「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         老後の生活設計への不安

2007-09-10 05:51:50 | Weblog
内閣府の「国民生活に関する調査」によると日常生活に”悩みや不安を
感じている”人が69・5%もいる。そして、その”悩みや不安”のうち最も
多いのが「老後の生活」で53・7%もあった。この調査は1981年から統計
をとり始めているが、この2年連続最高記録を更新している。

高齢化社会に入り、日本人の”老後”は,延びる一方で、僕個人でいうと
60歳で厚生年金を受給してから、すでに17年になる。すでに現役時代に
かけた掛け金を数字的には”取り戻した”勘定だ。安月給の頃、毎月年金
のことなど解らず、飲み友達と”なんで、こんなに引かれるのだ”と文句を
言っていたものだったがー。

戦前、わが国には公的年金制度はなかった。あったのは役人の恩給制度
であった。一般の役人は17年勤務すると一定の恩給がついた。高級官僚や
高位の退役軍人の恩給はかなりの額だった。”あの人は恩給を貰っている
から悠々自適さ”と羨ましがられた。

しかし、民間の一般サリーマンには年金制度はなく”老後”の生活は自衛
せざるをえなかった。戦争前は退職金を銀行へ預金して、その利子で生活
できた時代もあったが、亡父の場合は、55歳の定年1年前に”肩たたき”で
割増退職金を貰い、東京郊外に借家を建てた。お蔭で戦後の混乱期もなん
とか乗り越えられた。

僕らの世代のサラリーマンは、厚生年金で最低の老後の生活は保障されて
いるが、自営業だった国民年金生活者は大変だ。80歳近くになっても働いて
いる友人もいる。今回の内閣府の調査の回答者は政府に対して”医療・年金
制度の改革”を一番要望している。その通りだが、やはり老後は自分のもの、
いつの時代でも他力本願ではダメである。













        マナー違反には罰金を!

2007-09-09 05:11:40 | Weblog
日本人のマナーが悪くなってきた、といわれて久しい。最近はとくに目
をつく。都会の近距離電車の中でムシャムシャ口を動かす女子高生、
人前をはばからず、恍惚と化粧するギャル、大股を広げて優先席でケ
イタイに夢中なサラリーマン、地べたにぺちゃんと座りこむ若者などな
ど枚挙にいとまがない。本当にハラがたつ。

先日、神奈川県内を走る相鉄線の電車内で、拳銃型のライターで悪ふ
ざけをしていた高校生を警察官が注意し、それでも止めないので頭を
殴ったーと新聞が報じたところ、警察官の行動を支持する電話やメール
が二千件も所轄の大和署にあったという。

ところがである。どうやら警察官は酒に酔っていたうえ、電車内ではなく
駅から外に出てからの行為だとわかった。9月4日のNHKテレビ「クロー
ズアップ現代」で”なぜキレル 大人の犯罪”を扱っていた。これによると
キレル大人の中には、他人のマナーの悪さに立腹して暴力を振るうケー
スが多いという。この警察官もまさにそうである。

原因が何であっても人を殴ってはいけない。しかし、大和警察へ寄せら
れた警官支持の反応のように、人々の心の中に悪くなったマナーについ
て、普段からモヤモヤとしたものがあるのは事実だ。日本人のマナーの
悪さは慢性化している。

決して好ましいことではないが、戦前は社会の良徳にもとる行為、例えば
立小便やタンを吐く行為には罰金を課した。シンガポールは今でも車内の
飲食にに高い罰金を課し効果を挙げている。先進国民としての誇りを保つ
にはマナー違反を取締らなければならない。

認知症 大丈夫かな!

