その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響12月定期Cプロ バッハ・プログラム 指揮:トーマス・ヘンゲルブロック

2018-12-09 09:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


今年最後のN響定期はオール・バッハ・プログラム。指揮のトーマス・ヘンゲルブロックさんは、私には全くの初顔でしたが、ドイツ出身で2011年から2018年夏までNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(旧北ドイツ放送交響楽団)の首席指揮者を務めるなど、欧州を中心に活躍されている方のようです。

私はこの日は所用により遅刻。2曲目のシェーンベルクが編曲した前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552「聖アン」からの視聴となりました。席に着くや驚いたのは、バッハなので当然小編成なのだろうと思い込んでいたら、舞台いっぱいに広がる大編成。そこから響いてくるのは、確かにバッハなのだけど、聴き慣れたバッハとは異なったスケール感一杯の音楽でした。初めての私には理解の範疇を超えていたので、耳に流れこむ音楽を受け止めていただけの状態でしたが、編曲っていうのはこういうことなのねと、妙に納得しました。

圧巻は休憩後の「マニフィカト」です。「マニフィカト」とはラテン語で「我が心、主を崇め」で始まるこのキリスト教聖歌のひとつを指すとのことです。訳詞がプログラムにありましたが、マリア讃歌です。

総勢30名ほどのバルタザール・ノイマン合唱団の清らかな歌声が心に染みいります。クリスマスに併せて、4曲の挿入歌を挟んだのに加えて、《マニフィカト》演奏終了後には、クリスマス・オラトリオからの合唱も披露され、季節感あふれる会場となりました。N響によるバッハ演奏会というのも、私には初めてでしたが、柔軟なN響はそつなくバッハ的な響きを奏でていました。オーボエやチェロのソロも美しかった。

本来なら教会で、ホールなら東京オペラシティコンサートホールのようなところで聴ければベストなのでしょうが、場違いながらも大きなNHKホールにも、聖なる音楽が響きました。

この12月、デュトアさんがいないのは残念でしたが、おかげでいつもの12月とは違った指揮者・プログラムが楽しめました。丁度、来シーズンの指揮者が発表され、鈴木雅明・優人親子の登壇が目を引きましたが、ここ数年かなり指揮者陣が固定化しているような気もします。いろんな新しい指揮者とのコラボもいいですね。



第1901回 定期公演 Cプログラム
2018年12月8日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

バッハ/組曲 第4番 ニ長調 BWV1069
バッハ(シェーンベルク編)/前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552「聖アン」
バッハ/マニフィカト ニ長調 BWV243(クリスマス用挿入曲つき)
※本公演の指揮者、ヘンゲルブロック氏の希望により、ヨーロッパのクリスマスでの演奏習慣に従いバッハ《マニフィカト》演奏終了後、
バッハ/クリスマス・オラトリオ BWV248
―第59曲 コラール「われらはここ馬槽のかたえ 汝がみ側に立つ」

指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
合唱:バルタザール・ノイマン合唱団


No.1901 Subscription (Program C)
Saturday, December 8, 2018 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Bach / Suite No.4 D major BWV1069
Bach / Schönberg / Prelude and Fugue E-flat major BWV552 “St. Anne”
Bach / Magnificat (with 4 Christmas Interpolations)

Thomas Hengelbrock, conductor
Balthasar Neumann Choir, chorus


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