わが家の二階の猫の額のような狭いベランダに置かれた鉢植えの寒梅が早くも咲きだした。例年は1月20日の大寒頃咲きだすのだが半月は早い。年末から年始にかけて北陸、新潟、東北、北海道の日本海側はは大雪だが、東京首都圏は温暖な日々が続いている。その影響かもしれない。
江戸中期の俳人、与謝野蕪村には寒梅を詠んだ句が多いが、その一句「寒梅や手おるひびきや老いの肘」がある。67歳、当時としては高齢で他界された蕪村の晩年の作だが、自分も蕪村の年齢に達し、春を待ち焦がれる往時の人の気持ちがよくわかるようになった。
コロナ禍ですっかり季節感を失っているが、春の足音は着実にそこまできている。キリスト教では復活祭の前に四旬節があるが、今はコロナ終息に向かっての「忍」の時である