「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         後手後手の政府の大震災対策

2011-03-13 09:35:51 | Weblog
今朝早くの枝野官房長官の記者会見を聞いて耳を疑った。昨夜、菅総理が福島第1原発の爆発事故にふれて「一人の住民も健康被害にならないよう全力で取り組む」と発言したばかりなのに記者会見では原発事故の技術的な問題だけを優先させ、国民が最も懸念していた住民の被爆については後まわしにした。この時点では、すでに僕でさえ、双葉町から避難してきた住民が被爆していたことを知っており、この問題が最大の関心事であった。

未曾有の大震災である。当然、国家の指導者である菅総理が現状を把握するため震災地を視察することには異論はない。また、被災地にある福島の原発を視察することも悪くはない。しかし、これだけ広範囲にわたった災害である。木を見て森をみないというそしりをまぬかれない。総理は、地震後の対策で多忙な原発の現場に1時間も滞在していた。このため現場の復興作業を遅らせたという批判もある。戦争中の東條英機首相は、なにかというと馬にまたがって街を視察したがったのを想起させた。

福島第1原発の爆発事故を政府が明らかにしたのは、爆発があってから2時間も経ってからである。この時点でも枝野官房長官は”爆発”という言葉を使わず、内容も原子力安全保安院の専門家の受け入れで、国民を安心させるどころか、むしろ政府はなにか隠しているのではないかという疑念さえ与えた。

テレビを見ていると、被害は拡大するばかり、地震発生後2日も経つのに救出されない住民が各地にみられる。宮城県の南三陸町では住民の半数に近かい1万人の安否がまだつかめていないという、大変な数である。これに対して、政府がどんな対策をとっているのか。今日になって、やっと被災地への自衛隊の派遣数を倍増した。後手後手である。