「希望の国」は予告編で見ていて、見に行こうとは思っていたが忘れていて気が付いたら、夜の一回しか上映していなかったし、もう今週で終わりになる。
この監督の映画は初めて見た。TVのインタビュ-で、あの東北の震災の映像は沢山撮っていていつかドキュメンタリーか記録映画化をと思っていたが、でも思いを伝えるにはドラマ仕立てがいいと思ったと言っていた。
だから、あの3.11の映画かと思ったが違っていた。
あの震災後に、架空の原発がある町で、また大きな地震が起き、そして原発が爆発してしまうのだ。
認知症の妻を愛する老夫婦と、その息子夫婦と、隣の家の息子と恋人との3組の地震後を追っていた。
はっきりいって、どう感情を表していいか分からない映画だった。
老夫婦が本当に良かった。妻のチエコがとっても可愛かった。
「おとうさん、お家に帰ろうよ」 「ああ、帰ろうね。あと10分したら。あの長い針が9の所に行ったらね」 と、何回も繰り返されるシーン。
「お父さん、原発出来たの?」 「ああ、出来たよ」 「お父さん、反対してたよね」 「原発が爆発したよ」 「お父さん、爆発するのを心配してたよね。お父さんのいう事が当たったよ。お父さん偉いね」 と、繰り返されるシーン。
盆踊りに行きたいと、着物を着て飛び出し、津波で全てが流され新雪で覆われた所で楽しそうに踊るチエコ。「家へ帰ろう」 とおんぶする夫。チエコの頭の中にある町内会の盆踊りは未来永劫絶対に開かれない。
私が小さい頃、田舎で盛大に開かれた盆踊りや村対抗の運動会。はるか前に無くなり、二度と再開されない寂しくさびれた故郷を思い出し胸が詰まった。自分が18歳だと思っているチエコが帰りたがる“お家”は、私にももう無い。
絵に描いたようなお役所仕事に、思わず片頬で笑ってしまった。
原発から20キロ圏内が強制避難となった。
キッチリと20キロに杭を打ち、立ち入り禁止の柵を作る。田んぼを斜めに横切り、老夫婦と隣の家との境の庭に杭を打つ。隣は強制避難でバスに乗せられ避難所に無理やり連れて行かれる。
老夫婦と息子夫婦に「柵を超えたら罰せられます」 と役所は言う。現実の役所仕事にもありそうで怖い。
映画の中でも、放射能は目に見えないから、過剰に怖がる人や考えられない人や。
妻のお腹に子供が出来た息子が医者に聞く。「本当の事を教えてください。お腹の子に放射能は影響するのですか。誰がウソをついているのですか」と。
医者が怖い事を言う。「あの、福島の事故でウソをついていたのは医者です」 と言って、あの福島の事故からの子供の体内被曝の推移のグラフを見せる。
お父さんが息子に、「とにかく、遠くへずっと遠くへ逃げろ。政府の言う事も、役人の言う事も、政治家の言う事も信じるな。自分で考えて生きていけ。とにかく遠くへずっと遠くへ逃げろ」 と最後の別れをする。
津波で何もかも流されて白い雪に覆われたガレキの上に忽然と現れ、ビートルズのレコードを探しているという幼い妹を連れた男の子が「これからは一歩一歩一歩一歩歩いて行かなければならないんだよ」 と、一歩一歩、大地を踏みしめるように歩いて行く姿に涙がこぼれた。あの福島でまだ、冷たい海の中で眠っている人達が生き残った人に語りかけているようで。
最後の方で、老夫婦が結婚した時に植えたという、大きな葉を落とした木が、暗くなりかけた空に燃え上がるシーンが印象的に象徴的に描かれていた。
この映画の、「希望の国」の意味は?
この映画の、私達の「希望の国」は何処かあるの?
この映画の、私達の「希望の国」はどこにも無いの?
