その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

上阪 徹 『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』 (角川SSC新書)

2013-12-08 00:03:54 | 


 インターネットビジネスのケーススタディとして、DeNAに続いてクックパッド(COOKPAD)を紹介した本を読みました。

 クックパッドについては名前を聞いたことがある程度の認識だったのですが、本書をきっかけに企業情報を調べる(https://info.cookpad.com/)と、月間のべ利用ユーザが3959万人という巨大なレシピ・サイトです(2013年第2四半期決算資料)。一般家庭の主婦がレシピをアップロードして、また献立つくりのために検索するといったシンプルなモデルのレシピ・サイトが、半期での売上で30億円、営業利益が16億円という高収益、高利益を稼ぎます。日本のネット企業の中では、楽天やDeNAに比べると知名度は劣りますが、この成長はネットビジネスのダイナミックスを感じるのに十分です。

 一般の企業紹介本にありがちな提灯持ち的な記述も正直あるにはあるのですが、それを差し引いても、同類のレシピ・サイトがある中、短期間でどうやってここまでの急成長を遂げることができたのかを知ることはなかなか勉強になります。本書の記述を真に受けると、徹底的な顧客目線で、技術、サービスをチューニングしてきたことにつきるかと思います。

 本書から受ける創業者の佐野氏の印象は、楽天の三木谷さんやDeNAの南場さんのような強烈なリーダーシップを持ったカリスマ経営者ではありません。しかし、経営方針やサイト方針へのこだわりなどを読むと、相当の信念を持った経営者であることは間違いありません。

 また、いわゆるネット企業につきものの急成長が故のいかがわしさや信用度といった意味でも、この会社はしっかり地に足がついており、安定感すら感じます。

 もちろん、本書の記述を鵜呑みにしてその企業を判断するのはあまりにも早計ですが、今後のビジネス展開を注目していきたい企業です。ネットビジネスに関心のある方にはお薦めの一冊です。

★★☆☆☆
コメント (2)
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