《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い
議論を深めて合意を得ようとする意欲が感じられない。 臨時国会の代表質問における石破茂首相の答弁である。先の衆院選で少数与党となって初めて迎えた本格的な国会だ。野党の協力なしに法案も予算案も成立しない。それなのに、石破首相は踏み込んだ答弁を避け、従来と同様の見解を繰り返した。
今国会の焦点は、政治資金規正法の再改定など「政治とカネ」の問題や、経済対策の財源となる総額約14兆円の補正予算案だ。「政治とカネ」では企業・団体献金の是非や、使途公開が不要な政策活動費の廃止などが問われる。
立憲民主党の野田佳彦代表は政策活動費の全廃を要求し、企業・団体献金禁止を「改革の本丸」として「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と追及した。
石破首相は政策活動費を廃止する方針を示したものの、「外交や企業の営業秘密への配慮」として使途を非公開にする支出も温存する意向を表明。企業・団体献金は「不適切とは考えていない」と述べた。野党に対する「ゼロ回答」といえる。
裏金事件に関係した議員の衆院政治倫理審査会への出席は「必要な説明責任を果たすよう促している」としただけだ。
衆院選の結果は、政府と自民党の裏金問題に対する姿勢や、政治資金規正法の改定が中途半端に終わったことなどに対して、有権者の批判が表れた。石破首相は信頼を取り戻すために、「政治とカネ」問題の徹底した議論が欠かせないことを改めて認識すべきだ。
一方通行の質問と答弁になる代表質問では、議論の限界もある。首相と全閣僚が一問一答形式で質問に答える予算委員会は衆院で5日、参院で6日に開かれる。
衆院の委員長は立民の安住淳氏だ。代表質問で浮き彫りになった政府と野党の認識の違いを前提に論点を整理し、議論を深める必要がある。与野党伯仲の国会論戦の試金石となる。
気になるのは、国民民主の対応だ。同党が訴える政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向け、自公国3党が協力する方針を確認している。
3党協力がさらに進めば従来と同様、密室交渉が中心となる。石破首相は国民民主の代表質問でも「103万円の壁」の引き上げ幅は「税調会長間で議論を深めてほしい」と述べた。公開の場での「熟議」が求められていることを忘れてはならない。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月04日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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