こちらに来てロイヤルオペラハウスには随分足を運んでいるが、こんなトラブルは初めてだった。
いつもどおり、照明が落ちて、指揮者が来て音楽が始まる。とても甘美な音楽。そして、コーラスが聞こえてくる。でも舞台のカーテン(緞帳)はまだ上がらない。ようやく少し開いたと思ったら、半開きの形でLisaのアリアが始まる。舞台はまだ全体の1/4も見えない。随分、じらす演出なんだなあと思っていたら、アリアの直後、音楽は鳴り舞台が進行している中、一人の女性がマイクを持って舞台に飛び込んできた。「大変、申し訳ありません。カーテンがメカの問題のため上がらず、このまま舞台を続けることはできません。一旦ここで中断させて頂き、至急調整いたします」とのこと。
(手持ち無沙汰でバカ待ちのオーケストラと観客)
「流石、イギリス」と私は苦笑いだったが、他のお客さんもおおらかで、ブーイングどころか、Tube車内で、信号機トラブルのために途中駅で降ろされたり、線路上で立ち往生してしまう時と、まったく同じ「しょうがないね」という空気が流れた。ということで舞台はしばし水入り。その後、このステージマネジャーらしき女性がでてくること3回、最初は「すぐ直おる予定」と言いながら、2回目は「しばらく時間がかかりそうなので一旦休憩として30分後を目処に再開いたします」となった。
(一瞬、上がりがけたが、これ以上上がらないカーテン)
そして30分後にやっとセフティカーテン(緞帳の外側に降りる機能カーテン)が上がった。場内大拍手。もう一度、Lisaのアリアから再開した。一幕終了後も二幕終了後も結局緞帳は降りてこなかったから、壊れたままだったのようだ。イギリスらしいと言えば、イギリスらしいの一言で終わってしまうだが・・・
パフォーマンスの方は、初日の公演に対するメディアの批評は芳しくなかったので、不安だったが、なかなか良かった。オペラのストーリー自体は、夢遊病で歩き回わる癖のある新婦が、その行動がもとで結婚破棄を通告されるのだが、最後は疑いを晴らしハッピーエンドという他愛もない話。
やっぱりお話自体は全く面白みは感じなかったが、音楽が美しく、歌手がとても良かった。特に、新婦Aminaの役は高音が要求され、難しい役柄に見えたが、 キューバ系アメリカ人ソプラノのEglise Gutiérrezは、高音も美しく、声量も充分。美人とは言いがたいが、今後期待できそうな若手だった。また、新郎のElvino役のCelso Albeloの テノールが、いかにもイタリアオペラのテノールという感じの甘い声で魅了させられた。この2人は、他のオペラでも是非聞いてみたいと思う。あとは、Count Rodolfo役のMichele Pertusiが存在感のある役作りで、舞台を支えていた。
オーケストラは、とってもスローで緩慢なところを時折感じるが気になるほどではない。演出も現代風にスイスのリゾートホテルでの結婚披露宴の設定だが、無理なく懲りすぎず、上手く見せていた。
何回も見たくなるオペラではないが、楽しめて良かった。
(ElvinoのCelso Albelo)
(AminaのEglise Gutiérrez)
(指揮のDaniel Orenを加えて)
La sonnambula
Saturday, November 05 7:30 PM
Credits
Composer: Vincenzo Bellini
Director: Marco Arturo Marelli
Set designs: Marco Arturo Marelli
Lighting designs: Marco Arturo Marelli
Costume design: Dagmar Niefind-Marelli
Associate Director: Andreas Leisner
Lighting Associate: Friedrich Eggert
Performers
Conductor: Daniel Oren
Elvino: Celso Albelo
Amina: Eglise Gutiérrez
Lisa: Elena Xanthoudakis
Count Rodolfo: Michele Pertusi
Alessio: Jihoon Kim§
Teresa: Elizabeth Sikora
Chorus
Royal Opera Chorus
Orchestra
