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先日読んだ中公新書の『仏像と日本人』に、いとうせいこうとみうらじゅんの『見仏記』が、現代において新しい仏像鑑賞の方法を示したものとして高く評価されていたので、どんなものだろうと思い手に取ってみた。マスメディア経由で両氏の名前こそ知っているものの、その著作や作品には触れた機会が無く、私としては初顔合わせ。本書は、子供時代から仏像鑑賞に親しんできたみうらじゅんさんと、仏像鑑賞入門者のいとうせいこうさんが一緒に、全国の仏像巡りをするイラスト付き旅行記である。
仏像鑑賞以前に、2人の会話のストロークが可笑しい。学生の時に交わしたような軽い、言葉遊び的なやりとりにも見えるが、お互いを察する大人らしい相手への思いやりも感じられる。異なった個性・能力が織りなすインプロビゼーションだ。
仏像鑑賞についても、まずは自らの感覚で捉える両氏の鑑賞スタンスが、肩ひじ張らず、非常に好感が持てる。私が訪れたことのあるお寺、見たことある仏像も、多く含まれているのだが、確かにそういう印象だったなあ~とか、なるほどこう表現するのか・・・と感心しきりだった。同じような感覚・感想を持っても、伊藤氏の文章は表現がさすがプロである。平易ななかに、仏像の魅力を伝える技には感嘆させられる。また、みうら氏のイラストも漫画チックに仏像見学の面白さ、楽しさが表現されている。
これを読めば、仏像見物に出かけたくなることは請け合いの一冊。
目次
奈良 興福寺・東大寺
奈良 法隆寺・中宮寺・法輪寺・法起寺・松尾寺
京都 六波羅蜜寺・三十三間堂・東寺
東北 慈恩寺・立石寺
東北 立花毘沙門堂・万蔵寺・成島毘沙門堂
東北 毛越寺・中尊寺・黒石寺
阿弥陀如来の基礎知識
奈良 新薬師寺・五劫院・東大寺戒壇院・浄瑠璃寺
奈良 宝生寺・当麻寺・聖林寺
奈良 薬師寺・唐招提寺・西大寺 ほか