その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

平野 敦士 カール、アンドレイ・ハギウ 『プラットフォーム戦略』 東洋経済新報社 2010

2013-12-29 06:57:48 | 
 
 個々のインターネット系企業の成功物語を何冊か読んでみたので、そうした事例を一般化、理論化したものはないかと思い本書を手に取った。インターネットネット企業は、どこも自分のホームページに利用者や広告掲載企業を集めることでビジネスモデルを作るプラットフォームビジネスであるが、本書はそのプラットホームビジネスの成功のノウハウについてまとめたものだ。

 計170ページのハードカバー本であるが拍子抜けするほど記述は平易でスイスイ読める。書き方が上手いのか、内容が薄いのかなのだが、どちらかと言えば前者と言いたい。参考になったのは、プラットフォームビジネスを構築するための9つのステップで、これだけ読んでもピンとこないが、最近読んだアマゾン、DeNAやクックパッドの事例を思い起こしながら読むとかなり説得力が増す。また、プラットフォームとして成功した企業が一方的な値上げ等を行う「プラットフォームの横暴」に対抗するための方法も興味深った。その通りに実践するのは容易ではないだろうが、考え方を知ることだけでも役に立つ。

 アマゾンのユーザーレビューは5点から1点までかなり広範囲に評価は割れている。「あたりまえのことを書いているだけ」「中身がない」などと酷評している方もいる。理論とセットで紹介されているいくつかの事例もあっさりと簡易に書いてあるので、本書を通して一読するだけでは、中身が薄いという感想を持たれるのも致し方ないかもしれない。自分の読んだタイミング、順番がたまたま良かっただけなのだが、本書を読まれようと思っている方は、色々なプラットフォームビジネスの事例に触れてから読むか、もしくは本書を読んだ後に多くのケースに当たることをお勧めしたい。


★★☆☆☆
コメント
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