「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     無花果(いちじく)と柘榴(ざくろ)の秋

2007-09-04 05:16:03 | Weblog
「初秋の味覚太市」の新聞折込チラシに連れられて自転車で遠くの
スーパーまで買物に出かけた。朝10時から正午まで"モーニング・
セール”中に行くと人参3本78円と書いてあった。店の中には、僕と
ご同役の家を追われた男の老人がウロウロしている。まさか人参だ
け買って帰るわけにはいかないので、無花果を一箱買った。

秋の果物の中では無花果と柘榴が好きだ。想い出がある。戦前、母
の実家は東京の目黒川添いの農家であった。その名残が 昭和10
年代にはまだあって、庭には柿、枇杷(びわ)、無花果、柘榴などの木が
あり、勝手にもいで食べられた。もちろん、今、スーパーで売っている
ような型の大きい揃ったものではなかったが。

昭和37年、仕事で中近東へ出かける機会があった。どこのスーク(市
場)も色とりどりの野菜や果物であふれていたが、とくに無花果と柘榴
が僕の目にとまった。後年得た知識だが、無花果はアダムとイヴの昔
からこの地では知られており、柘榴はイランのザクロス山脈が原産地だ
という。ベイルートの街頭では柘榴の実をその場でつぶしてジュースにし
て売っていた。人肉の味がするという俗説も二日酔には何のそのだった。

奈良の正倉院御物から,相等古い時代から、わが国と中近東との関係
があったことがうかがわれるそうだ。戦後日本に入ってきた野菜だが、
オクラもあちらが原産地で、今でも住民の大好物だ。想い出にふけり
ながら一箱398円の無花果を食べた。