 ジャーナリスト。96年、『森の回廊』(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。著書に『沖縄 日本で最も戦場に近い場所』(毎日新聞社)『検証・法治国家崩壊』(創元社)など多数。最近著が『「日米合同委員会」の研究』創元社、「戦後再発見」双書⑤、定価1620円(税込)

 元稿:自主・平和・民主のための広範な民主連合 主要提言 政治 【政策・沖縄県・在日米軍・日米地位協定】 2017年06月04日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特権を問う】:幻となった六本木NHK計画 そこには今も米軍が

2024-12-05 23:54:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:幻となった六本木NHK計画 そこには今も米軍が

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:幻となった六本木NHK計画 そこには今も米軍が

 終戦翌月の1945年9月、米軍が首都・東京に進駐し、建物や土地を次々と接収した。それから78年たつ今も手放さないのが、ヘリポートを備えた六本木の「赤坂プレスセンター」だ。都心の一等地にありながら存在があまり知られていないこの基地の歴史には意外なエピソードも多い。その一つが、現在プレスセンターがある六本木の地に放送拠点ができるはずだった幻のNHK計画だ。<button class="sc-jupYDc hdCrNd" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-jupYDc hdCrNd" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">1964年の東京五輪を機に返還された東京都渋谷区の米軍の居住エリア「ワシントンハイツ」。住宅は選手村として利用された。後方に完成間近の代々木競技場が見える=1964年7月、本社ヘリから撮影</button>

1964年の東京五輪を機に返還された東京都渋谷区の米軍の居住エリア「ワシントンハイツ」。住宅は選手村として利用された。後方に完成間近の代々木競技場が見える=1964年7月、本社ヘリから撮影(毎日新聞)

 ■ 【過去の写真】ヘリポート反対のビラや当時の東京の風景は  

 プレスセンターの敷地は東京ドームの半分ほどにあたる約2万7000平方メートルに上る。終戦前まで旧日本軍の駐屯地になっていた一画だった。1952年にサンフランシスコ講和条約が発効して日本の主権が回復すると米軍は接収した都心の土地を日本側に返還し始める。そうして六本木の駐屯地も返還対象となった。  

 国有財産地方審議会の記録や国会議事録などによると、59年に現在のプレスセンターのある土地を含む一帯がNHKに払い下げられることが決まり、放送センターが建つことになった。  

 ところが、計画は難航する。理由の一つは、新しい放送センターは64年の東京オリンピックで各国メディアの放送拠点にもなるため、六本木の土地では手狭だったこと。もう一つは、米軍がその地に既にあった米陸軍の準機関紙「星条旗新聞社」の工場とヘリポートを残したいと主張したことだ。  

 NHKは苦慮した。63年の国会質疑で専務理事がこう振り返っている。「(星条旗新聞社は)将来移転する可能性のあるまで、そこに提供するという決心をいたし、さらにヘリコプターの発着場については、新しい建物の屋上にアメリカ軍にも使用を許す意味でつくるという考え方を持ちましたが、最終的にはそういう処置をしても土地の広さは限定された」  

 NHKが最終的に取得したのは、旧日本軍の代々木練兵場(渋谷区)にあった米軍の居住エリア「ワシントンハイツ」の一画。広さは東京ドーム1・7個分にあたる約8万平方メートルで、本来は東京都が代々木公園の一部にするはずの土地だった。  

 米軍が六本木の土地を返還していれば、NHKの放送拠点は六本木になり、代々木公園はもっと広くなっていたことになる。  

 日本政府は63年、土地を横取りされる形になった都の要望を踏まえて、六本木の駐屯地の広範なエリアを都の森林公園にする都市計画を決定する。今の都立青山公園だ。公園用地にはNHKが使う予定だった米軍のヘリポート部分が含まれているものの、米軍が返還しないため、現在も未完の状態が続いている。  

 プレスセンターを巡っては都や地元の港区が長年撤去を求めており、返還交渉が具体化したこともあった。60~70年代に日本側が東京湾岸への移転を提案し、当時の防衛庁長官が「占領当初とは違う。至急移転させる」と国会で約束したこともある。

 「『NO』と言える日本 新日米関係の方策」の著書もある作家の石原慎太郎氏は都知事時代(99~2012年)に都心に残るセンターの存在を批判し続けた。「占領されっぱなし」「米軍がいつまでも超一等地に土地を持っていることそのものがおかしい」と。今では石原氏のように真正面から疑問の声を上げる大物保守政治家はほとんど見なくなった。【大場弘行】

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【連載・「特権を問う」】  2023年10月21日  08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった

