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時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

日韓合意で日本のメディアが伝えていない外務省の外交文書英訳、海外邦人の方の声も。

2016年01月13日 | 政治

★ 12月末に政治学者の倉西雅子先生がお書きになった通りです。
倉西雅子先生の文を許可を得て転載した12月末のエントリhttp://blog.goo.ne.jp/bellavoce3594/e/5a1ac93aa5c982e987ee31de3adbfc07


★ 次は「アゴラ編集部」の記事をご覧ください。海外邦人の方の文です。

外交文書の日本語と英訳に微妙な相違が…(外務省サイトより、アゴラ編集部)

昨年12月28日に発表された慰安婦問題に関する日韓合意について、日本のメディアが伝えず、ほとんどの国民が気付いていないことがあります。それは、今回の合意と岸田外務大臣と安部総理の談話を受けて、世界中のメディアが一斉に「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」と報じていることです。

合意を歓迎し、米国内の韓国系団体が反発していることに自制を求め、「米国内でも合意への支持 と完全な履行を強く望む」と訴えた米国務省のトナー副報道官は12月29日の記者会見後の質疑応答の中で次のように語っています。

「我々、アメリカ合衆国が何度も言っているように、第2次大戦中の日本軍による性的目的のための女性の人身売買は、恐るべきひどい女性の人権の侵害であった。」
We’ve stated many times – the United States – that the trafficking of women for sexual purposes by the Japanese military during World War II was a terrible, egregious violation of human rights.


日本政府の声明には強制という表現はなく、法的責任も認めていないと主張する方もいらっしゃいますが、それは残念ながら国際的には全く通用しません。

なぜなら、岸田外務大臣による発表を英語で読んだら、日本が犯罪国家であったと全面的に認めたとしか読めず、強制や法的責任などの言葉の有無は無関係になってしまうからです。

今回の合意の証人であるべきアメリカの報道官が上記のように述べているのですからなおさらです。

日本語による表現と、外務省によるその英訳では、ニュアンスに大きな隔たりがあることを以前から指摘されて来ましたが、全く顧みられていないことに愕然とします。

外務省が発表した英文を見てみます。

慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題
The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women.


この部分だけで十分アウトです。軍による甚だしい女性の人権侵害が行われたと認めたのですから、これまでの全ての糾弾(強制連行、性奴隷化)を認めたと同義と解されます。

安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。
As Prime Minister of Japan, Prime Minister Abe expresses anew his most sincere apologies and remorse to all the women who underwent immeasurable and painful experiences and suffered incurable physical and psychological wounds as comfort women.


これは河野談話以前から使われている常套句ですが、日本人のほとんどは抒情的な日本語の原文しか読まないでしょうが、外国人は英語の方しか読みませんので、当然英語のニュアンスで理解します。

英文を日本語に訳し直せば、こんな感じになります。

安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として、計測不可能な苦痛に満ちた経験をされ、治癒不能な肉体的および精神的な傷を負った方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。

言うまでもなく、おわびは謝罪であり、国際社会では謝罪するということは罪を認めることと同義であり、計測できないほどの苦痛を与え、治癒不可能な傷を肉体的にも精神的にも与えたと認めるならば、拷問したと言っているのと同じです。

これではクマラスワミ報告も認めていると解釈されても仕方ありません。
つまり、これまで、民間が必死の思いで積み上げてきた「事実誤認の訂正と日本の名誉回復」の努力を完全に粉砕してしまったわけです。

日本政府は「計測不可能な苦痛に満ちた経験と治癒不能な肉体的、精神的な傷」が何を意味するのか、日本軍が何を行ったのか、「関与」の具体的な内容とともに海外および日本国民に明確に説明する責任があります。

このままでは、「将来の世代に謝罪させない」どころか「将来の世代に濡れ衣を着せ続け、反論の機会を奪い、言われなき汚名に対する謝罪を子や孫に続けさせる」ことになりかねません。

海外邦人として、祖国日本が一日も早く、自国の名誉と国益を守れる普通の国になることを切に願う次第です。

江川純世 AJCN(オーストラリア ジャパン コミュニティ ネットワーク)事務局長


★ またこのような記事もあります。

慰安婦日韓合意:肯定派の「肉を切らせて骨を絶つ」論について

何が「肉」で何が「骨」か?