2007-09-08 05:44:58 | Weblog
役所言葉で75歳以上の老人を「後期高齢者」という。”後期”という言
葉にひっかかり、イヤナ感じだ。でも仕方がない。事実なのだからだ。
最近、仲間の「後期高齢者」が集まると話題になるのは認知症のことで
ある。夫婦間でもそうである。

同じ屋根の下に住む娘が、僕ら夫婦のボケを心配して、明日東京フォー
ラムで開かれる「もの忘れフォーラム」への参加を先日FAXで申し込んで
くれた。参加申込のチラシには”5,000名様を招待”と書いてあり、開催ま
で5日もあるから大丈夫参加できると思っていたら、主催者から8月一杯
で、すでに満杯である旨、鄭重に断られた。すごい人気である。

先日、認知症にかかるリスクは喫煙者、受動喫煙者が非常に高いという
記事を読んだ。また別の記事で、筑波大学の朝田隆教授の研究で認知
症の予防には(1)よく運動し(2)栄養に気をつけ(3)昼寝をすることーと
書いてあった。

僕らはタバコを吸わない。まわりにも喫煙者はいない。朝田先生の三つの
ことも一応守っている。僕はほとんど毎日ラジオ体操をしているし、糖尿値
をさげるためカロリー・ダウンにつとめ昼寝もしている。老妻も週一回、棒
体操をし、フラダンスで汗を流し、昼寝もおさおさ怠りない。

それでも僕らは認知症が恐い。僕は少しでも頭の体操になればとブログを
書き、老妻は習字とクレヨン教室に通っている。あとは天命を待つだけで
ある。




         二百十日 二百二十日

2007-09-07 05:55:08 | Weblog
台風9号が今暁、神奈川県小田原付近に上陸、日本列島を北に縦断して
各地に大きな被害を与えている。立春から数えて二百十日から二十日目に
当たるこの時期は、出来秋に大きな被害を与える”厄日”として恐れられ風
を鎮める祭りや行事が多い。富山市の「おわら風の盆」もその一つだ。

夏目漱石に「二百十日」という作品がある。阿蘇の内牧温泉へ遊んだ時の事
を書いているが、台風で登山道が壊れた話が出てくる。宮沢賢治の「風の
又三郎}も又三郎が9月1日に転校してきて、8日に風のように村の分校を去
ってゆく。谷崎潤一郎の「細雪」の中の台風も、この時期であったような気が
するがー。

戦後まもない昭和22年9月14日、今度の9号台風とほぼ同じコースをとって
超大型台風「キャサリン」が関東圏を襲撃、各地で堤防が決壊、死者1,072人、
行方不明者850人の大被害を出している。まだ占領下で台風の名前も米国
風に女性の名前でよんでいた時代である。キャサリン(Kathleen)はアルファ
ベットでKがAから9番目なので、その年の台風11号であった。

台風9号は幸い、キャサリン台風に比べて人的被害は少ないようだ。しかし
当時とはインフラが全く異なっている。航空路もハイウェーも新幹線もなか
つた時代である。台風9号の上陸時が通勤通学時にあたったこともあって、
この面だけの被害でも莫大だ。しかし、この60年の治山治水事業のお蔭で、
被害は、この程度で済んだ。二百十日、二百二十日は免れられない宿命で
ある。なんとか被害を最少限度にするための知恵が必要だ。





          武道の必修化反対

2007-09-06 05:36:38 | Weblog
中央教育審議会の体育・保健部会で現在中学校の体育の選択制の武道を
必修化する方針を決め、平成23年度から実施するとのことだ。僕ら銃後の
青少年世代は、武道についてはあまり好い想い出はなく、反対だ。

戦時下の旧制中学校(女学校)では武道は教練、体育とならんで必修科目で
あった。教練とは将来、軍隊に入隊に入る時に備えての軍事教練、戦争末期
には女学校の生徒まで必修であった。武道は中学校では柔道か剣道のうちの
一つ、女学校では薙刀(なぎなた)か弓道のうちの一つを学ばなければならな
かった。

僕は柔道を選択したが、戦争末期には稽古場の畳が擦り切れていて、受身の
稽古をすると背中が痛く、冬の寒中稽古は特にひどかった。剣道を選択した連
中は、凶暴な教師にいつも理由もなく、竹刀で頭を殴られていた。今なら即時、
暴力教師として懲戒になるところだが。いずれにせよ、時世を反映して武道には
よい想い出はない。

現在の指導要綱によると、武道は柔道、剣道、相撲の三課目。女性の課目はな
い。今回の武道必修化の目的は、伝統文化の尊重だとのこと。確かに日本古来
の伝統文化が消えていっているのは、事実で残念だ。しかし、僕ら世代にとって
武道は戦争と結びつく嫌な記憶がある。今のように選択性でよいような気がする。
スポーツ医学の面からみても、武道は果たして適しているのか、どうかー。



