その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ホフマン物語  @新国立劇場

2013-12-02 21:58:53 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 新国立劇場にも立派なクリスマスツリーが飾られ、もうすっかりクリスマスモードでした。私としては年末最後を飾るオペラ(コンサート形式のものが1つありますが・・・)は大好きな「ホフマン物語」。7月に二期会による公演を同じ劇場で見てますが、今回は如何に?


≪新国立劇場入り口のツリー≫

 ホフマン物語にはいろんな版がありますが、私がこれまで見たのはシューダンス版。今回はエーザー版らしく、私は初めてです。第2幕がオランピアなのは同じなのですが、第3幕はアントニア、そして第4幕がジュリエッタで、シューダンス版の順番と入れ替わっています。そして最終第5幕の終わり方も違っていて、驚きました(ネタバレになるので内緒)。幕の順番は違和感なかったですが、最後の終わり方は、シューダンス版の方がスマートで好きです。

 公演そのものは、もちろん楽しめました。私はフレデリック・シャスラン指揮の東フィルの演奏が一番だったかな。オケが良く鳴って、オフェンバックの音楽の美しさ、楽しさが良く表現されています。音楽を聴いているだけでも、嬉しくなってくるのがホフマン物語。
 
 主だったところに配役された外国人歌手陣は「さすが外人、こらゃぁ〜敵わねえ〜」と唸るほど抜けた人はいませんでした。が、それぞれ安定した仕事っプリ。ホフマン役のメキシコ人アルトゥーロ・チャコン=クルス君は、雰囲気が私のイメージのホフマンに近くいい感じ。歌の方は、大声量のテノールなのですが、声にもう少し潤いがあると表現が豊かになるろうなあ〜と思ったりしました。今後に期待しましょう。リンドルフなどの悪役全てを引き受けるドスさんが、ドスの効いたバリトンで、しっかり舞台を締めてました。ニクラウス役のアンジェラ・ブラウアーさんはズボン役がとっても良くお似合いです。

 が、歌に関して言えば、むしろ、日本人の3人の歌姫さんが外国人歌手を相手にしっかり四つに組んだ存在感を発揮していたのが印象的でした。特に、オランピアの幸田浩子さんのソロは素晴らしかった。アリア「生垣には、小鳥たち」は、いつもドキドキ、ハラハラしながら聞くのですが、幸田さんのソプラノは安定していて、何とも美しい。機械仕掛けの人形の演技もチャーミングでした。

 フィリップ・アルロー氏の舞台(演出・美術・照明を担当)は、蛍光色を使った現代風の舞台。脇役陣にはピノキオみたいな長い鼻をつけるなどパロディチックなところもあり、色彩も華やかなものですが、ちょっと私の好みとはずれてました。第1幕は美術と照明の使い方が綺麗だなあと思いましたが、第4幕は登場人物は多く、ごちゃごちゃしていて、どこで何が起こっているのか良く分からない。決して悪いプロダクションとは思いませんが、私にはあまり訴えるものが無かったなあ。

 いずれにしても、12月最初の日曜日に、今年最後の舞台形式オペラを「ホフマン物語」で締める。私にとっては自分への最高のクリスマスプレセントでした。


≪今日は4階の最後列≫


≪ホワイエのクリスマスツリー≫


2013/2014シーズン

12月1日(日)14:00

Jacqus Offenbach : Les Contes d'Hoffmann
ジャック・オッフェンバック/全5幕
【フランス語上演/字幕付】

【指揮】フレデリック・シャスラン(インタビュー記事)
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田 遙

【ホフマン】アルトゥーロ・チャコン=クルス
【ニクラウス/ミューズ】アンジェラ・ブラウアー
【オランピア】幸田浩子
【アントニア】浜田理恵
【ジュリエッタ】横山恵子
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】マーク・S・ドス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】高橋 淳
【ルーテル/クレスペル】大澤 建
【ヘルマン】塩入功司
【ナタナエル】渡辺文智
【スパランツァーニ】柴山昌宣
【シュレーミル】青山 貴
【アントニアの母の声/ステッラ】山下牧子
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【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団


Jacqus Offenbach: Les Contes d'Hoffmann
Jacques Offenbach / all five acts
[French staged / subtitles]

【Command】Frédéric Chaslin
【Performance · Art · Lighting】Philippe Arlaud
【Clothes】Andrea Woman
【Choreography】Ueda much

【Hoffman】Arturo Chacón-Cruz
【Nicklaus / Muse】Angela Brower
【Olympia】Hiroko Koda
【Antonia】Hamada Rie
【Julieta】Keiko Yokoyama
【Rindorufu / Kopperiusu / Miracle Doctor / Daperuto~utto】Mark S. Doss
【Andre / Koshuniyu / Franz / Pitikinatcho】Atsushi Takahashi
【Lutheran / Crespelle】Osawa built
【Hermann】Shioiri IsaoTsukasa
【Nathanael】Watanabe Man Chi
【Spallanzani】Masanobu Shibayama
【Shuremiru】The Castle
【Voice / Stella mother of Antonia】Makiko Yamashita
コメント
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