もう2週間も前のコンサートの記録です。
スナイダーさんのLSO指揮デビューコンサート。ここ2年ばかりで、スナイダーさん関連では、ヴァイオリン・ソロとしてのLSOやウイーンフィルとの共演を聴いた。ウイーンフィルとの共演だったザルツブルク音楽祭では、演奏後はCDのサイン会で、CDにサインをしてもらい、握手もした。テクニックもさることながら繊細で優しいヴァイオリンの音は大好き。指揮者としては、どんなスタイルなのかとっても楽しみだった。
プログラムはワーグナー、シューマン、ブラームスというドイツプログラム。
冒頭の ニュルンベルクのマイスタージンガーの序曲は、暗譜だった。190センチぐらいあるのではという長身だから、指揮台は要らないぐらい。曲の持つスケール感を十分に引き出し、大きな音楽を聴かせてくれた。なぜか呼び戻しなしで拍手が終わったのが残念。
続いてのシューマンのピアノ協奏曲はいかにもロマン派という音楽。 サリーム・アッボウド・アシュカール(Saleem Abboud Ashkar)のピアノは、はっきりとした輪郭のなかに、優しさが一杯の音楽で、うっとりと聴き入った。
サプライズは休憩後のブラームス交響曲第4番。第一楽章、ゆったりと優しく始まった。ブラームスの4番と言えば、重厚な弦が畳み掛けるように襲ってくるイメージなのだが、私のイメージとは全く異なる優しいメロディ。これがブラームスの4番かと驚きを隠せなかった。第2楽章になるとペースは更にスローになる。弦のメロディ部分は普通にしても、木管がリード部分はことさらにゆっくりで聴かせる。モーツァルトやシューマンの如く優しく、ロマンティックだ。まるで全く別の音楽を聴いているようだった。途中でいったいこの曲はどうなるのか?と心配になったぐらい。このペースは結局第3楽章、第4楽章になっても変わらなかった。良く言えば、一つ一つの音節を噛み締めて味わうように音楽が構成されるし、悪くいうとブラームスの交響曲らしい勢い、厚み、流れが感じられない。最後のフィナーレも盛り上がりはあったものの、大きな波を被るようなうねりを感じることは少ないままに終わった。
人により好き嫌いがある演奏だと思う。私は驚いたまま終わってしまったのでもう一度聞きたい。新しいブラームスの交響曲を聴いたことだけは確かだ。
しかしデビュー戦をこれだけ挑戦的な解釈で振るスナイダーは逆に大したものだと感心した。無難に常識的(そんなものがあるのか知らないが)な演奏ではなく、確固たる自信を持った自分の音楽の提示に見えた。しかし、ヴァイオリンと指揮の2足のわらじをこれからどう履きわけていくのだろう。とっても興味がある。
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London Symphony Orchestra / Nikolaj Znaider
Music by Wagner, Brahms and Schumann
30 October 2011 / 19:30
Barbican Hall
WAGNER Overture: Die Meistersinger von Nürnberg
SCHUMANN Piano Concerto
BRAHMS Symphony No 4
Nikolaj Znaider conductor
Saleem Abboud Ashkar piano
London Symphony Orchestra
スナイダーさんのLSO指揮デビューコンサート。ここ2年ばかりで、スナイダーさん関連では、ヴァイオリン・ソロとしてのLSOやウイーンフィルとの共演を聴いた。ウイーンフィルとの共演だったザルツブルク音楽祭では、演奏後はCDのサイン会で、CDにサインをしてもらい、握手もした。テクニックもさることながら繊細で優しいヴァイオリンの音は大好き。指揮者としては、どんなスタイルなのかとっても楽しみだった。
プログラムはワーグナー、シューマン、ブラームスというドイツプログラム。
冒頭の ニュルンベルクのマイスタージンガーの序曲は、暗譜だった。190センチぐらいあるのではという長身だから、指揮台は要らないぐらい。曲の持つスケール感を十分に引き出し、大きな音楽を聴かせてくれた。なぜか呼び戻しなしで拍手が終わったのが残念。
続いてのシューマンのピアノ協奏曲はいかにもロマン派という音楽。 サリーム・アッボウド・アシュカール(Saleem Abboud Ashkar)のピアノは、はっきりとした輪郭のなかに、優しさが一杯の音楽で、うっとりと聴き入った。
サプライズは休憩後のブラームス交響曲第4番。第一楽章、ゆったりと優しく始まった。ブラームスの4番と言えば、重厚な弦が畳み掛けるように襲ってくるイメージなのだが、私のイメージとは全く異なる優しいメロディ。これがブラームスの4番かと驚きを隠せなかった。第2楽章になるとペースは更にスローになる。弦のメロディ部分は普通にしても、木管がリード部分はことさらにゆっくりで聴かせる。モーツァルトやシューマンの如く優しく、ロマンティックだ。まるで全く別の音楽を聴いているようだった。途中でいったいこの曲はどうなるのか?と心配になったぐらい。このペースは結局第3楽章、第4楽章になっても変わらなかった。良く言えば、一つ一つの音節を噛み締めて味わうように音楽が構成されるし、悪くいうとブラームスの交響曲らしい勢い、厚み、流れが感じられない。最後のフィナーレも盛り上がりはあったものの、大きな波を被るようなうねりを感じることは少ないままに終わった。
人により好き嫌いがある演奏だと思う。私は驚いたまま終わってしまったのでもう一度聞きたい。新しいブラームスの交響曲を聴いたことだけは確かだ。
しかしデビュー戦をこれだけ挑戦的な解釈で振るスナイダーは逆に大したものだと感心した。無難に常識的(そんなものがあるのか知らないが)な演奏ではなく、確固たる自信を持った自分の音楽の提示に見えた。しかし、ヴァイオリンと指揮の2足のわらじをこれからどう履きわけていくのだろう。とっても興味がある。
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London Symphony Orchestra / Nikolaj Znaider
Music by Wagner, Brahms and Schumann
30 October 2011 / 19:30
Barbican Hall
WAGNER Overture: Die Meistersinger von Nürnberg
SCHUMANN Piano Concerto
BRAHMS Symphony No 4
Nikolaj Znaider conductor
Saleem Abboud Ashkar piano
London Symphony Orchestra