その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

METライブ・ビューイング/ シュスターコビッチ 『鼻』

2013-11-27 22:50:22 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

≪METライブビューイングのHPより拝借≫

 先々週末になりますが、私としては今シーズンお初のMETライブビューイング。シュスターコビッチの「鼻」を見てきました。2012年にチューリッヒの歌劇場で初めて見たのですが、ゴーゴリによるシニカルな原作とシュスターコビッチの音楽が上手くミックスされており記憶に残るオペラでした。今回、METでの公演が取り上げられると知って楽しみにしていました。

 本公演の一番の売りは、美術家ウィリアム・ケントリッジの演出のようです。私は恥ずかしながら初めて聞く名前ですが、世界的にも有名な方とか。確かに、映像をふんだんに取り入れた演出は楽しめ、「鼻」の不条理な世界を上手く表しています。ただ、スクリーンで見る映像演出では、現場の臨場感を伝えるのは難しいですね。きっと生で見ると相当の緊迫感や映像効果が伝わると思うのですが、今回はそこまでは至らなかったかな。

 歌手陣は主役のパウロ・ジョットが頑張っていました。迫力あるバリトンです。殆ど出ずっぱりですが、最後まで溌剌としたパフォーマンスを披露してくれました。

 この日の公演は10月26日のメトロポリタン歌劇場の映像ですから、まだ1か月もたたないうちにスクリーンとは言えMETの公演が見られるなんて、世の中便利になったものです。METは世界のスター歌手が集まりますから、ロイヤルオペラに通った私としては、歌手陣の違いにはため息が出てしまいます。ロイヤルオペラじゃあ、ライブビューイングをやっても、METにはとても勝てないだろうなあ~

 ナマと比べると物足りなさは残りますが、なかなか日本では上演されないこうした演目を、上映してくれるのはありがたいです。今シーズンの演目の中では、「イーゴリ公」は見たことないので、是非、足を運びたいと思っています。


上映期間:2013年11月16日(土)~11月22日(金)


指揮:パヴェル・スメルコフ/ Pavel Smelkov

演出:ウィリアム・ケントリッジ/ William Kentridge


《コワリョフ》パウロ・ジョット/ Paulo Szot/ バリトン

《コワリョフの鼻》アレキサンダー・ルイス/ Alexander Lewis/ テノール

《警察分署長》アンドレイ・ポポフ/ Andrey Popov/ テノール
コメント
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