「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         ”司令塔”のない救援活動

2011-03-19 08:05:55 | Weblog
東日本大震災から1週間経過したが、テレビの画面でみていると、何か救援活動が遅々としてもどかしく感ずる。M9・0という超巨大地震で、500㌔の震源域、大津浪の被害地域も広範に渡っている。それに併発した福島原発事故もあって、政府の対応が大変なことは理解しているが、政府に未曽有の非常事態に立ち向かう知恵と姿勢がみられないのは何故だろう。

自然災害ではないが、僕は66年前の昭和20年3月10日の東京大空襲を知っている。下町への無差別爆撃で一夜にして10万人の生命が失われた。犠牲者の数では今回の震災を上回っている。当然、政府の機能も大打撃を受けたはずだが、空襲から一週間後の17日、わが家は、国の命令で家を撤去して疎開せよと命令された。駅や軍需工場の周りは危険だからという有無をいわせぬ命令だった。

1999年の台湾中部大地震のさい、陣頭指揮した台湾の李登輝・元台湾総統は、今回の震災に対して、日本政府は非常事態宣言を発布して、政府、地方自治体が超法規的に震災救援と復興に総力を結集せよ、と提案している。石原慎太郎都知事が、政府に対して”節電には強制力が必要”と要望した。李登輝元総統も石原知事もだいたい僕と同世代で、あの戦争の時代を体験している。

官総理が非常時に際して野党に緊急内閣を提案し、自民党の谷垣総裁や大島副総裁の入閣を求めたが、断られたという。仙谷前官房長官を副長官に起用して緊急災害対策専任にしたり、連舫大臣を突如節電担当にしたり、まるで日替わり人事だ。李登輝・元総統は”軍隊(自衛隊)の命令指揮系統を活用して救出復興事業にあてるべきだ”と言っているが、その通りだ。人事をいじっても何も効果はない。今必要なのは”司令塔”だ。自衛隊の司令塔は誰なのか。