「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         二百十日 二百二十日

2007-09-07 05:55:08 | Weblog
台風9号が今暁、神奈川県小田原付近に上陸、日本列島を北に縦断して
各地に大きな被害を与えている。立春から数えて二百十日から二十日目に
当たるこの時期は、出来秋に大きな被害を与える”厄日”として恐れられ風
を鎮める祭りや行事が多い。富山市の「おわら風の盆」もその一つだ。

夏目漱石に「二百十日」という作品がある。阿蘇の内牧温泉へ遊んだ時の事
を書いているが、台風で登山道が壊れた話が出てくる。宮沢賢治の「風の
又三郎}も又三郎が9月1日に転校してきて、8日に風のように村の分校を去
ってゆく。谷崎潤一郎の「細雪」の中の台風も、この時期であったような気が
するがー。

戦後まもない昭和22年9月14日、今度の9号台風とほぼ同じコースをとって
超大型台風「キャサリン」が関東圏を襲撃、各地で堤防が決壊、死者1,072人、
行方不明者850人の大被害を出している。まだ占領下で台風の名前も米国
風に女性の名前でよんでいた時代である。キャサリン(Kathleen)はアルファ
ベットでKがAから9番目なので、その年の台風11号であった。

台風9号は幸い、キャサリン台風に比べて人的被害は少ないようだ。しかし
当時とはインフラが全く異なっている。航空路もハイウェーも新幹線もなか
つた時代である。台風9号の上陸時が通勤通学時にあたったこともあって、
この面だけの被害でも莫大だ。しかし、この60年の治山治水事業のお蔭で、
被害は、この程度で済んだ。二百十日、二百二十日は免れられない宿命で
ある。なんとか被害を最少限度にするための知恵が必要だ。