2024-12-05 23:54:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった ■エリート官僚も見て見ぬふりの真実

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった ■エリート官僚も見て見ぬふりの真実 

 みなさんは、東京都の西部――たとえば世田谷区や中野区、杉並区、練馬区、武蔵野市などの上空が、「日本のものではない」ということをご存じですか?  「なにをバカなことを……」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。 しかし、これらは複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実なのです。

 北朝鮮ミサイルの脅威が迫るいまこそ、考えておきたい「日本の空」の真実とは?『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏による論考。

 ◆とんでもない歪みの正体

 おかしい。不思議だ。どう考えても普通の国ではない。みなさんは、ご自分が暮らす「戦後日本」という国について、そう思ったことはないでしょうか。

 おそらくどんな人でも、一度はそう思ったことがあるはずです。アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国であり、治安のよさや文化水準の高さなど、誇るべき点もたしかに多い私たちの国、日本。しかしその根っこには、どう隠そうとしても隠しきれない、とんでもない歪みが存在しています。

 たとえば私が本を書くたびに触れている「横田空域」の問題です。下の図1のように、じつは日本の首都圏の上空は米軍に支配されていて、日本の航空機は米軍の許可がないとそこを飛ぶことができません。いちいち許可をとるわけにはいかないので、JALやANAの定期便はこの巨大な山脈のような空域を避けて、非常に不自然なルートを飛ぶことを強いられているのです。

        図1 首都圏の上空に広がる「横田空域」

 図を見るとわかるように、とくに空域の南側は羽田空港や成田空港に着陸する航空機が密集し、非常に危険な状態になっています。また緊急時、たとえば前方に落雷や雹の危険がある積乱雲があって、そこを避けて飛びたいときでも、管制官から、「横田空域には入らず、そのまま飛べ」と指示されてしまう。

 6年前に、はじめてこの問題を本で紹介したときは、信じてくれない人も多かったのですが、その後、新聞やテレビでも取り上げられるようになり、「横田空域」について知る人の数もかなり増えてきました。それでもくどいようですが、私は今回もまた、この問題から話を始めることにします。

 なぜならそれは、数十万人程度の人たちが知っていればそれでいい、という問題ではない。少なくとも数千万単位の日本人が、常識として知っていなければならないことだと思うからです。

 ◆エリート官僚もよくわかっていない「横田空域」

 もちろんこの「横田空域」のような奇怪なものが存在するのは、世界を見まわしてみても日本だけです。では、どうして日本だけがそんなことになっているのでしょう。

 私が7年前にこの事実を知ったときに驚いたのは、日本のエリート官僚と呼ばれる人たちがこの問題について、ほとんど何も知識を持っていないということでした。

 まず、多くの官僚たちが「横田空域」の存在そのものを知らない。ごくまれに知っている人がいても、なぜそんなものが首都圏上空に存在するかについては、もちろんまったくわかっていない。これほど巨大な存在について、国家の中枢にいる人たちが何も知らないのです。日本を普通の独立国と呼ぶことは、とてもできないでしょう。

 「いったい、いつからこんなものがあるのか」「いったい、なぜ、こんなものがあるのか」

 その答えを本当の意味で知るためには、今回上梓した『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』を最後まで読んでいただく必要があります。じつは私自身、上のふたつの疑問について、歴史的背景も含めて完全に理解できたのは、わずか1年前のことなのです。

 ◆世田谷区、中野区、杉並区の上空も「横田空域」

 まず、たしかな事実からご紹介しましょう。横田空域は、東京都の西部(福生市ほか)にある米軍・横田基地が管理する空域です。

 もう一度、図1を見てください。大きいですね。いちばん高いところで7000メートル、まさにヒマラヤ山脈のような巨大な米軍専用空域が、日本の空を東西まっぷたつに分断しているのです。

 ここで「米軍基地は沖縄だけの問題でしょう?」と思っている首都圏のみなさんに、少し当事者意識をもっていただくため、横田空域の詳しい境界線を載せておきます(図2)。

         図2 東京都心部(23 区内)の「横田空域」の境界線

 東京の場合、横田空域の境界は駅でいうと、上板橋駅、江古田駅、沼袋駅、中野駅、代田橋駅、等々力駅のほぼ上空を南北に走っています。高級住宅地といわれる世田谷区、杉並区、練馬区、武蔵野市などは、ほぼ全域がこの横田空域内にあるのです。