Orchestra of the Royal Opera House
いつもどおり、照明が落ちて、指揮者が来て音楽が始まる。とても甘美な音楽。そして、コーラスが聞こえてくる。でも舞台のカーテン(緞帳)はまだ上がらない。ようやく少し開いたと思ったら、半開きの形でLisaのアリアが始まる。舞台はまだ全体の1/4も見えない。随分、じらす演出なんだなあと思っていたら、アリアの直後、音楽は鳴り舞台が進行している中、一人の女性がマイクを持って舞台に飛び込んできた。「大変、申し訳ありません。カーテンがメカの問題のため上がらず、このまま舞台を続けることはできません。一旦ここで中断させて頂き、至急調整いたします」とのこと。
(手持ち無沙汰でバカ待ちのオーケストラと観客)
「流石、イギリス」と私は苦笑いだったが、他のお客さんもおおらかで、ブーイングどころか、Tube車内で、信号機トラブルのために途中駅で降ろされたり、線路上で立ち往生してしまう時と、まったく同じ「しょうがないね」という空気が流れた。ということで舞台はしばし水入り。その後、このステージマネジャーらしき女性がでてくること3回、最初は「すぐ直おる予定」と言いながら、2回目は「しばらく時間がかかりそうなので一旦休憩として30分後を目処に再開いたします」となった。
(一瞬、上がりがけたが、これ以上上がらないカーテン)
そして30分後にやっとセフティカーテン(緞帳の外側に降りる機能カーテン)が上がった。場内大拍手。もう一度、Lisaのアリアから再開した。一幕終了後も二幕終了後も結局緞帳は降りてこなかったから、壊れたままだったのようだ。イギリスらしいと言えば、イギリスらしいの一言で終わってしまうだが・・・
パフォーマンスの方は、初日の公演に対するメディアの批評は芳しくなかったので、不安だったが、なかなか良かった。オペラのストーリー自体は、夢遊病で歩き回わる癖のある新婦が、その行動がもとで結婚破棄を通告されるのだが、最後は疑いを晴らしハッピーエンドという他愛もない話。
やっぱりお話自体は全く面白みは感じなかったが、音楽が美しく、歌手がとても良かった。特に、新婦Aminaの役は高音が要求され、難しい役柄に見えたが、 キューバ系アメリカ人ソプラノのEglise Gutiérrezは、高音も美しく、声量も充分。美人とは言いがたいが、今後期待できそうな若手だった。また、新郎のElvino役のCelso Albeloの テノールが、いかにもイタリアオペラのテノールという感じの甘い声で魅了させられた。この2人は、他のオペラでも是非聞いてみたいと思う。あとは、Count Rodolfo役のMichele Pertusiが存在感のある役作りで、舞台を支えていた。
オーケストラは、とってもスローで緩慢なところを時折感じるが気になるほどではない。演出も現代風にスイスのリゾートホテルでの結婚披露宴の設定だが、無理なく懲りすぎず、上手く見せていた。
何回も見たくなるオペラではないが、楽しめて良かった。
(ElvinoのCelso Albelo)
(AminaのEglise Gutiérrez)
(指揮のDaniel Orenを加えて)
La sonnambula
Saturday, November 05 7:30 PM
Credits
Composer: Vincenzo Bellini
Director: Marco Arturo Marelli
Set designs: Marco Arturo Marelli
Lighting designs: Marco Arturo Marelli
Costume design: Dagmar Niefind-Marelli
Associate Director: Andreas Leisner
Lighting Associate: Friedrich Eggert
Performers
Conductor: Daniel Oren
Elvino: Celso Albelo
Amina: Eglise Gutiérrez
Lisa: Elena Xanthoudakis
Count Rodolfo: Michele Pertusi
Alessio: Jihoon Kim§
Teresa: Elizabeth Sikora
Chorus
Royal Opera Chorus
Orchestra
Orchestra of the Royal Opera House