【拉致問題】「訪朝」の判断は「家族会」の意見を聞いた後に[桜H26/10/15]
2014/10/15 に公開
「拉致被害者再調査」で肩すかしを食わされた日本政府は、懲りもせず北朝鮮の誠意をアテにし、月内にも「訪朝」の方針を正式決定する見込みであるという。外務省などに引きずられる前に、「家族会」の意向を確認するよう、強く求めます。
「家族の意向」を聴くというが、横田滋さんが倒れたこともそれはかなり無理をされていたということ、「被害家族の意向を聴く」という以前に政府が考えていかねばならないことがある。
金正恩が一か月以上表に出ていないこと、足の手術の話など、正しいかは別にして彼の権力基盤はどうなっているのか、北朝鮮内部の変化によって予定がずれたこともあるが、日本は強い決意と意思を持つべき。(以上、西村幸佑氏)
★ では荒木和弘氏の見解を。
家族の意向
【調査会NEWS1673】(26.10.14)
蓮池薫さんと斎木昭隆外務次官や伊原純一アジア大洋州局長らが9月下旬に都内で極秘に会ったとの話が報道されていました。
蓮池さんは「制裁解除のほか、過去の歴史の清算も含めて、北朝鮮が情報を出しやすい環境を作ることも必要という考えを示した」とのことでした。
その真偽の程は不明ですが、蓮池さんは少なくとも訪朝団を送ることには絶対反対だったようです。
訪朝反対の部分が報道されないということは報道自体が外務省からのリークだったのかも知れません。
いずれにしても超多忙なはずの次官まで極秘で会うというのは尋常ではありません。
訪朝に蓮池さんのお墨付きがなんとしてでも欲しかったのでしょうか。
一方この訪朝について、政府部内の慎重派は「家族会の意向」を盾にしています。
どっちもどっちで、何でこういうことの是非を論じる理由に家族や当事者の意向を使わなければならないのか、疑問を禁じ得ません。
運動体がそう言うならまだ話も分かりますが、政治家や官僚は例え家族の意向を汲んだとしてもそれを表に出すべきではないと思います。
「家族の意向」を理由にするということは、うまくいかなかったときに「それは家族が希望していたから」という責任転嫁の言い訳になります。
それなら家族の意向はすべて聞くのかと言えばそういうわけではありません(DNAデータ偽造事件ではいくら家族の意向があり法的に問題なくても警察庁は鑑定書を開示しないわけですし)。
都合の良いところだけ利用するに過ぎません。
家族会の方は度々「自分の家族が拉致されたらと思って下さい」と言われます。
それは確かにその通りなのですが、私自身について言えば、正直怖くて自分の身に置き換えて考えることはできません。
ご家族の(そしてもちろん被害者本人も)受けてきた苦しみはおそらく当事者しか分からないはずです。
だから軽々にその「意向」を利用するべきではない。これはもちろん私たちの側にも言えることですが。
先日横田滋さんがご自宅で転倒して緊急搬送されました。横田さんはあの真面目な性格で、頼まれたことを皆引き受けてしまうためご夫妻とも心身両面で大きな負担を負い続けてきました。その意味では政府のみならず私たちも、また報道関係者も「家族の意向」を利用してきたのかも知れません。
政府認定者であれ特定失踪者であれ、ご家族から汲み取るべきは「意向」以上に「思い」だと思います。
そして個人の問題にとどまらず、もっと国家の問題として考える必要があるのではないでしょうか。
家族の一番の「意向」は救出なのですから。(以上)