 この境界線の内側上空でなら、米軍はどんな軍事演習をすることも可能ですし、日本政府からその許可を得る必要もありません。2020年(米会計年度)から横田基地に配備されることが決まっているオスプレイは、すでにこの空域内で頻繁に低空飛行訓練を行っているのです(富士演習場~厚木基地ルートなど/オスプレイの危険性については『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』第2章で詳述しています)。

 むやみに驚かすつもりはありませんが、もしこの空域内でオスプレイが墜落して死者が出ても、事故の原因が日本側に公表されることはありませんし、正当な補償がなされることもありません。

 そのことは、いまから40年前(1977年9月27日)に同じ横田空域内で起きた、横浜市緑区(現・青葉区)での米軍ファントム機・墜落事件の例を見れば、明らかです。

 このときは「死者2名、重軽傷者6名、家屋全焼1棟、損壊3棟」という大事故だったにもかかわらず、パラシュートで脱出した米兵2名は、現場へ急行した自衛隊機によって厚木基地に運ばれ、その後、いつのまにかアメリカへ帰国。裁判で事故の調査報告書の公表を求めた被害者たちには、「日付も作成者の名前もない報告書の要旨」が示されただけでした。

 ◆いまも中国・四国地方を覆う岩国空域

 こうした米軍が支配する空域の例は、日本国内にあとふたつあります。中国・四国地方にある「岩国空域」と、2010年まで沖縄にあった「嘉手納空域」です。

                   図3 「岩国空域」

 上の図が、これまであまり取り上げられることのなかった「岩国空域」です。「横田空域」と同じくこの「岩国空域」もまた、山口県、愛媛県、広島県、島根県の4県にまたがり、日本海上空から四国上空までを覆う、巨大な米軍管理空域です。

 この空域内の松山空港に向かう民間機は、米軍・岩国基地の管制官の指示どおり飛ばなければなりませんし、空域のすぐ西側にある大分空港へ向かう民間機も、高度制限など大きな制約を受けています。

 岩国空域に関して印象に残っているのは、2016年にオバマ大統領(当時)が広島を訪問したときのワンシーンです。アメリカ大統領による初めての「歴史的な」広島訪問に際して、オバマ大統領は中部国際空港から大統領専用機で米軍・岩国基地に移動したあと、この岩国空域を通って、海兵隊の軍用ヘリで原爆ドームへ向かったのです。

 車で行けばわずか40キロ、たった1時間で行ける距離をわざわざ軍用機で、しかも4機のオスプレイに先導されるかたちで移動した。さらに同行する大統領付きの武官は「フットボール」と呼ばれる核兵器の「発射キット」を携行していました。

 アメリカ大統領とは、すなわち核兵器を世界戦略の中心に据えた世界最強の米軍の最高司令官であり、彼は日本の上空を事実上自由に、自国の軍用機を引き連れて移動することができる──皮肉にも、そうした歪んだ現実世界の姿をまざまざと見せつけた、ノーベル平和賞受賞大統領の広島訪問となりました。

 ◆見せかけにすぎない「独立」と「安保改定」

 「日本の空」がすべて戦後70年以上経ったいまでも、完全に米軍に支配されているということは、じつは日本の法律の条文に、はっきり書かれている「事実」です。

 下は1952年、占領終結と同時に、新たに制定された日本の国内法(航空法特例法)の条文です。そこにはまさに、身もフタもない真実が書かれているのです。

 航空法特例法 第3項
 「前項の航空機〔=米軍機と国連軍機〕(略)については、航空法第6章の規定は(略)適用しない」

 ここで重要なのは、右の条文で「適用しない」とされている「航空法第6章」とは、航空機の安全な運行について定めた法律だということです。つまり、「離着陸する場所」「飛行禁止区域」「最低高度」「制限速度」「飛行計画の通報と承認」など、航空機が安全に運行するための43ヵ条(第57~99条)もの条文が、すべて米軍機には適用されないことになっているのです。

 要するに、もともと米軍機は日本の上空において、どれだけ危険な飛行をしてもいい、それは合法だということなのです。この条文のもとで米軍は、1952年に占領が終わったあとも変わらず日本の上空で、なんの制約も受けずに飛ぶ権利を持ち続けました。

 そして、それから60年以上たった現在に至るまで、この条文はひと文字も変更されていません。そのことだけを見ても1952年の「独立」や、1960年の「安保改定」が、いかに見せかけだけのものだったかがわかるのです。

知ってはいけない

***

本稿は、『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の第1章を再構成したものです。同書の特設サイトでは、第1章のほか、「はじめに」「あとがき」「追記」、各章のまとめとしてのわかりやすい四コマまんが(計9本/商業目的以外であればマンガの使用・拡散は自由です)を無料で公開していますので、ぜひご覧ください。

