《社説②・12.28》:少数与党下の予算案 リスク高める膨張一辺倒
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.28》:少数与党下の予算案 リスク高める膨張一辺倒
膨張一辺倒の予算編成は借金財政を一段と悪化させる。少数与党の下でバラマキ色が強まれば、リスクはさらに高まる。
政府の2025年度予算案は過去最大の115兆円強に上った。13兆円を超す巨額の補正予算が成立したばかりだ。コロナ禍で急増した歳出を平時に戻す方針を示していたが、道筋は見えない。
予算の3割以上を占める社会保障費は、高齢化によって膨らむ一方だ。防衛費も大幅に増え、初の8兆円台となった。
事業の費用対効果を精査することが不可欠だが、疑問符が付くケースも目につく。
石破茂首相肝煎りの地方創生策として、自治体向けの交付金を倍増させる。だが、東京一極集中に歯止めを掛けられなかった過去の政策の検証は十分とは言えない。
好調な企業業績などを背景に、税収は最高の78兆円となる見通しだが、歳出を賄うには程遠い。28兆円超の国債を新たに発行し、借金に頼る構造は変わらない。
例年なら原案のまま成立するが、今回は年明けに行う野党との協議次第で修正も視野に入る。
予算は国民生活に深く関わる。与野党が幅広い観点から議論することは望ましい。
国民民主党は物価高対策として所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げを求めている。日本維新の会は子育て支援のため、高校無償化を主張する。
与党は「年収の壁」を123万円とする方針だが、178万円を主張する国民民主は受け入れていない。与党が丸のみすれば、国と地方の税収は年7兆~8兆円も減る。高校無償化も維新の試算では年6000億円が必要になる。
来年の参院選目当てに大盤振る舞いを競い合う事態は避けなければならない。
政府は財政健全化の指標である基礎的収支を25年度に黒字化する目標を掲げているが、野放図な運営が続く限り、達成は難しい。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月28日 02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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