インターネット企業の起業物語を読んでいると、重厚長大系日系企業に勤めている私には「こんな会社もあるのか~」と驚きっぱなしである。そして、描かれるダイナミズムやエネルギーに触れ、こういうパワーが時代を切り拓き、創って行くのだろうとしみじみ思う。無論、旧来型企業であっても、その社会的責任は大きく、かつ競争状況は非常に厳しいものであるのは間違いないのだが、宇宙人を見るような目新しさを感じるのが面白い。
本書は日本のインターネット企業でも数少ない成功企業(今のところ)であるドワンゴ社の創業期を追っている。携帯ゲームから始まって、携帯電話の着うた、そしてニコニコ動画へと、時代の変化に合わせて、コアビジネスを変化させ、成長を続けているのは素晴らしい。
タイトルに引かれて「ニコニコ動画」に関するビジネス本だと思ったら間違う。私自身もニコニコ動画のビジネスモデル、構想が知りたく、本書を手に取ったが、その目論見は完全に外された。本書ではむしろ創業からニコニコ動画に行きつくまでの道程が語られる。
社会に不適応なゲーマー達を社員として雇用してゲーム開発をやらせるなど、一見ハチャメチャに見えることでも合理性はしっかり追求している。成長期の企業ならではの勢いを感じる本である。
★★☆☆☆
(5つ星が満足度100%)