《社説①・12.04》:公取委がアマゾン検査 看過できない不当な取引
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.04》:公取委がアマゾン検査 看過できない不当な取引
ネット販売の場を提供する立場を乱用し、取引先に不利な条件を課す行為は許されない。ただちに是正すべきだ。
通販最大手アマゾンジャパンが独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。
アマゾン・コムのロゴ=東京都品川区で2023年12月19日、後藤豪撮影
通販サイトの出品者に対し、商品の値下げを強いた可能性がある。自社が運営する有償の配送サービスを利用するよう圧力をかけた疑いも持たれている。
公取委が問題視したのは、同じ商品を複数の事業者が出品する場合、一つだけが「おすすめ」として目立つように表示される仕組みだ。選ばれるかどうかで売れ行きは大きく変わる。
しかし、選定基準はわかりにくい。他社のサイトより値段が安く、アマゾンの配送サービスを利用する出品者の商品が選ばれやすいとの指摘が出ている。
通販サイトに販路を依存する出品者に対し、アマゾンは優越的な立場にある。こうした取引関係に乗じて不利益を与える行為は、独禁法に抵触する。
消費者は安値の恩恵を受ける。ただ、事業者が不公正な取引によって市場シェアを高め、価格を決める力を持つようになれば、つり上げることも可能になる。
国内のネット通販市場の約3割を占める最大手だけに、影響力は大きい。公取委は検査で入手した資料や出品者から得た情報をもとに実態を把握し、デジタル寡占の弊害を正さなければならない。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月04日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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