さあ、いよいよ大会当日。アテネからスタート地点のマラソン市までは、文字通り42キロあるので、大会当日はマラソン用のシャトルバスが早朝アテネから発車する。そのバスに合わせて、5時に起床し、特別に朝5時からオープンのホテルの朝食ビュッヘで腹ごしらえをし、5:40にはホテルをチェックアウトした。まだ真っ暗の中を続々とランナーが達が、シンタグマの広場から出発するバスに乗り込み、運ばれていく。戦地に向かう兵隊の一団のようだ。
6:40頃、スタート地点のマラソン市陸上競技場へ到着。実は、これからスタートの9:00までの2時間ちょっとが一番辛かった。気温が低い上に、凄い強風なのである。気温は最低気温10度の予想だったが、体感温度は間違いなく1桁台。日本なら強風警報間違いなしのすごい風で、体がどんどん冷えていく。時おり雨も混じり、こんな天候で走るなんて、最悪。競技場の周囲には、低木が茂る低い山に囲まれているが、日本人の感覚でいうとほとんど禿げ山に近く、殺風景なことこの上なく、あまり気分も盛り上がらない。
(7:00頃。まだ暗い)
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(周囲の山。風は写真に写らないのが残念)
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スタート前までは風を凌ぐために、極力、建物の影で待機していた。隣に居た男性ランナーが話しかけてきたが、はるばるアメリカのモンタナ州から来たそうだ。目標タイムが3時間38分と言っていたから、自分よりは相当早い。でも、寒さで正直、スタート前の盛り上りやウキウキ感もあまりないのは残念。仮装ランナーは殆どいない様子で、真面目な雰囲気が流れてる。アテナイ軍の兵士のコスチュームを来たおじさんを何人か見かけたのは、アテネのマラソンであることを感じる少ない機会だった。
(この人、「裸足で走る」と言っていたが、ホントに走ったのだろうか?)
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(風をよけてランナー待機中。でも、アテネ兵士が風を避けちゃいけないと思うんだけど・・・)
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9:00にエリートランナーの号砲がなる。自分は一番後ろの方のブロックだったので、遅れること15分ほどでスタート。アテネに向けての42キロが始まった。走り始めると、時おり雨が吹き付けてくるのには閉口したが、風が強いフォローの風であることが判明。風に体を押してもらうような感覚で走れるので、体が軽くなる。途中5キロ地点ではアテネ兵士を祀る墓墳を通る。合掌。
(いよいよスタート)
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(アテネ兵士を祀る墓墳)
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(コースの道路にはクラシックマラソンのサインがいくつもありました)
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本コースの最大の特徴は200メートル以上もある高低差。10キロまではほぼ平坦だが、その後アップダウンを続けながら、徐々に上っていく。10キロ地点から20キロ地点まで、100メートル上って、50メートル下がる。そして最大の山場である20キロから31キロ地点までは高低差200メートを超える断続的な登りとなる。そして、31キロ以降はゴールまで150メートル下る。このレースがこんなアップダウンの連続であることは申し込み後に知り、マラソン発祥のコースを走れる市民マラソン大会ということで衝動的に申込んだことを悔やんだ。それでも、この直近2ヶ月の週末はハムステッドの坂で集中的に練習した上に、この日は「登りきる」と覚悟を決めて望んでいる。確かにきつかったが、神風にも助けられ、何とか上りきった。
(コースイメージ)
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(余り早くない兵士の一団)
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(奥にはエーゲ海が見えるのですが、天気が悪いので、ぼんやり)
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31キロを過ぎて、いよいよ下りに入る。30キロで2時間55分だったので、下りに乗じてペースをあげることができれば、4時間切りも夢ではないかという考えが、一瞬頭をよぎった。しかし、そんなに甘くない。10キロの登り続けたあとに、下りにギアチェンジするのは想像以上に難しかった。負担がかかる筋肉が上りと下りでは全然違うのである。いきないふくらはぎや腿の後ろに痙攣の予兆を感じる。「これはまずいかも」という嫌な予感がし、残り10キロの雲行きが急に怪しくなってきた。
(下りになったので一枚撮影)
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たくさんレースを経験することのメリットは、自分の失敗談についてもいくつものケーススタディを経験しているということだ。そして、その経験には、その場で即時応用が効く。4時間切りを目指すような色気はすぐに諦めた。そして、1~2キロ毎に、屈伸、ストレッチを行い、足の状態を確認し、確実に走り抜けるよう走った。
(市内が近づくにつれて犬が増える。一緒に走りだす犬も)
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残り5キロになるといよいよ市内に入って来る。やっと戻ってきたという感じだ。アテネの兵士も「勝利の報告まであと一息」と思って走ったに違いない。少し太陽も出てきた。最後のゴールは、109年前の第1回近代五輪が行われたパナシナイコスタジアムである。タイムは4時間8分台。風の助けを受けたとはいえ、これだけの難コースを全く歩くことなく完走できたのは、我ながら頑張った感があった。
(ゴールまであと1キロ)
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(スタジアムの手前)
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(109年前の第1回近代五輪が行われたパナシナイコスタジアム)
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さてこのコースだが、今まで走った他のフルマラソンのコースと比べると、マラソン発祥の地を走ると言う意味合いを除いては、魅力度では正直劣る。関係者のオーガナイズは素晴らしい。しかし、幹線道路だけのあまりにも殺風景なコースは面白味がないし、天気のせいもあったと思うが、サポーターの応援もゴール直前を除くと少し寂しい。
(途中の風景をもう一枚。こんな感じが続く)
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しかし、一度は走る価値のある大会だ。ここをアテネの兵士が走り抜けたと思うと、とても歩いたり、止まったりできなかった。聖地パワーはすごいのである。
2011年11月13日
6:40頃、スタート地点のマラソン市陸上競技場へ到着。実は、これからスタートの9:00までの2時間ちょっとが一番辛かった。気温が低い上に、凄い強風なのである。気温は最低気温10度の予想だったが、体感温度は間違いなく1桁台。日本なら強風警報間違いなしのすごい風で、体がどんどん冷えていく。時おり雨も混じり、こんな天候で走るなんて、最悪。競技場の周囲には、低木が茂る低い山に囲まれているが、日本人の感覚でいうとほとんど禿げ山に近く、殺風景なことこの上なく、あまり気分も盛り上がらない。
(7:00頃。まだ暗い)
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(周囲の山。風は写真に写らないのが残念)
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スタート前までは風を凌ぐために、極力、建物の影で待機していた。隣に居た男性ランナーが話しかけてきたが、はるばるアメリカのモンタナ州から来たそうだ。目標タイムが3時間38分と言っていたから、自分よりは相当早い。でも、寒さで正直、スタート前の盛り上りやウキウキ感もあまりないのは残念。仮装ランナーは殆どいない様子で、真面目な雰囲気が流れてる。アテナイ軍の兵士のコスチュームを来たおじさんを何人か見かけたのは、アテネのマラソンであることを感じる少ない機会だった。
(この人、「裸足で走る」と言っていたが、ホントに走ったのだろうか?)
