都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

都営戸山アパート第一給水塔

2006-02-19 | 新宿区  

 百人町の戸建て住宅地の西はずれには、給水塔が忽然とそびえ立っている。

都営戸山アパート第一給水塔
建設年:1949(昭和24)
高さ:54m

 灰色のコンクリートの六角塔は、最近のスリムな給水塔に比べてガッシリしており、蔦も絡まりかなりの迫力がある。見知らぬ街でいきなりこういうものに出会うと、監視塔のように思えて、ちょっと恐くなったりしてしまう。悪いことをしているわけではないのだが、上から見下ろされているような気がして、畏れを感じてしまう。

 頂部には小さな小屋も付いている。内部の階段を使って上部まで行き、そこから外のハシゴを使って先端に辿り着くらしい。錆び付いたハシゴが張り出す姿もおどろおどろしい感覚を呼び起こす。

 数年前までは地区の東側にももう一つの給水塔が建っていたが解体されたという。この給水塔も将来的には役目を終え、解体されてしまうのかも知れない。

 新宿区百人町は、立ち退きが進み解体されゆく風景と、老朽化しつつも立ち続ける給水塔が印象的な街だった。

 Photo 2006.2.5

2006.9.19 追記
 癸卯雑識という給水塔を中心としたBlog内の記事によると、2006年7月に、この第一給水塔の解体が始まったとのこと。10月末までの工期で解体が行われているらしい。

Tokyo Lost Architecture

#失われた建物 新宿区  #塔  #公営・公団・公社・公立住宅  #昭和戦後期 
コメント (2)
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ポケットパークが多い町

2006-02-19 | 新宿区  

 高田馬場周辺から南下して百人町へ。この界隈は、いわゆる団地と戸建ての密集住宅地になっていたが、最近は団地の建て替えが進み、新しい中高層のアパートメントが増えている。戸建ての住宅地の方も少しずつ立ち退きが進み、そのうちにこちらも中高層アパートの街になるのかも知れない。

 立ち退きは個別に始まっている。引っ越し後、建物は解体され更地にされるので、百人町にはあちこちに空地ができている。その内のいくつかはフェンスで囲まれて、道路予定地とか公園予定地(新宿区)という立て札が立てられている。しかしフェンスで囲むだけではあまりにも素っ気ない。またここではそのような土地がかなり増えてしまっている。そこで空地の一部はポケットパークとして整備されている。

 もともとポケットパークは、児童公園程度の広さの土地を確保することが大変な場合に、窮余の策として街角に暫定的に造られたようなもの。それが再開発等の整備予定地ではあちこちにできてしまう。ポケットパークがそんなにたくさんあってもあまりありがたみはないのだが、暫定措置なので仕方ない。ここではポケットパークで囲まれてしまったようになっている妙な家まで存在する。激変しつつある町の過渡期の姿。

 住宅地というのは適度な密度がないと、うまくコミュニティが成立しない。ただ今回気が付いたのは、必要な密度とか間隔は、必ずしも数値的なものではない、ということ。

 百人町のような密集地の場合、立ち退きが進み、空地が増え人口が減ると、地区全体での人口密度は、数値上は郊外の住宅地などと似たようなものになるかも知れない。しかし空間面から見たとき、建物があちこちで歯が抜けたようになっていて、断絶した箇所ができてしまっている。初めから隣棟間隔をとって低密度で建てられている郊外住宅地と違って、本来は高密度に密集していたところから、パズルのピースを抜くように建物が除却されると、本来の姿が崩れたような印象を受けてしまう。コミュニティ内の人々も、急速に街の構成員及びその建物が抜けていくため、近所つきあいの喪失感を覚えるのではないだろうか。密度が減じて快適になるわけではなく、むしろ人が減って寂しく感じられる。もともと人が多く賑やかだっただけに、人けのない空地の増加は、寂しさを増幅させる。

 地区の東側には西戸山タワーホームズの超高層マンションが見える。空地と木造住宅と超高層マンションの取り合わせは、意外なことに東京ではあちこちで見られる景色。相変わらず違和感や疑問を持つ景色だけど、永遠に建設中の街、東京らしい景色と言える。

Photo 2006.2.5

#街並み 新宿区  #広場
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