その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

演劇 「BOAT」 作・演出:藤田貴大(マームとジプシー) @東京芸術劇場プレイハウス

2018-07-27 07:30:00 | ミュージカル、演劇



池袋に用があった帰路、どんな話かも確認せずに飛び込みで観劇。事前知識ゼロで観るにはちょっとヘビーすぎる内容でしたが、脚本、俳優陣、演出、いずれも強く印象に残る演劇でした。

「名前」、「除け者」、「余所者」、「日常」と言ったキーワードを軸にメッセージ性が強い台詞が役者さん達から発せられます。同じ台詞が複数の場面で繰り返されるのも特徴で、言葉が波動的に強化され、見る者に訴えます。私がどこまでこのメッセージの真意を理解していたかは正直自信がありませんが、日本人や日本社会特有の世界観を凝縮しているかのようです。

俳優陣も熱演で、舞台一杯に熱と緊張感が漂ってました。私の視力では、二階最後列の自席から役者さんの表情まで読み取ることができなかったのは残念でしたが、熱量は十分に伝わってきました。

舞台はシンプルな作りながら、ボートと畳一畳ほどの大きさの仕切りボードが舞台上で柔軟に組み合わされ、場が構成されます。観る者の想像力を刺激するつくりです。映像も節々で上手く活用され、舞台効果を高めてました。

本劇の作・演出の藤田貴大さんは若手注目株の演劇人のようですが頷けます。全くの計画外の幸せな出会いであり、ハプニングでした。



2018年07月16日 (月・祝) ~2018年07月26日 (木)
会場: プレイハウス
作・演出: 藤田貴大(マームとジプシー)

出演
宮沢氷魚 青柳いづみ 豊田エリー 
川崎ゆり子 佐々木美奈 長谷川洋子 
石井亮介 尾野島慎太朗 辻本達也 
中島広隆 波佐谷聡 船津健太 山本直寛 
中嶋朋子

スタッフ
照明:富山貴之 音響:田鹿充 映像:召田実子 
衣裳:suzuki takayuki ヘアメイク:大宝みゆき 
舞台監督:森山香緒梨
宣伝美術:名久井直子 宣伝写真:井上佐由紀

あらすじ
土地は、
ボートによって発見された。流れ着いた人々は、そこで暮らし、子孫を繁栄させた。
現在も、
海岸にはときどき、ボートが漂着する。しかし、人々はそのことにもう関心がない。
ある日、
上空は、ボートで埋め尽くされた。その意味を知らないまま、人々は慌てふためく。
人々は、
ふたたび、ボートに乗って。ここではない土地を、海より向こうを目指すのだった。

コメント
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