       ”デパ屋”は今 四大百貨店時代

2007-09-05 05:04:03 | Weblog
国内百貨店の経営統合が進み、来年には売上高一兆円を越える四大百貨店
群が誕生、これを中心に激しい商戦が展開されそうだ。消費がほとんどなくな
った老人にはあまり関係のない話だが、ちょっぴり気にかかることもある。

かって日本が”古きよき時代”だった頃、デパートの屋上も子供連れの天国だっ
た。バッテリーで動く豆自動車、小さなメリーゴーランドなどなどの遊具、日曜日
には舞台で縫ぐるみ、怪獣ショーなども行われ、いつも超満員だった。昭和30
年代から40年頃までが全盛だっただろうかー。僕も戦前、屋上にあったパチン
コ(当時はガチャンコといった)で賞品のドロップをせしめた記憶がある。

数年前からグルメ嗜好にのって”デパ地下”が人気になってきたが、あまりデパ
屋の話は聞かない。一度どうなっているのか調査しようと思っていた。しかし、世
の中には同志がいるもので、PCで検索したら、全国のデパートの屋上の現況が
リストになって紹介されている。老骨が出る幕ではない。

”デパ屋”は今、概して言えば、どこも”自然回帰”指向のようだ。屋上に英国風
の庭園、あるいは合鴨までいる日本庭園など造り、都会の中に潤いをというコ
ンセプトで、直接、屋上から利益をあげようという考えではないみたいだ。中には
400㎡のドッグパークを設けている店もある。

土一升カネ一升の都会の一等地だけに、百貨店側も”デパ屋”の利用には頭を
痛めているのだろう。昔の賑わいを知っている者にはノスタルジアから子供中心
の施設の復活を望みたいが、少子高齢の時代である。そうも行くまい。


     無花果(いちじく)と柘榴(ざくろ)の秋

2007-09-04 05:16:03 | Weblog
「初秋の味覚太市」の新聞折込チラシに連れられて自転車で遠くの
スーパーまで買物に出かけた。朝10時から正午まで"モーニング・
セール”中に行くと人参3本78円と書いてあった。店の中には、僕と
ご同役の家を追われた男の老人がウロウロしている。まさか人参だ
け買って帰るわけにはいかないので、無花果を一箱買った。

秋の果物の中では無花果と柘榴が好きだ。想い出がある。戦前、母
の実家は東京の目黒川添いの農家であった。その名残が 昭和10
年代にはまだあって、庭には柿、枇杷(びわ)、無花果、柘榴などの木が
あり、勝手にもいで食べられた。もちろん、今、スーパーで売っている
ような型の大きい揃ったものではなかったが。

昭和37年、仕事で中近東へ出かける機会があった。どこのスーク(市
場)も色とりどりの野菜や果物であふれていたが、とくに無花果と柘榴
が僕の目にとまった。後年得た知識だが、無花果はアダムとイヴの昔
からこの地では知られており、柘榴はイランのザクロス山脈が原産地だ
という。ベイルートの街頭では柘榴の実をその場でつぶしてジュースにし
て売っていた。人肉の味がするという俗説も二日酔には何のそのだった。

奈良の正倉院御物から,相等古い時代から、わが国と中近東との関係
があったことがうかがわれるそうだ。戦後日本に入ってきた野菜だが、
オクラもあちらが原産地で、今でも住民の大好物だ。想い出にふけり
ながら一箱398円の無花果を食べた。

         政治家の”カネ習慣病”

2007-09-03 05:41:28 | Weblog
安倍改造内閣がスタートして1週間というのに、また”政治とカネ”の問題が
続出、遠藤武彦・農水相が更迭された。いったい、どうなっているのか? 
内閣改造に当たって、きびしい”身体検査"があったかのように聞いていた
が、永田町の"カネ習慣病”は、特別のウイルスでもあって、任命者の総理
には見抜けない仕掛けでもあるのかー。

直接、政治資金規正には関係ないが、遠藤農水相の場合は自身が組合長
をしている農業共済組合の補助金不正受領にからむもので、すでに3年前
から会計検査院から指摘されていたという。これだけ”政治家とカネ”が問題
にされているのに、本人も関係者も気がつかなかったのか。やはり政治家は
”カネ”について習慣病にかかっているとしか思えない。遠藤農水相の他にも
坂本由紀子・外務政務官も同じ”政治とカネ”で辞任した。