衆議院選挙の政治家達は、私達の希望の未来を示す事は出来るのだろうか。
外に出たら、夜の街には綺麗なイルミネーションが平和に瞬いていた。
この監督の映画は初めて見た。TVのインタビュ-で、あの東北の震災の映像は沢山撮っていていつかドキュメンタリーか記録映画化をと思っていたが、でも思いを伝えるにはドラマ仕立てがいいと思ったと言っていた。
だから、あの3.11の映画かと思ったが違っていた。
あの震災後に、架空の原発がある町で、また大きな地震が起き、そして原発が爆発してしまうのだ。
認知症の妻を愛する老夫婦と、その息子夫婦と、隣の家の息子と恋人との3組の地震後を追っていた。
はっきりいって、どう感情を表していいか分からない映画だった。
老夫婦が本当に良かった。妻のチエコがとっても可愛かった。
「おとうさん、お家に帰ろうよ」 「ああ、帰ろうね。あと10分したら。あの長い針が9の所に行ったらね」 と、何回も繰り返されるシーン。
「お父さん、原発出来たの?」 「ああ、出来たよ」 「お父さん、反対してたよね」 「原発が爆発したよ」 「お父さん、爆発するのを心配してたよね。お父さんのいう事が当たったよ。お父さん偉いね」 と、繰り返されるシーン。
盆踊りに行きたいと、着物を着て飛び出し、津波で全てが流され新雪で覆われた所で楽しそうに踊るチエコ。「家へ帰ろう」 とおんぶする夫。チエコの頭の中にある町内会の盆踊りは未来永劫絶対に開かれない。
私が小さい頃、田舎で盛大に開かれた盆踊りや村対抗の運動会。はるか前に無くなり、二度と再開されない寂しくさびれた故郷を思い出し胸が詰まった。自分が18歳だと思っているチエコが帰りたがる“お家”は、私にももう無い。
絵に描いたようなお役所仕事に、思わず片頬で笑ってしまった。
原発から20キロ圏内が強制避難となった。
キッチリと20キロに杭を打ち、立ち入り禁止の柵を作る。田んぼを斜めに横切り、老夫婦と隣の家との境の庭に杭を打つ。隣は強制避難でバスに乗せられ避難所に無理やり連れて行かれる。
老夫婦と息子夫婦に「柵を超えたら罰せられます」 と役所は言う。現実の役所仕事にもありそうで怖い。
映画の中でも、放射能は目に見えないから、過剰に怖がる人や考えられない人や。
妻のお腹に子供が出来た息子が医者に聞く。「本当の事を教えてください。お腹の子に放射能は影響するのですか。誰がウソをついているのですか」と。
医者が怖い事を言う。「あの、福島の事故でウソをついていたのは医者です」 と言って、あの福島の事故からの子供の体内被曝の推移のグラフを見せる。
お父さんが息子に、「とにかく、遠くへずっと遠くへ逃げろ。政府の言う事も、役人の言う事も、政治家の言う事も信じるな。自分で考えて生きていけ。とにかく遠くへずっと遠くへ逃げろ」 と最後の別れをする。
津波で何もかも流されて白い雪に覆われたガレキの上に忽然と現れ、ビートルズのレコードを探しているという幼い妹を連れた男の子が「これからは一歩一歩一歩一歩歩いて行かなければならないんだよ」 と、一歩一歩、大地を踏みしめるように歩いて行く姿に涙がこぼれた。あの福島でまだ、冷たい海の中で眠っている人達が生き残った人に語りかけているようで。
最後の方で、老夫婦が結婚した時に植えたという、大きな葉を落とした木が、暗くなりかけた空に燃え上がるシーンが印象的に象徴的に描かれていた。
この映画の、「希望の国」の意味は?
この映画の、私達の「希望の国」は何処かあるの?
この映画の、私達の「希望の国」はどこにも無いの?
衆議院選挙の政治家達は、私達の希望の未来を示す事は出来るのだろうか。
外に出たら、夜の街には綺麗なイルミネーションが平和に瞬いていた。