 ◆矢部 宏治

 1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に累計17万部を突破した『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J.M.ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日米安保・在日米軍】  2017年09月05日  09:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【特権を問う】:「地元の不満は分かる」 沖縄で軍法会議に携わった元法務官らが語る米軍司法制度

2024-12-05 23:54:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【特権を問う】:「地元の不満は分かる」 沖縄で軍法会議に携わった元法務官らが語る米軍司法制度

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特権を問う】:「地元の不満は分かる」 沖縄で軍法会議に携わった元法務官らが語る米軍司法制度

 日本で公務中に事件・事故を起こした米軍関係者の大半が、米軍の裁判を受けないまま軍内部の懲戒処分で済まされていた。日本から実情が見えにくい米軍内部で処分はどう決められているのか。裁判にかけられるべき事案が懲戒処分で済まされることはあるのか。空軍の検察官トップを歴任したドン・クリステンセン氏と、沖縄をはじめとする米国内外の基地で検察官や判事を務めた米ニューメキシコ大のジョシュア・カステンバーグ教授にそれぞれ話を聞いた。【川上珠実】

 「プロテクト・アワー・ディフェンダーズ」のドン・クリステンセン理事長=本人提供

 ◆ドン・クリステンセン(Don Christensen)氏

 米マーケット大で法務博士号取得。1991年に空軍の法務官になり、2010~14年に空軍の検察官トップにあたる主任検察官を務めた。退役空軍大佐。現在、米軍内の犯罪被害者支援に取り組む人権擁護団体「プロテクト・アワー・ディフェンダーズ」の理事長を務めている。

――米軍事司法制度と一般の米司法制度はどこが最も違うのでしょうか。

 ◆米軍事司法制度は、法務官である検察官ではなく司令官がコントロールしています。一般の司法制度では検察官が訴追するかどうか判断しますが、軍事司法制度では司令官が決断します。彼らは検察官のような法律家ではないにもかかわらず、罪に問われた人を裁判にかけるかどうか決めることができるのです。

 米軍事司法制度は英国に倣ったもので、ジョージ・ワシントン初代大統領のときから基本的な仕組みは変わっていません。しかし、英国をはじめとする多くの同盟国はその後、…

 ※:この記事は有料会員限定です。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【事件・犯罪・疑惑】  2021年01月17日  06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

2024-12-05 23:53:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 ■【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」  

 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。

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  photo by gettyimages(KODANSHA)

 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

 *本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。

 ◆日米両国の「本当の関係」とは?

 ◆マッカーサーの迷い

 ◆「6・23メモ」の謎

 ■矢部 宏治 

 【関連記事】

 

  元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2024年05月27日  06:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

2024-12-05 23:53:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 ■ 【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」  

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  photo by gettyimages(KODANSHA)

 ◆はじめに

 ◆事実か、それとも「特大の妄想」か

 ■矢部 宏治

 【関連記事】

  元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2024年05月15日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

2024-12-05 23:53:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。

 

 おかしい。

 不思議だ。

 どう考えても普通の国ではない。

 みなさんは、ご自分が暮らす「戦後日本」という国について、そう思ったことはないでしょうか。

 おそらくどんな人でも、一度はそう思ったことがあるはずです。アメリカ、中国に次ぐ世界第三位の経済大国であり、治安のよさや文化水準の高さなど、誇るべき点もたしかに多い私たちの国、日本。しかしその根っこには、どう隠そうとしても隠しきれない、とんでもない歪みが存在しています。

 たとえば私が本を書くたびに触れている「横田空域」の問題です。

 じつは日本の首都圏の上空は米軍に支配されていて、日本の航空機は米軍の許可がないとそこを飛ぶことができません。いちいち許可をとるわけにはいかないので、JALやANAの定期便はこの巨大な山脈のような空域を避けて、非常に不自然なルートを飛ぶことを強いられているのです。

 とくに空域の南側は羽田空港や成田空港に着陸する航空機が密集し、非常に危険な状態になっています。

 また緊急時、たとえば前方に落雷や雹の危険がある積乱雲があって、そこを避けて飛びたいときでも、管制官から、

 「横田空域には入らず、そのまま飛べ」

 と指示されてしまう。

 6年前に、はじめてこの問題を本で紹介したときは、信じてくれない人も多かったのですが、その後、新聞やテレビでも取り上げられるようになり、「横田空域」について知る人の数もかなり増えてきました。

