ついに終わってしまった。作者自身は足掛け37年、途中から追いかけ始めた私は足かけ30年かけた、松坂熊吾のジェットコースター人生を軸とした、家族・親戚・商売仲間達の生きざま、日本人のうごめく生活史、日本戦後史を描いた物語が終わりとなった。
最終巻は、終焉に向けて悠々と大河のごとく流れていく。自身が目標とした、息子が20歳となる70歳を迎え、身辺の整理を意識しつつ淡々と流れていく主人公の時間軸と、戦後の高度成長期を迎える日本の早い変化のスピードが絡みつつ、「宿命」の中で生きていく人間たちが描かれる。読みながら、いずれ晩年を迎える自分自身や、主人公同様に倒れて病院で死を迎えた父らの「宿命」や「業」について思いが及んだ。
作者自身、生きている間に完結するかどうかが不安だっとというが、無事に完結に至ったことを何よりも祝いたい。日本文学史に残るべき物語となるべきだろう。