たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2004年宙組『ファントム』

2018年12月07日 17時06分27秒 | 宝塚
 まだ頭の中は昨日の夢の世界が続いています。久しぶりに遅い時間まで起きていたからか、久しぶりにかえって寝つくことができませんでした。望海さんファントムと真彩さんクリスティーヌの美しい歌声がずっとリフレイン。二人のハーモニー、美しかったですね。

 駅から遠い実家にいると。一番近い店に行くにも何10分も歩かなければならず、出かけることができないので書けなかったブログ、少しずつあれもこれもと書いています。

 3月に、雪組『ファントム』再演でSNSが盛り上がったとき、宙組の初演を観劇しているわたしの中にすぐに脳内再生されたのが、『オペラ座の怪人』の楽曲の印象が強すぎて、観終わったときなんだかヘンな感じだったこと、ファントムへの愛を歌ったクリスティーヌが、ファントムの顔をみたがって仮面を外してほしいと言って、でもファントムが仮面を外すと醜さに耐えられず悲鳴をあげて倒れる場面があったこと、ファントムが住む地下の沼へと船でクリスティーヌが入っていく場面があったことなどでした。記憶は断片的。昨日観劇しながら、この歌聴いたなあと『凱旋門』同様、体が記憶していました。キャリエールを演じていたのは樹里咲穂さんでした。カルロッタはどなただったかなと振り返ると当時の宙組で、出雲綾さん以外のキャスティングはあり得ませんでしたね。昨日の舞台、初演は舞台全体が暗いかった印象があり、パリとオペラ座の場面がずいぶん煌びやかで明るくなったように感じました。映像も駆使して、時代の流れと共に舞台も変わりました。望海さんファントムは横顔がとてもつなく美しかったですが、和央ようかさんファントムは上背もあり立ち姿がほんとに美しい。

 お正月の宝塚大劇場遠征時の写真、宝塚ホテルの1階に展示されていた過去作品のポスターの中に、『ファントム』と『凱旋門』がありました。他にも『スカーレットピンパーネル』『王家に捧ぐ歌』『エリザベート』など再演されている作品の初演ポスターがいっぱい。






「宝塚歌劇団 が「ファントム」を上演すると聞いて、アンドリュー・ロイド=ウェバー版ミュージカル「オペラ座の怪人」を頭に思い浮かべるのは、おそらく筆者だけではないだろ う。 原作は、両作品ともフランスの小説家ガストン・ルルーの「 オペラ座の怪人」である。 1911年に出版されたこの怪奇小説は、1925年にロン・チャニー主演の映画化によって世
界的な名声を博した。その後も、映画、テレビ、ミュージカルと数多くの作品がつくられて いる。

 今回、宝塚歌劇団宙組が上演するのは、脚本家アーサー・コビットと作詞・作曲家モーリー・イェストン版のミュージカル「ファントム」だ。 二人の名を世に知らしめたのは 、 1982年のミュージカル「ナイン」である。この作品は 演劇界のアカデミー賞といわれるト ニー賞最優秀作品賞を受賞。また、イェストンは、1993年に宝塚歌劇団によって上演され
た「グランドホテル」の作曲家としても知られ、その後もミュージカル「タイタニック」 、アントニオ・バンデラス主演で話題になったリバイバル版 「ナイン」でもトニー賞に輝いた、ブロードウェイで活躍する作曲家である。

「オペラ座の怪人」のミュージカル化を最初に発案したコピッ トとイェストン。二人は、 醜い顔を持ったファントムの純粋で美しい心は 、音楽で表現されるのに最適であると考え 、真実の愛に溢れるファントムの心をモチーフに、 長い時間をかけてストーリーを構築した。しかし、「ジーザス・クライスト・スーパー・スター」(1971年)、「エヴィータ」 (1979年 )をたて続けにヒットさせたアンドリュー・ロイド=ウェバーの「オペラ座の怪人」 が突如浮上。1986年、ロンドン・ウエストエンドで開幕したウェバー版はたちまち大ヒッ トを記録し、その後すぐにニューヨーク・ブロードウェイでも開幕することが発表されたの だ。そのため、コピットとイェストン版はブロードウェイで大成功を収めるだろうといわれながらも製作を断念せざるをえず、ブロードウェイ上演は幻となってしまったのだった。その後、彼らの作品は1990年に短編テレビドラマとして製作され、1991年にはテキサス州ヒューストンで初の舞台化が実現。ファントムの人間像に焦点をあてたストーリーと、 独創的な楽曲は多くの人を魅了し、ブロードウェイで上演されなかったにもかかわらず、世界中で高い評価を受け異例の大ヒット作となったのである。


 この作品の何よりの魅力は、アンドリュー・ロイド=ウェバー版では語られなかったファ ントムの真実の姿と究極の愛を描いていること。 一幕はオペラ座の地下での暮らしや、 クリスティーヌヘの憧れ、そして自分の顔に嫌悪感を抱くファントムの人物像を描いている。
二幕では、彼の生い立ちまでも明かされ、ファントムが恋に落ちたクリスティーヌヘ究極の愛を様々な視点から見ることができる。ファントムを捕らえようとし、 誤ってバルコニーから転落しそうになった伯爵を、危険も顧みず助けようとするファントム。彼は最期をむかえるが、素顔のファントムはクリステイーヌの愛につつまれながら 彼女の腕の中で安らかに息を引き取る。


 鮮烈な印象が残る音楽の歌詞とメロディーは、綿密に物語に結びついている。 舞台はパリのオペラ座。ファントムは美しい音楽の世界の中で暮らし、クリスティーヌと音楽を通して出会う。「ファントム」は、まさに音楽がすべての物語を語っている。イェストンの楽曲は、時間と空間を鋭く捉え、美 しい旋律のメロディで人の心を虜にしてしまう。「ナイン」 はイタリア情緒たっぷりに創作され、「タイタニック」で20世 紀初期アメリカの時代背景を楽曲に表現。 そして 、「ファントム」には、パリならではの音楽の旋律をふんだんに盛り込み「ボンジュール!」という明るい挨拶が印象的な「パリのメロディ」 、フレンチカンカンの要素が入った「夜のための着替え」と 、どの楽曲もフランスらしい雰囲気に溢れている 。


 世界で800以上の演劇グループが 「ファントム」を上演している中、作曲家イェストンは宝塚のために新曲「僕の悲劇を聴いてくれ 」、「クリスティーヌ (伯爵の歌)」を提供。 これは宝塚版への期待の証と言える。イェストン氏は言う。「ジェローム・ロビンスが ミュージカルには決して終わりが無い」と言ったように、ミュージカルは進化でき るのだ。そし
て、今回の宝塚とのコラボレーションで仕上った作品を日本の皆さんに披露できることに、 心が震えるほど興奮している。」と 、熱く語ってくれた。


 ロマンチックで愛に満ち溢れたミュージカル「ファントム」の宝塚版への期待は否が応にも膨らんでしまう。それは女性が男性を演じるタカラジェンヌの世界と二面性を持つ仮面を 付けたファントムの美しいキャラクターに接点を感じるからだ。「ファントム」」は、愛をテーマに舞台芸術を我々におくり続ける 塚歌劇団の魅惑的な演技で、 よリー層純粋で深みある作品となり、我々を幻想の世界へ導くだろう。


 平野利光(TOSHI HIRANO) ニュヨーク在住。演劇プロデューサー、ニューヨーク・ドラマデスク賞選考委員。」




























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