 それでもくどいようですが、私は今回もまた、この問題から話を始めることにします。

 なぜならそれは、数十万人程度の人たちが知っていればそれでいい、という問題ではない。少なくとも数千万単位の日本人が、常識として知っていなければならないことだと思うからです。

  ◆エリート官僚もよくわかっていない「横田空域」

 もちろんこの「横田空域」のような奇怪なものが存在するのは、世界を見まわしてみても日本だけです。

 では、どうして日本だけがそんなことになっているのでしょう。

 私が7年前にこの事実を知ったときに驚いたのは、日本のエリート官僚と呼ばれる人たちがこの問題について、ほとんど何も知識を持っていないということでした。

 まず、多くの官僚たちが「横田空域」の存在そのものを知らない。ごくまれに知っている人がいても、なぜそんなものが首都圏上空に存在するかについては、もちろんまったくわかっていない。

 これほど巨大な存在について、国家の中枢にいる人たちが何も知らないのです。

 日本を普通の独立国と呼ぶことは、とてもできないでしょう。

 「いったい、いつからこんなものがあるのか」

 「いったい、なぜ、こんなものがあるのか」

 その答えを本当の意味で知るためには、この本を最後まで読んでいただく必要があります。じつは私自身、右のふたつの疑問について、歴史的背景も含めて完全に理解できたのは、わずか1年前のことなのです。

 ◆世田谷区、中野区、杉並区の上空も「横田空域」

 まず、たしかな事実からご紹介しましょう。

 横田空域は、東京都の西部(福生市ほか)にある米軍・横田基地が管理する空域です。

 いちばん高いところで7000メートル、まさにヒマラヤ山脈のような巨大な米軍専用空域が、日本の空を東西まっぷたつに分断しているのです。

 ここで「米軍基地は沖縄だけの問題でしょう?」と思っている首都圏のみなさんに、少し当事者意識をもっていただくため、横田空域の詳しい境界線を載せておきます(書籍版に掲載)。

 東京の場合、横田空域の境界は駅でいうと、上板橋駅、江古田駅、沼袋駅、中野駅、代田橋駅、等々力駅のほぼ上空を南北に走っています。高級住宅地といわれる世田谷区、杉並区、練馬区、武蔵野市などは、ほぼ全域がこの横田空域内にあるのです。

 この境界線の内側上空でなら、米軍はどんな軍事演習をすることも可能ですし、日本政府からその許可を得る必要もありません。2020年(米会計年度)から横田基地に配備されることが決まっているオスプレイは、すでにこの空域内で頻繁に低空飛行訓練を行っているのです(富士演習場~厚木基地ルートなど/オスプレイの危険性については『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』第2章で詳述します)。

 むやみに驚かすつもりはありませんが、もしこの空域内でオスプレイが墜落して死者が出ても、事故の原因が日本側に公表されることはありませんし、正当な補償がなされることもありません。

 そのことは、いまから40年前(1977年9月27日)に同じ横田空域内で起きた、横浜市緑区(現・青葉区)での米軍ファントム機・墜落事件の例を見れば、明らかです。

 このときは「死者二名、重軽傷者六名、家屋全焼一棟、損壊三棟」という大事故だったにもかかわらず、パラシュートで脱出した米兵2名は、現場へ急行した自衛隊機によって厚木基地に運ばれ、その後、いつのまにかアメリカへ帰国。裁判で事故の調査報告書の公表を求めた被害者たちには、「日付も作成者の名前もない報告書の要旨」が示されただけでした。

 こうした米軍が支配する空域の例は、日本国内にあとふたつあります。中国・四国地方にある「岩国空域」と、2010年まで沖縄にあった「嘉手納空域」です。

 ◆巨大な空域に国内法の根拠はない

 「横田空域」と「岩国空域」という、米軍が管理するこのふたつの巨大な空域に関して、私たち日本人が、もっとも注目すべきポイントがあります。

 それは空域の大きさではありません。

 私たちが本当に注目しなければならないのは、

 「この横田と岩国にある巨大な米軍の管理空域について、国内法の根拠はなにもない」

という驚くべき事実なのです(「日米地位協定の考え方 増補版」)。

 「自国の首都圏上空を含む巨大な空域が、外国軍に支配(管理)されていて、じつはそのことについての国内法の根拠が何もない」

 いったいなぜ、そんな状況が放置されているのでしょうか。

 さらに連載記事<なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」>では、日本を縛る「日米の密約」の正体について、詳しく解説します。

 本記事の抜粋元『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)では、私たちの未来を脅かす「9つの掟」の正体、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」など、日本と米国の知られざる関係について解説しています。ぜひ、お手に取ってみてください。
 