僕には、永田町の"カネ”の問題はよくわからない。しかし、僅か1年たらずの
うちに、農水大臣だけで2人が更迭され、1人が自殺するというのは異常であ
る。永田町だけにしか通じない"カネ”の論理があるのではないか。この習慣を
なくさない限り、いくつ大臣の”首”があっても足りない。

こんなたび重なる"首のすげ替え劇”で、政治が停滞するのが一番困る。巷間
”すげ替え劇”の裏には政党間の無意味な足の引っ張りあいがあるとも伝えら
れる。問題山積、挙国一致でお願いしたい。


        ”ゆとり教育”よさようなら

2007-09-02 04:50:13 | Weblog
”ゆとり教育”よさようなら。孫(小六)の通う学校では今年から実験的に年
二学期制を採用、8月28日から新学期が始まっている。恐らく”ゆとり教育”
を見すえてのことだ。夏休みが短縮されて、さぞかし孫はがっかりしている
ものと思ったらそうでもない。むしろ嬉しそうである。

この夏、ついに僕は網をもった蝉とりの子供の姿を見なかった。今年、関西
ではクマ蝉の当たり年だったそうだが、東京の区部でも猛暑の中、蝉の鳴き
声がいつもの年よりうるさく聞こえた。でも、今の子供たちは、まったく関心が
ない。昔、夏の宵、縁台を前に、浴衣姿の子供が花火遊びをする図は、夏の
風物詩だったが、今年は見る機会がなかった。

朝のラジオ体操に僅かに子供たちの”夏休み”が残っていたが、学校が始ま
り、会場から潮が引くように姿をけした。外来種の丈3㍍もあるススキが早く
も穂をつけ、風にゆれ始めた。しかし、昔ながらのススキは最近、まわりから
なくなってしまった。もうじき中秋の名月がやってくるが、飾るススキもなく月見
の行事をする家庭も少なくなってきた。

孫は塾通いをしていない。周囲は皆、塾通いなので遊ぶ友達が少ない。だから
夏休みの短縮は歓迎なのかもしれない。すべて学校まかせの家庭でも、これ以
上の”ゆとり教育”には反対だが、周囲から自然が消え、伝統行事が姿を消して
ゆく中で、子供達に社会の潤いを与える、もう一つの教育があってもよい。



      おそまつな相撲協会広報部長

2007-09-01 05:26:49 | Weblog
今年はモンゴルの"日本年”だそうだ。皇太子殿下が7月にウランバートルを訪
れたのもその一環だ。ところが、同国にとって横綱朝青竜の病気療養帰国がは
からずも最大の出来事となってしまった。現地の新聞は一面トップでこれを報じ
ているが、帰国の背景となる理由説明が不足、誤解をよんでいるらしい。

横綱の帰国に同行、モンゴルを訪れていた師匠の高砂親方の羽田空港での姿
をテレビで見た。親方は横綱の師匠であると同時に(財)日本相撲協会理事、広
報部長兼指導部長というエライ人だが、例によって報道陣の”ぶるさがり”取材は
みっともない。それ以上に無礼なのは親方の無言戦術だ。親方も"解離性障害”
になったのかとさえ見えた。

相撲協会には現在、モンゴル力士は東西の横綱、朝青竜、白鵬を含め関取12人、
序二段まで入れた全力士34人の大世帯だ。高砂親方は朝青竜問題で頭が一杯
なのだろうが、協会の広報部長という立場を考えれば、このさい現地でこの問題に
ついて、相撲協会の立場を釈明すべきであった、とスポーツコメンテーターの二宮
清純氏が指摘していた。

親方は記者会見で、横綱の療養施設のパンフを見せ、現地の医者が24時間付き
添っているから大丈夫だといっていた。しかし、親方は以前の記者会見でモンゴル
には心療内科医などいないと不信感を述べていた。場所前であるのはわかるが、
折角、モンゴルまで重大な任務で行ったのだ。35時間の滞在で"逃げるように”
帰国する必要はない。これ以上問題がこじれて両国間の友好にヒビが入らないよ
う希望する。