今回の日韓合意を擁護する方々の論はタイトルにある「肉を切らせて骨を絶つ」論に基づくものがほとんどです。一言でいえば「韓国に対してあえて大幅な譲歩をしながら、(肉を切らせて)韓国の反日を永久に封じ込める(骨を断つ)」ということだと思います。

AJCNは今まで発表した2本のレポートでこの論議とは本質的に異なる角度から論じていますが、あえてこの論を使って違いを明確にすると、以下の様になります。

1.立論のスコープ

•擁護派は日本対韓国(+米)、AJCN(オーストラリア ジャパン コオミュニティ ネットワーク)は日本対世界
•擁護派は(日韓+米)政治重視、AJCNは国際世論重視


2.何が肉で何が骨か

1)擁護派
肉:10億円、お詫びのことば(軍の関与、政府としての責任)
骨:二度と蒸し返さないとの韓国政府の約束、政府レベルで日本を本件がらみで非難することを抑制、ソウル大使館前の慰安婦像撤去

2)AJCNの見方(韓国サイドも同様と考える)
肉:日韓合意の内容(二度と蒸し返さないとの現政権の約束、政府レベルで日本を本件がらみで非難することを抑制、ソウル大使館前の慰安婦像撤去への努力、韓国国内の合意反対勢力の説得。
骨:1000年日本民族に謝罪させ続けることができる朝鮮民族の絶対正義、そのお墨付きを世界から獲得すること。


つまり擁護派が「肉」と思っているお詫びの言葉の中に、韓国側が「骨」と考えているものがある、ということです。

韓国は国際的に認知されなかった「統合臨時政府」の3.1運動を起点に歴史を記述、憲法の中でこの臨時政府を大韓民国の正当性の拠り所とし、反日運動が国の起点だとばかりに反日教育にいそしんでいます。韓国の自民族優位主義に基づく反日思想と日本蔑視は、日韓併合による近代化および、自力で独立できなかったことへの鬱憤の反映であることは言うまでもありませんが、もっと根本で韓国人の意識の深層を形成しているのは、韓国に古くからある中華主義と華夷秩序の世界観です。自らを「小中華主義」の継承者とみて、日本人を低級で劣った非文明人と心の底で思っている、思いたいのです。

このような国にとって、日本軍、日本政府が組織的に女性を虐待したことを現日本政府が認め、世界で認知される歴史上の事実となることは、韓国の絶対正義を獲得することであり、これが韓国側が断ち切りたい日本側の真の「骨」です。今回の合意で、日本政府は自らの骨を断って韓国に差し出したのです。

蒸し返し禁止、国連での非難禁止などは政権が変われば平気で破棄するし、大使館前の慰安婦像の移動など、ウイーン条約違反であるにも拘わらず、民間設置を理由に実行しないでしょう。この意味で10億は無駄金です。

今韓国国内外で慰安婦像を設置すべく運動しているのは民間団体であり、個人の集合体です。彼らに対する資金供給も裏から続けるでしょうから、今後もこれらの反日運動の実態は変わらないでしょう。それを実行する韓国人も反日教育によって続々と養成され、海外にも反日度が高い若い世代が押し出されています。

今回の合意が米国での調印が噂されている2016年3月までに、韓国側から破棄される可能性もかなりあります。

その場合であっても今回の合意を受けて世界に拡散された、「日本政府が幼い少女を拉致して性奴隷にしたことを正式に認めたとする認識」は固定されたままです。AJCNは既出のレポートで、外務省が発表した英文では、そのように解釈されることを防げないと指摘しました。

日本政府がこれを否定する説明をしないかぎり、いくら民間団体、個人が反証しようとも説得力がありません。各国のメディアの報道は各国国民世論の基礎を作ります。今のままでは明らかに日本、及び日本人に対する汚名が「確固たる事実」となり、教科書にも記載されて、将来の世代に引き継がれるでしょう。

政府の反証、否定の説明なしに、民間だけでこの情報戦を戦うことは困難です。一度刷り込まれ、感情を伴った認識を変えるには大変な労力がいります。

日本の骨はすでに断たれました。AJCNは日本政府の迅速なアクションを強く要請いたします。

★ 以上、お知らせでした。

コメント (2)
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