 ■矢部 宏治 KOJI YABE
 
 1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に累計17万部を突破した『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J.M.ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2023年11月09日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

2024-12-05 23:52:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。 

PHOTO by iStock

 ◆はじめに

 それほどしょっちゅうではないのですが、私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、

 「また陰謀論か」
 「妄想もいいかげんにしろ」
 「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」

 などと批判されることが、よくあります。

 あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。

 自分が調べて本に書いている内容について、いちばん「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。

 「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」

 いつもそう思っているのです。

 ◆事実か、それとも「特大の妄想」か

 けれども本書をお読みになればわかるとおり、残念ながらそれらはすべて、複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実ばかりなのです。

 ひとつ、簡単な例をあげましょう。

 以前、田原総一朗さんのラジオ番組(文化放送「田原総一朗 オフレコ!」)に出演し、米軍基地問題について話したとき、こんなことがありました。ラジオを聞いていたリスナーのひとりから、放送終了後すぐ、大手ネット書店の「読者投稿欄」に次のような書き込みがされたのです。

 ★☆☆☆☆〔星1つ〕 UFO博士か?

 なんだか、UFOを見たとか言って騒いでいる妄想ですね。先ほど、ご本人が出演したラジオ番組を聞きましたが(略)なぜ、米軍に〔日本から〕出て行って欲しいというのかも全く理解できないし、〔米軍〕基地を勝手にどこでも作れるという特大の妄想が正しいのなら、(略)東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議〔なのでは〕?

 もし私の本を読まずにラジオだけを聞いていたら、こう思われるのは、まったく当然の話だと思います。私自身、たった七年前にはこのリスナーとほとんど同じようなことを考えていたので、こうして文句をいいたくなる人の気持ちはとてもよくわかるのです。

 けれども、私がこれまでに書いた本を一冊でも読んだことのある人なら、東京のまさしく「ど真ん中」である六本木と南麻布に、それぞれ非常に重要な米軍基地(「六本木ヘリポート」と「ニューサンノー米軍センター」)があることをみなさんよくご存じだと思います。

 そしてこのあと詳しく見ていくように、日本の首都・東京が、じつは沖縄と並ぶほど米軍支配の激しい、世界でも例のない場所だということも。

 さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。

 なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)のなかに、

 ○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。
 ○ 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 という見解が、明確に書かれているからです。

 つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」ということはできない。

 そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。

 ◆北方領土問題が解決できない理由

 さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、この極秘マニュアルによれば、そうした法的権利をアメリカが持っている以上、たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、次のような大原則が存在するというのです。

 ○ だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。*註1

 こんな条件をロシアが呑むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

 そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、ほぼ間違いなく日米のあいだに、この問題について文書で合意した非公開議事録(事実上の密約)があることを意味しています。

 したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

 たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、担当部局が頑張って素晴らしい条約案をつくったとしても、最終的にはこの日米合意を根拠として、その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

 2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、大きな注目を集めました。なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと報道されたのですから、人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

 ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

 その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

 官邸のなかには一時、この北方領土と米軍基地の問題について、アメリカ側と改めて交渉する道を検討した人たちもいたようですが、やはり実現せず、結局11月上旬、モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長から、

 「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」

 という基本方針が、ロシア側に伝えられることになったのです。

 その報告を聞いたプーチン大統領は、11月19日、ペルー・リマでの日ロ首脳会談の席上で、安倍首相に対し、

 「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」

 と述べたことがわかっています(「朝日新聞」2016年12月26日)。

 ほとんどの日本人は知らなかったわけですが、この時点ですでに、1ヵ月後の日本での領土返還交渉がゼロ回答に終わることは、完全に確定していたのです。

 もしもこのとき、安倍首相が従来の日米合意に逆らって、

 「いや、それは違う。私は今回の日ロ首脳会談で、返還された島には米軍基地を置かないと約束するつもりだ」

 などと返答していたら、彼は、2010年に普天間基地の沖縄県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫首相(当時)と同じく、すぐに政権の座を追われることになったでしょう。

 ◆「戦後日本」に存在する「ウラの掟」

 私たちが暮らす「戦後日本」という国には、国民はもちろん、首相でさえもよくわかっていないそうした「ウラの掟」が数多く存在し、社会全体の構造を大きく歪めてしまっています。

 そして残念なことに、そういう掟のほとんどは、じつは日米両政府のあいだではなく、米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

