都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

東京電力目白変電所

2006-02-09 | 新宿区  

 さかえ通り商店街を抜けた先には田島橋という橋があり、これを渡ると下落合に入る。この田島橋の南詰正面に、東京電力目白変電所という存在感のある近代建築がある。

東京電力目白変電所
所在地:高田馬場3-6
Photo 2006.2.3

 歩いていて遭遇するとかなり気になる建物で、例えば「漂白のブロガー2」でも気になる建物として取り上げられている。

 都市基盤系の施設のため、様式的な装飾は少なく、工場系の無骨なコンクリートの外観が印象的。中央上部に社章が入っているのと、西側に少々のデザインを施した二つの煙突のような構造体があるのが外観の特徴である。

 北側から見ると、日中は逆光になることが多く、黒っぽく沈んだ姿も存在感を際だたせている。日本近代建築総覧には掲載されていない(増補への掲載の有無は不明)ので詳細は分からないが、大正初期の建物だそうだ。

 下落合に詳しいBlogのChinchiko Papalogによると、変電所と田島橋と松本竣介。[気になる下落合] の記事で

「目白変電所が造られたのは、1913年(大正2)に東京電燈(現・東京電力)の鹿留発電所(山梨県)が、営業を開始したのと同時期だ。当時の正式名称は、東京電燈「谷村線目白変電所」だった。当時は田畑がまだ多く残る、東京の郊外だった上戸塚の北辺、神田川沿いにとてもモダンでしゃれたデザインの変電所は、かなり目立つ存在だったろう。」

と記されている。

 またこの建物は松本竣介という昭和前期に活動した画家によって描かれたことがある建物なのだそうだ。そのあたりのことも上記の記事には詳細に記されているし、これに関しては以下のHPにも記されている。

松本竣介の風景 -「立てる像」の背景

 下落合から中井付近には大正期以降、画家や作家など多くの文化人が住み着いたという。そして例えば佐伯祐三は、落合近辺の郊外風景を多く描いている。この建物も、都心・下町とは異なる素材として、郊外風景の中に佇む近代的な姿が題材にされ、描かれたのかもしれない。

 目白の変電所は地味な建物だが、東京の近代化遺産であり、かつ当時の文化を証言するものとして、残っていて欲しい建物である。

Tokyo Lost Architecture

#失われた建物 新宿区  #近代建築  #大正期 
コメント (2)
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