私家版 宮城の野鳥フィールドノート since 1976

昨シーズンの鳥の海は3月まで終了、4月からチュウシャクシギの大群とオオソリハシシギの群れ、春の渡りの記事。

2008年4月29日(火) 湯ノ倉温泉

2008年07月12日 | 花山湯ノ倉温泉
■2008/4/29(火)8:10-11:00【天気】晴れ
【場所】温湯温泉~湯ノ倉温泉,花山ダム周辺
【種名】オシドリ,シノリガモペア1・♂1,ミサゴ,トビ,キジバト,ヤマセミペア1,アオゲラ,アカゲラ,オオアカゲラ,コゲラ,キセキレイ,サンショウクイ,ヒヨドリ,モズ,カワガラス,ミソサザイ,コルリ,ヤブサメ,ウグイス,エゾムシクイ,センダイムシクイ,キビタキ,オオルリ,エナガ,ヒガラ,ヤマガラ,シジュウカラ,ホオジロ,ノジコ,スズメ,ムクドリ,ハシボソガラス,ハシブトガラス(20科種33)
【備考】今シーズン最初(で最後になってしまったが)の湯ノ倉温泉探鳥行に出かけた。例年は5月の連休だったが,昨年度は職場と仕事が変わり,この時期は「無知蒙昧」(知らないで狼狽えること)の真っ最中であったので,とても連休に鳥を見に行くところではなかった。さて,温湯温泉に着き,湯ノ倉温泉に向かおうとしていたところ,年配のご夫婦が鳥を見ている風情だった。自分も見てみると,すぐシノリガモのペアだとわかったので,教えてあげたら,やたら感心していた。山の中でシノリガモを見たのは初めてらしかった。写真を撮影するために,迫川に架かる橋に行って,下を覗くと美しい川底が見え,そのほぼ真下の大きな岩の上に,シノリガモのペアがちょこんと乗って休眠しているのであった。これから数日のうちには上流を目指すのだろう。温湯温泉を後にして湯ノ倉温泉に向かうでこぼこ道を,渓流の鳥に注意しながら走っていると,ヤマセミのペアが河原の石の上に止まっていた。けっこう近かったが,車を止めたためにこちらに気づいて撮影するまもなく飛ばれてしまったのは残念だった。白糸の滝に行く吊り橋を過ぎ,ミソサザイの声を聞きながら駐車場に着いた。崖が万が一崩れてもいいように,いつも離れたところに止めてはいる。リュックを背負い,靴をサンダルから履き替えて,橋を渡った。最初の坂でいつも息があがるので,ゆっくり周りの風景や鳥の鳴き声を楽しみながら(当たり前か!),登っていった。ブナの巨木がきれいで,また眼下の渓流がとても美しかった。いつもはあまり撮影をしないのだが,このときに限ってけっこう風景や樹木,草花を撮影しながら宿に向かった。途中,一通りの鳥の鳴き声がしたが,姿は見えずの状態で,宿に着いてしまった。いつものように,まず,シロに挨拶し,それから宿のご主人や奥様に挨拶してから露天風呂だ。30分くらい入って,あがるともうシノリガモ♂1羽が来ていた。いつものように石垣の上の角材の上に座り,撮影やら観察をした。周りはミソサザイやエゾハルセミ,それにカジカの声がする。シノリガモは潜水して盛んに採餌していたが,いつも露出をアンダーにするのを忘れて,帰宅してから見ると,できた写真はシャッタースピードの遅い,オーバー気味のもが多かった。まあ,次の回に注意して撮影しようと思ったが,それも今となってはかなわないことになってしまった。帰りの小径ではオオアカゲラのドラミングがなかなかすごかった。コナラか何かの木の後ろに回ったかと思うと,すさまじいドラミングを始めたので,しばらく聞き入ってしまった。帰りの花山湖近くの田圃の畦にミサゴがさっと舞い降りて,何か大きなものを掴んで行ってしまった。写真に撮ったがみんなオーバーの低速度シャッターで,何を掴んだのか判別がつかなかった。いずれ魚ではないので,こういうのは初めてで,驚いた。
 湯ノ倉温泉を始め,6月14日の震災で多くの方々が犠牲になり,美しい渓流は土砂に埋まって,豊かな生態系は見るも無惨に破壊されてしまった。自分が小さい頃,すさまじい豪雨で,自分の家の急峻な杉山が崩れ,土砂が山の3つある一番上の堤に流れ込み,当然堤防が切れて,次の堤,次と堤と決壊し,危うく近くの家を押し流しそうになり,その流れはまっすぐ我が家の広い桃畑に押し寄せ,すべてなぎ倒し,我が家の母屋の隣の納屋をものすごい勢いで下の田圃に流れ,広い範囲の田圃をすべて,押し流したことがあった。その後沢には砂防ダムが数カ所造られたが,その影響で土砂ダムができ,ヘビトンボの幼虫がいっぱいどこにでもおり,多くの種類の魚類が生息していた美しい沢は,今はその面影もなくなってしまった。そのスケールの遙かに大きい震災が湯ノ倉地区を始め,栗駒山麓を襲ったのだった。いかに自然のなす業とはいえ,これまでこれほど山が動くという被害を受けたことはなかったであろう。一日も早い復興と,自然がいつか元のように戻ることを願うものである。
【写真】
  
■温湯温泉の迫川にかかる橋の上から撮影した岩の上のシノリガモのペア
  
■湯ノ倉温泉に行く橋を渡り,少し急な山道を登っていくとブナの林が美しく,下を見ると,迫川上流の清流が見える。そこから15分ほど歩けば湯ノ倉温泉の赤いトタン屋根が見え,いつも座ってシノリガモを待つ,石垣がある。
  
■小径の真ん中に羽が散乱していた。湯ノ倉温泉近くの陽の当たる道端には白や青花のキクザキイチゲが咲いている。湯ノ倉温泉のシノリガモ♂。今日♂は2個体目。
  
■水中に潜って採餌するシノリガモ♂。海にいるときとは雰囲気がかなり違う。けっこうのんびり屋だ。♂♀複数でいるときにはまたかなり様子が違うが。
  
■餌を食べて下流に戻っていくシノリガモ♂
  シノリガモ♂と宿の母屋と客室をつなぐ連絡通路の屋根の上に止まっているキセキレイ。

  
■急峻な斜面沿いの小径は所々,雨で崩れた斜面が露出している。車ででこぼこの山道を下ると渓流沿いにカワガラスの姿を多く見ることができる。
  

花山御番所のサクラにとまったヒヨドリ


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