 私が本書を執筆したのは、そうした「ウラの掟」の全体像を、

 「高校生にもわかるように、また外国の人にもわかるように、短く簡単に書いてほしい」

 という依頼を出版社から受けたからでした。

 また、『知ってはいけない』というタイトルをつけたのは、おそらくほとんどの読者にとって、そうした事実を知らないほうが、あと10年ほどは心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。

 なので大変失礼ですが、もうかなりご高齢で、しかもご自分の人生と日本の現状にほぼ満足しているという方は、この本を読まないほうがいいかもしれません。

 けれども若い学生のみなさんや、現役世代の社会人の方々は、そうはいきません。みなさんが生きている間に、日本は必ず大きな社会変動を経験することになるからです。

 私がこれからこの本で明らかにするような9つのウラの掟(全9章)と、その歪みがもたらす日本の「法治国家崩壊状態」は、いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、猛烈な勢いで広がり始めています。

 今後、その被害にあう人の数が次第に増え、国民の間に大きな不満が蓄積された結果、「戦後日本」というこれまで長くつづいた国のかたちを、否応なく変えざるをえない日が必ずやってきます。 

 そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、ぜひこの本を読んでみてください。

 そしてこれまで明らかにされてこなかった「日米間の隠された法的関係」についての、全体像に触れていただければと思います。

 ◆「リアル陰謀論」

 本というのは不思議なもので、書き手としては、自分が大切だと思ったことをいろいろと並べて書いているわけですが、読者の方の興味というのは、かなり特定の問題にピンポイントで集中することが多い。

 そうした読者からの反応を聞いてはじめて、

 「ああ、自分が書いた本の核心はここにあったのか」

 と気づかされることが多いのです。

 私がこれまでに書いた本でいうと、第一章でお話しした「横田空域」と、本章で扱う「日米合同委員会」の問題が、圧倒的にみなさんの関心をひくようです。

 しかし、よく考えてみるとそれも当然の話で、もしも私が数年前に誰かから、 

 「日本の超エリート官僚というのはね、実は月に二度ほど、都内にある米軍基地などで在日米軍のトップたちと秘密の会議をしているんだ。それで、そこで決まったことは国会に報告する義務も、外部に公表する義務もなく、事実上ノーチェックで実行することができる。つまりその秘密会議は、日本の国会よりも憲法よりも、上位の存在というわけさ」

 などといわれたら、確実に、

 「コイツはおかしいから、つきあうのはやめよう」

 と思ったはずです。

 「これが陰謀論者というやつか」

 とも思ったことでしょう。

 けれどもそういう「リアル陰謀論」とでもいうべき世界が本当に実在することが、いまでは広く認知されるようになりました。

 それが日米合同委員会です。

 ◆米軍の「リモコン装置」

 日米合同委員会というのは、その研究の第一人者であるジャーナリストの吉田敏浩氏の表現を借りれば、

 「米軍が「戦後日本」において、占領期の特権をそのまま持ち続けるためのリモコン装置」

 ということになります。

 占領時代、米軍の権力はまさにオールマイティ。日本の国内法など、何も関係なく行動することができました。どこでも基地にして、いつでも軍事演習をして、たとえ日本人を殺したりケガをさせても罪に問われない。

そうした圧倒的な特権を、日本が独立したあとも、「見かけ」だけを改善するかたちで以前と変わらず持ち続けたい──そうしたアメリカの軍部の要望を実現するために、「戦後日本」に残されたリモコン装置が日米合同委員会だというわけです。

 この組織のトップに位置する本会議には、日本側6人、アメリカ側7人が出席します。月にだいたい2回、隔週木曜日の午前11時から、日本側代表が議長のときは外務省の施設内で、アメリカ側代表が議長のときは米軍基地内の会議室で開かれています。

 おそらく横田基地からなのでしょう。木曜日の午前11時前に、軍用ヘリで六本木にある米軍基地(「六本木ヘリポート」)に降り立ち、そこから会議室がある南麻布の米軍施設(「ニューサンノー米軍センター」)に続々と到着する米軍関係者の姿を、2016年12月6日に放映された「報道ステーション」が捉えていました。

 ◆日米合同委員会に激怒していた駐日首席公使

 この日米合同委員会でもっともおかしなことは、本会議と30以上の分科会の、日本側メンバーがすべて各省のエリート官僚であるのに対し、アメリカ側メンバーは、たった一人をのぞいて全員が軍人だということです。

 アメリカ側で、たった一人だけ軍人でない人物というのは、アメリカ大使館の公使、つまり外交官なのですが、おもしろいことにその公使が、日米合同委員会という組織について、激しく批判している例が過去に何度もあるのです。

