対象にしたのは、総額32兆円の2022年度補正予算だ。ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、エネルギー価格の上昇や物価高への対策を柱に編成された。
個別に支出状況を把握できた138事業では、計約19兆円の予算の46%が年度内に消化されていなかった。
うち34事業は、計約1兆5000億円の予算全額が翌年度に繰り越された。約6000億円は最終的に使われなかった。
事業の妥当性が十分に精査されないまま、予算が水膨れしていた実態が浮かび上がる。適正だったかどうかの検証ができるような仕組みが欠かせない。
補正予算は本来、当初予算を組んだ後に災害など不測の事態が生じ、緊急に支出が必要な場合に編成するものである。
しかし、当初予算で対応すべき公共事業費などが盛り込まれることが多い。短期間での編成となり査定が甘くなりがちだ。
コロナ禍への対策に迫られた20年度以降は、膨張ぶりが顕著だ。
財源の多くは国債が占める。大盤振る舞いを続ければ将来世代にツケを回すことになる。
政府は先週、総額13兆9000億円の補正予算案を閣議決定した。前年度を上回り、「規模ありき」との批判が出ている。臨時国会で審議を尽くすべきだ。
支出後のチェックも必須だ。
検査院の報告では、コロナ対策として自治体に使い方を委ねた地方創生臨時交付金について、問題点が指摘された。
不正受給などがあったにもかかわらず、170億円が国に返還されていない。総額18兆円余の予算のうち3兆円余が不要になった。
税金の浪費を防ぐには、決算の審査が重要になる。支出の効果を検証し、不必要、不適切なものをあぶり出して、次の予算編成に反映させる。そうした国会の機能を強化しなければならない。
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