アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

それ、ピアノ弾いてるつもり??

2010年09月15日 | ピアノ
小学校三年のときの「エリーゼのために」でピアノをやめ、三十年のブランクを経て再開。

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…大きく言えばそうなのだが、この「三十年」の間に、細かくいえば、ピアノを習ったことがありました。

高校生のとき、いろんな楽譜を引っ張り出して自分で勝手にピアノを弾いているうちに、どういった話のいきさつだったか忘れたが、母の主催するピアノ発表会に出してもらうということになった。曲は、チャイコフスキーの四季から、「一月」「四月」。

別に難曲というようなものではないけど、「エリーゼのために」止まりの人が突然挑戦するには大胆な選曲のような気がする。理由は忘れた。とにかく、発表会に出るなら譜読みの音間違いくらい直してもらったほうがいいよと母が言い出し(でも自分では決して教えない)、スポットで二回だけ見てくれるという先生を探してきてくれた。

それで私はのこのこと「四季」を持ってその先生のところに行ったのだが、まずそこで「一月」を弾くと、先生は開口一番こう言った。

「それ、ピアノ弾いてるつもり??」

私は、先生がなんのことをいっているのかさっぱりわからなかった。少なくとも、バイオリン弾いてるつもりとかないし、何を言ってるのだろうこの人は。

21世紀の私が「翻訳」いたしますと、
「音符を並べただけでは、ピアノを弾いたことにならない。そこに何をのせるかを考えるのが、ピアノを弾くということである」
ということになるが、そのときまでの私は、「音符を並べる」以上の音楽教育を受けたことはまったくなく、ついでにいえば、母が別のもっと進んだ生徒にピアノを教える場合でも、大雑把にいって「音符を並べる」以上の話をしているのは聞いたことがなかった。

ぽかーんとしている私を前に、その先生はチャイコフスキーという作曲家とその時代背景について語り始めた。私にしてみればだから何?? という感じである。

つまり、先生がおっしゃりたいことはたいへんもっともではあるけれど、今一回弾いたピアノを聴いてみたら土台そういうレベルではないのは明らかで、音ミスや強弱の間違いくらい直していたほうがなんぼか建設的である。というか、先生にお願いするときにあらかじめ、ピアノをずっと習っていないことと、臨時で発表会に出るにあたって、明らかな間違いくらいは直しておきたいという意向は伝えていたはずなのである。

その状況で初対面。突然歴史について語っても伝わらないわけで、教えるプロとしていうなら明らかに失格だ。

ただ、これまた今となっては当時の先生の年齢をはるかに超えた私が思うに、先生は先生としてやっていく覚悟もできてなければ、いろいろ焦りや不安もあってこういう先走ったレクチャーを口走っていたのだろう。

その先生は当時音大生。音高を出たあと、ヨーロッパのどこかに留学していて、コンクールを受け続けるが特にデビューできるような賞が取れないまま、実家のお金が続かなくなって帰国。日本の音大で勉強を続けている…という状況だった、そうだ。

つまり、コンサートピアニストを目指してやってきたけど挫折して、どうやら教えたりすることをメインにやっていかなくてはいけないという現実に向かい始めたあたり。アルバイトでピアノを教えているが、集まるのは近所のバイエルレベルの子どもばかり(実際、私の前にいた生徒さんはバイエルあたりを訥々と弾いていた)。

それで突然、曲りなりに大人の曲(?)を持ってきた生徒がいたもんだから、自分の言いたいことがバーッとまとめて出てしまったんだろう。

けどね。今は大人だからそんなこともわかるけど、当時はまったくわからなかった。ともかくなんだか情けなくて泣いて帰ってきたのを覚えている。

今なら先生にこう言ってあげたい:
「あなたが目指すピアノがどんなものであれ、音を並べて喜んでいるアマチュアの楽しみに水を差しただけでは教えたことにはならないっ!!」

というわけでこれが私の「ピアノ黒歴史」である。そのあと、また復活してピアノをさわっているわけだが、いつも頭のどこかに「それ、ピアノ弾いてるつもり??」というひっかかりがあって自分の素朴な楽しみのあり方に自信が持てない。

もちろん、八年間ピアノを習ったヤマハのS先生はそんな乱暴な言い方はなさらず、「音を並べる」楽しみから始まってそれを徐々に膨らます形で、ピアノを弾くということはどういうことか伝えようとしていたわけなんだけど。

でも、言いたかったことは結局おなじ、「音を並べただけじゃピアノを弾いたことにはならない」だったような気がする(-_-;;

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コメント (10)
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