 有名なのは、沖縄返還交渉を担当したスナイダーという駐日首席公使ですが、彼は、米軍の軍人たちが日本の官僚と直接協議して指示を与えるという、日米合同委員会のありかたは、

 「きわめて異常なものです」

 と上司の駐日大使に報告しています。

 それは当たり前で、どんな国でも、相手国の政府と最初に話し合うのは大使や公使といった外交官に決まっている。そして、そこで決定した内容を軍人に伝える。それが「シヴィリアン・コントロール(文民統制)」と呼ばれる民主国家の原則です。

 ですから、スナイダーが次のように激怒しているのは当然なのです。

 「本来なら、ほかのすべての国のように、米軍に関する問題は、まず駐留国〔=日本〕の官僚と、アメリカ大使館の外交官によって処理されなければなりません」
「ところが日本における日米合同委員会がそうなっていないのは、ようするに日本では、アメリカ大使館がまだ存在しない占領中にできあがった、米軍と日本の官僚とのあいだの異常な直接的関係が、いまだに続いているということなのです」(「アメリカ外交文書(Foreign Relations of the United States)」(以下、FRUS)1972年4月6日)

 ◆日本という「半分主権国家」

 このように当のアメリカの外交官にさえ、「占領中にできあがった異常な関係」といわれてしまう、この米軍と日本のエリート官僚の協議機関、日米合同委員会とは、いったいなぜ生まれたのでしょう。

 詳しくは本書の後半でお話ししますが、歴史をさかのぼれば、もともと占領が終わる2年前、1950年初頭の段階で、アメリカの軍部は日本を独立させることに絶対反対の立場をとっていました。すでにソ連や中国とのあいだで冷戦が始まりつつあったからです。

しかし、それでもアメリカ政府がどうしても日本を独立させるというなら、それは、
「在日米軍の法的地位は変えない半分平和条約を結ぶ」(陸軍次官ヴォーヒーズ)

 あるいは、

 「政治と経済については、日本とのあいだに「正常化協定」を結ぶが、軍事面では占領体制をそのまま継続する」(軍部を説得するためのバターワース極東担当国務次官補の案)

 というかたちでなければならない、と考えていたのです(「アメリカ外交文書(FRUS)」1950年1月18日)。

 この上のふたつの米軍の基本方針を、もう一度じっくりと読んでみてください。

 私は7年前から、沖縄と本土でいくつもの米軍基地の取材をしてきましたが、調べれば調べるほど、いまの日本の現実をあらわす言葉として、これほど的確な表現はないと思います。

PHOTO by iStock
 
 つまり「戦後日本」という国は、

 「在日米軍の法的地位は変えず」
 「軍事面での占領体制がそのまま継続した」
 「半分主権国家」

 として国際社会に復帰したということです。

 その「本当の姿」を日本国民に隠しながら、しかもその体制を長く続けていくための政治的装置が、1952年に発足した日米合同委員会なのです。

 ですからそこで合意された内容は、国会の承認も必要としないし、公開する必要もない。ときには憲法の規定を超えることもある。その点について日米間の合意が存在することは、すでにアメリカ側の公文書(→72ページ「安保法体系の構造」の日米合同委員会の項を参照)によって明らかにされているのです。

 ◆「対米従属」の根幹

 こうして日米合同委員会の研究が進んだことで、「日本の対米従属」という戦後最大の問題についても、そのメカニズムが、かなり解明されることになりました。

 もちろん「軍事」の世界だけでなく、「政治」の世界にも「経済」の世界にも、アメリカ優位の状況は存在します。

 しかし「政治」と「経済」の世界における対米従属は、さきほどの軍部の方針を見てもわかるように、

 「あくまで法的関係は正常化されたうえでの上下関係」であって、
 「占領体制が法的に継続した軍事面での関係」

 とは、まったくレベルが違う話なのです。

 私たち日本人がこれから克服しなければならない最大の課題である「対米従属」の根幹には、軍事面での法的な従属関係がある。

 つまり、「アメリカへの従属」というよりも、それは「米軍への従属」であり、しかもその本質は精神的なものではなく、法的にガッチリと押さえこまれているものだということです。

 そこのところを、はっきりとおさえておく必要があるのです。

 私自身、いろいろ調べた末にこの日米合同委員会の存在にたどりついたとき、

 「ああ、これだったのか」

 と目からウロコが落ちるような気持ちがしました。それまで見えなかった日米関係の本質が、はっきり理解できるようになったからです。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【戦後の日米関係・担当:矢部 宏治】  2023年07月29日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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