★ 素晴らしい本が「直木賞」からはずれた・・・日本人必読と思う名作なのに。
ポーランドの子供に「ヤマトダマシイ、それって武士道のこと?」と訊かれて、在ポーランド日本大使館の書記官である慎はこう答えた。
「今、僕の国では、いまだかつてないほどに、武士道や大和魂という言葉が使われているよ。でもね、覚えておくといい。
濫用される時は必ず、言葉は正しい使い方をされていない。
みな、意味をわかっていないんだ。だから簡単に間違ってしまう」
人は他人の思想を借りて自分の思想とする限り、自分にも、自分の行いにも最後まで責任を持つことができない。
・・・氾濫する言葉に流されず、足を地面につけ、自らうちたててこそ信念と呼べる。
「僕はよくよく考えて、君たちとの約束を果たすことこそ自分にとって最も重要な大和魂の声だと気が付いたんだ。
君たちが祖国を取り戻すことが何よりも大事なように、僕にとっては君たちとの信頼と友情を後世につなげていくことが大事なんだよ」・・・須賀しのぶ著「また、桜の国で」より(祥伝社)
★ 直木賞候補だったこの作品、ものすごい緊迫感で息をつく間もなく夢中で読んでしまった。
近来にない大変な作品である。
当時の日本政府はドイツのナチ政権とは全く違う考えを持っていた。
それをポーランドの人たちは理解していた。
私の音楽関係の友人は「ポーランドの人は今でもソ連とドイツに騙されてひどい目にあったと怒っているわ」って言っていたことが思い出される。
20世紀初頭、ポーランド独立の為に立ち上がった多くのポーランド人がロシアに捕らわれ、シベリアで悲惨な生活をしている。
せめて子供たちだけでも、という呼びかけもどの国も応えず、唯一日本だけが子供たちを預かり、皇室・国民などが子供たちに心を込めて愛情を示し、やがて子供たちは祖国ポーランドに帰っていくという「歴史的事実」をベースに、第二次世界大戦でナチスやソ連に翻弄されるポーランドをその悲劇から救おうとする日本人外交官の青年、そして日本に対し大きな恩にこたえようと成人した子供たちが、祖国を護ろうとする壮大な物語である。
先日も下記の動画をUPしたが、まだご覧になっていらっしゃらない方はぜひご覧ください。
上記の記事の中で「直木賞」から予想通り?はずれた須賀しのぶ著「また、桜の国で」の中で
ロシア革命の翌年日本に来た主人公の父はよくショパンの「エチュード革命」を弾いた、しかしこの曲は好きではないと言っていた・・・
「おまえはいったい何を戦ったのか」という気になってしまう、と。
「シベリアに住む10万ものポーランド人の多くは、ロシアの支配時代に祖国の独立を取り戻すべく蜂起し、シベリア送りとなった愛国者の子孫なんだよ」・・・大正9年から768人のシベリア孤児たちが日本に保護され、帰国してから「極東青年会」を結成し恩義ある日本と祖国の交流を深めることに務めた。
感動して涙で前が見えないよ…自らの危険を顧みず!ポーランド人を救った”たった1つの国”…ポーランドと日本の友好を育んだ知られざる感動秘話【海外が感動する日本の力】
(動画の中で貞明皇后のお写真が香淳皇后と間違って入っているようです。)
ショパン作曲「エチュード 革命」・・・これはショパンが20歳の時に作曲したもので、
愛する祖国ポーランドが分割され多くの友人が戦争で亡くなったことなど・・・
ピアノはアルゼンチン出身の天才女流ピアニスト、マルタ・アルゲリッチ。(鍵盤上のマリア・カラスとか・・・)
Martha Argerich - Chopin Revolutionary Etude (1957)
三宅博先生に教わった「元田永浮の漢詩~中庸」ももう一度。
天下萬機帰一誠 元田永浮
勇力男児斃勇力 勇力の男児は勇力に斃(たお)れ
文明才子酔文明 文明の才子は文明に酔う
勘君須択中庸去 君に勧む須らく中庸を択び去くべし
天下萬機歸一誠 天下の万機は一誠に帰す
腕力をほこるものは腕力によって身を亡ぼしてしまうものであり
文明にあこがれる才子は、文明に心酔するだけである
君にぜひ勧めたいことは、常に「中庸」を選んでほしい
天下のあらゆることはすべてただ一つの誠によるものである
★ この場合の「中庸」というのは現代よく言われる意味の「中道」ではない。
孔子や白楽天、また西洋ではアリストテレスやプラトンが述べているようですが。なかなか難しい。
三宅博先生は国士政治家であり、またその生き方に於いて道を説く「わが師」である。
三宅博先生にあとでお教えいただいたのですが「中庸」という意味
「人間の本質と自然の道理を鋭く見極めて、慈悲に基づく判断と分相応の行動をとること」
三宅先生、ありがとうございました。