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(風をよけてランナー待機中。でも、アテネ兵士が風を避けちゃいけないと思うんだけど・・・)
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9:00にエリートランナーの号砲がなる。自分は一番後ろの方のブロックだったので、遅れること15分ほどでスタート。アテネに向けての42キロが始まった。走り始めると、時おり雨が吹き付けてくるのには閉口したが、風が強いフォローの風であることが判明。風に体を押してもらうような感覚で走れるので、体が軽くなる。途中5キロ地点ではアテネ兵士を祀る墓墳を通る。合掌。
(いよいよスタート)
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(アテネ兵士を祀る墓墳)
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(コースの道路にはクラシックマラソンのサインがいくつもありました)
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本コースの最大の特徴は200メートル以上もある高低差。10キロまではほぼ平坦だが、その後アップダウンを続けながら、徐々に上っていく。10キロ地点から20キロ地点まで、100メートル上って、50メートル下がる。そして最大の山場である20キロから31キロ地点までは高低差200メートを超える断続的な登りとなる。そして、31キロ以降はゴールまで150メートル下る。このレースがこんなアップダウンの連続であることは申し込み後に知り、マラソン発祥のコースを走れる市民マラソン大会ということで衝動的に申込んだことを悔やんだ。それでも、この直近2ヶ月の週末はハムステッドの坂で集中的に練習した上に、この日は「登りきる」と覚悟を決めて望んでいる。確かにきつかったが、神風にも助けられ、何とか上りきった。
(コースイメージ)
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(余り早くない兵士の一団)
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(奥にはエーゲ海が見えるのですが、天気が悪いので、ぼんやり)
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31キロを過ぎて、いよいよ下りに入る。30キロで2時間55分だったので、下りに乗じてペースをあげることができれば、4時間切りも夢ではないかという考えが、一瞬頭をよぎった。しかし、そんなに甘くない。10キロの登り続けたあとに、下りにギアチェンジするのは想像以上に難しかった。負担がかかる筋肉が上りと下りでは全然違うのである。いきないふくらはぎや腿の後ろに痙攣の予兆を感じる。「これはまずいかも」という嫌な予感がし、残り10キロの雲行きが急に怪しくなってきた。
(下りになったので一枚撮影)
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たくさんレースを経験することのメリットは、自分の失敗談についてもいくつものケーススタディを経験しているということだ。そして、その経験には、その場で即時応用が効く。4時間切りを目指すような色気はすぐに諦めた。そして、1~2キロ毎に、屈伸、ストレッチを行い、足の状態を確認し、確実に走り抜けるよう走った。
(市内が近づくにつれて犬が増える。一緒に走りだす犬も)
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残り5キロになるといよいよ市内に入って来る。やっと戻ってきたという感じだ。アテネの兵士も「勝利の報告まであと一息」と思って走ったに違いない。少し太陽も出てきた。最後のゴールは、109年前の第1回近代五輪が行われたパナシナイコスタジアムである。タイムは4時間8分台。風の助けを受けたとはいえ、これだけの難コースを全く歩くことなく完走できたのは、我ながら頑張った感があった。
(ゴールまであと1キロ)
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(スタジアムの手前)
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(109年前の第1回近代五輪が行われたパナシナイコスタジアム)
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さてこのコースだが、今まで走った他のフルマラソンのコースと比べると、マラソン発祥の地を走ると言う意味合いを除いては、魅力度では正直劣る。関係者のオーガナイズは素晴らしい。しかし、幹線道路だけのあまりにも殺風景なコースは面白味がないし、天気のせいもあったと思うが、サポーターの応援もゴール直前を除くと少し寂しい。
(途中の風景をもう一枚。こんな感じが続く)
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しかし、一度は走る価値のある大会だ。ここをアテネの兵士が走り抜けたと思うと、とても歩いたり、止まったりできなかった。聖地パワーはすごいのである。
2011年11月13日