(アテネ観光の記事ももう少し書くつもりですが、先週末に出かけたオペラの記事をお先に)
ENOにフランスのバロックオペラ、歌劇「カストールとポリュックス」(ラモー作曲)を見に行く。オペラはもちろんのこと、作曲家の名前さえ知らなかったが、ギリシャ神話が題材(オペラの筋とは違うようだが)で、双子座の星の名前にもなっているということを知り、興味を持った。
※あらすじはこちら→
いつもながらの当日券狙いで、この日はバルコニーの前から2列目の席が何と16ポンド!
バロックらしい優雅な曲に、中心となる若手イギリス人歌手陣が素晴らしく、音楽的に素晴らしいオペラだった。特にTelaïre役のソフィー・ビヴァン(ソプラノ)とカストール役のAllan Clayton(テノール)は声量も大きい上に、高温がとても美しい。また、ポリュックス役のRoderick Williamsも安定した歌いで、失礼ながら、ENOでもこんな素晴らしい歌手陣の歌唱が聴けるのだと驚いた。
しかし、音楽は美しいのに、意味不明の下品な前衛的演出が作品全体を台無しにしていたのが極めて残念。舞台にすっぽりはまる木枠の箱が舞台に設置され、その中で舞台は進行する。前半は途中で右手に人の高さもある大きな砂山が設置されるが、それ以外には舞台の飾りは一切ない抽象的な演出。この意図も不明だったが、さらに和をかけて、登場人物の動きが極めて卑猥。ポリュックスを誘惑するシーンでは、女性二人がストリッパーのごとくスカートの中のパンツを次々に脱いでいく。5重にも6重にも重ね着しているので下半身が素肌が露出することはないが、全く音楽の優雅さと全く合わない。また、Phoebe がエロチックな妄想に耽るシーンでは、その砂山から腕だけが現れ彼女の下半身をもてあそぶ。後半はさらに過激になって、5人の男性と一人の女性が性器も露に全裸になる(幸か不幸か、長髪を顔の前に垂らしているので顔は全く見えない)。現代ものの演出は好きなほうだし、ましてや自分も男だから、女性の脱衣シーンが嫌いなわけはないが、この音楽でこの演出はないだろう。正直、これらのシーンは気分が悪くなった。エロチックなものが見たければ、ENOに来ないで、最初からそれなりのところに行くのである。音楽が本当に良かっただけに、残念だった。
まあROHではあり得ない演出なので、ENOらしく、試みとしては面白いと言うべきなのかもしれない。バロックとはいえ、昔ながらの旧態依然とした演出を続けていても、オペラが化石化するだけだから、むしろ挑戦を称えるべきなのかもしれない。
ただ私の好みでなかったことは確かで、今日の演出なら、舞台無しの、演奏会方式のほうがずっとよかったというのが正直なところだった。
いつもにもましてピンボケですが・・・
Sophie Bevan(ソプラノ) ブラボー!!!
Allan Clayton(テナー) これもブラボー!!!
(中央が指揮のChristian Curnyn)これまたブラボー!!!
Castor and Pollux
Rameau
New Production
Sat 19 Oct 11
Running time 2hrs 40mins
Credits
A co-production with Komische Opera, Berlin
New production supported by The Foyle Foundation and a syndicate of individual donors
Conductor Christian Curnyn
Director Barrie Kosky
Designer Katrin Lea Tag
Lighting Designer Franck Evin
Translator Amanda Holden
Cast includes
Telaïre Sophie Bevan
Phoebe Laura Tatulescu
Castor Allan Clayton
Pollux Roderick Williams
Jupiter Henry Waddington
High Priest of Jupiter Andrew Rupp
Mercury/Athlete Ed Lyon
ENOにフランスのバロックオペラ、歌劇「カストールとポリュックス」(ラモー作曲)を見に行く。オペラはもちろんのこと、作曲家の名前さえ知らなかったが、ギリシャ神話が題材(オペラの筋とは違うようだが)で、双子座の星の名前にもなっているということを知り、興味を持った。
※あらすじはこちら→
いつもながらの当日券狙いで、この日はバルコニーの前から2列目の席が何と16ポンド!
バロックらしい優雅な曲に、中心となる若手イギリス人歌手陣が素晴らしく、音楽的に素晴らしいオペラだった。特にTelaïre役のソフィー・ビヴァン(ソプラノ)とカストール役のAllan Clayton(テノール)は声量も大きい上に、高温がとても美しい。また、ポリュックス役のRoderick Williamsも安定した歌いで、失礼ながら、ENOでもこんな素晴らしい歌手陣の歌唱が聴けるのだと驚いた。
しかし、音楽は美しいのに、意味不明の下品な前衛的演出が作品全体を台無しにしていたのが極めて残念。舞台にすっぽりはまる木枠の箱が舞台に設置され、その中で舞台は進行する。前半は途中で右手に人の高さもある大きな砂山が設置されるが、それ以外には舞台の飾りは一切ない抽象的な演出。この意図も不明だったが、さらに和をかけて、登場人物の動きが極めて卑猥。ポリュックスを誘惑するシーンでは、女性二人がストリッパーのごとくスカートの中のパンツを次々に脱いでいく。5重にも6重にも重ね着しているので下半身が素肌が露出することはないが、全く音楽の優雅さと全く合わない。また、Phoebe がエロチックな妄想に耽るシーンでは、その砂山から腕だけが現れ彼女の下半身をもてあそぶ。後半はさらに過激になって、5人の男性と一人の女性が性器も露に全裸になる(幸か不幸か、長髪を顔の前に垂らしているので顔は全く見えない)。現代ものの演出は好きなほうだし、ましてや自分も男だから、女性の脱衣シーンが嫌いなわけはないが、この音楽でこの演出はないだろう。正直、これらのシーンは気分が悪くなった。エロチックなものが見たければ、ENOに来ないで、最初からそれなりのところに行くのである。音楽が本当に良かっただけに、残念だった。
まあROHではあり得ない演出なので、ENOらしく、試みとしては面白いと言うべきなのかもしれない。バロックとはいえ、昔ながらの旧態依然とした演出を続けていても、オペラが化石化するだけだから、むしろ挑戦を称えるべきなのかもしれない。
ただ私の好みでなかったことは確かで、今日の演出なら、舞台無しの、演奏会方式のほうがずっとよかったというのが正直なところだった。
いつもにもましてピンボケですが・・・
Sophie Bevan(ソプラノ) ブラボー!!!
Allan Clayton(テナー) これもブラボー!!!
(中央が指揮のChristian Curnyn)これまたブラボー!!!
Castor and Pollux
Rameau
New Production
Sat 19 Oct 11
Running time 2hrs 40mins
Credits
A co-production with Komische Opera, Berlin
New production supported by The Foyle Foundation and a syndicate of individual donors
Conductor Christian Curnyn
Director Barrie Kosky
Designer Katrin Lea Tag
Lighting Designer Franck Evin
Translator Amanda Holden
Cast includes
Telaïre Sophie Bevan
Phoebe Laura Tatulescu
Castor Allan Clayton
Pollux Roderick Williams
Jupiter Henry Waddington
High Priest of Jupiter Andrew Rupp
Mercury/Athlete Ed Lyon