その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

オレグ・カエターニ/都響 ベートーヴェン交響曲第5番ほか

2018-06-14 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 衝動的に生ベートーヴェン交響曲第5番聴きくなって文化会館に出かけ、当日券を購入。

 お目当ての「運命」は期待を上回る素晴らしい演奏だったのですが、それ以上にサプライズかつ感動的だったのは2曲目のチェロ協奏曲。恥ずかしながら名前も初めて聞く日本人作曲家・矢代秋雄による現代音楽です。

 音楽の持つ幽玄で深遠な世界、そしてソリスト宮田大の力強く、透明感あるチェロの音色に魅了されました。水を打ったような静けさに包まれた文化会館の大ホールの中で、まるで和楽器のように響くチェロやフルートの音に痺れっぱなしでした。管弦楽曲は交響曲、ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲の計3曲という作曲家ですが、和洋折衷を突き抜けた、和でも洋でもない世界が展開されました。記憶に残るコンサート体験となったことは間違いありません。

 休憩後の「運命」は力強い、骨太の演奏でした。比較的早めのテンポで第1、第2楽章は進みましたが、都響の弦のアンサンブルの美しさに感嘆します。2年半ほど前に、ほぼ同じ位置で、ドレスデンフィルの演奏の「運命」を聴いたのがまだ耳に残っていましたが、都響の演奏の方がアンサンブルの精緻さ、音の深み、厚みにおいて、優に勝ってました。

 オレグ・カエターニさんの指揮も初めてでした。長身を大きく使った指揮ぶりは決して恰好が良いというものではありませんでしたが、都響からは相当の集中力を引出してました。私が今さら言う話では無いですが、「運命」は本当に素晴らしい曲で、「人類の宝」と言っても過言ではないと思います。

 衝動的に出かけた文化会館ですが、期待以上の時間となり幸福感一杯で後にしました。


第858回 定期演奏会Aシリーズ

日時:2018年6月11日
場所:東京文化会館

指揮/オレグ・カエターニ
チェロ/宮田 大

シューベルト:交響曲第3番 ニ長調 D200
矢代秋雄:チェロ協奏曲(1960)
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 op.67《運命》

Subscription Concert No.858 A Series

This concert is over.
Date: Mon. 11. June 2018
Hall: Tokyo Bunka Kaikan

Artists
Oleg CAETANI, Conductor
MIYATA Dai, Violoncello

Program
Schubert: Symphony No.3 in D major, D200
Yashiro: Cello Concerto (1960)
Beethoven: Symphony No.5 in C minor, op.67

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