その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

指揮:アラン・ギルバート/都響/スペイン・プログラム 

2018-12-21 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


月初めに聴いたアラン・ギルバートと都響の演奏会がとっても良かったので、Aプログラムにも突撃。幸運にも前回味を占めた前方のかぶりつき席(前列2列目)がゲットできました。プログラムは、スペインを舞台にした3作品ですが作曲者にスペイン人はいないという面白いプログラム。

 冒頭のドン・キホーテは過去に2回ほど生で聴いたことがありますが、今一つ馴染みにくい印象がありました。今回は、チェロのソロを弾くターニャ・テツラフさんが目の前というラッキーシートだったためターニャさんをガン見、ガン聴。チェロの深く美しい音色に引き込まれました。近いだけに、ターニャさんが注意深く指揮者、共演のヴァイオラ、背後のコンミスさんと息を併せようとしているかも良く分かる。
 指揮者を挟んで対象に立つヴィオラの鈴木さんのヴィオラの音色も負けずに際立っていました。加えて、かぶりつき席では弦の綺麗なアンサンブルが良く聴こえます。この音楽って、こんなに美しく、変化に富んだものだったということを初めて認識。今日をきっかけにこの曲の良さが分かり、好きになった次第です。

 後半の冒頭は「カルメン」からアランセレクション。こちらは表現豊かで、煌びやかなカルメンでした。生き生きとし、生命感にあふれる演奏。あまり比較はしたくないですが、11月に観劇した新国の「カルメン」がこのぐらいの演奏だったらなあ~と思わせるほど。2列目席からは全く見えないソロパーツの管楽器も大活躍。

 ラストのリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」は楽しさと活力溢れる演奏。躍動感、色彩感豊かで、体が自然と動いてしまうような音楽です。アランはオケの盛り上げが上手いですね。規律をしっかりとるところと、楽員に伸び伸びと自主的に行かせるところのバランスが良いです。

 3曲通じてスペインの雰囲気をたっぷり味わいながら、楽しくウキウキの2時間を堪能した演奏会でした。多分に偶然に左右されて足を向けた2つの12月の都響定期でしたが、私には年末の素晴らしいクリスマスプレゼントでした。これ以上、定期会員になることは時間的にもお財布的にも許されないのが残念ですが、来年以降どうするかの悩みが一つ増えてしまいました。


第870回 定期演奏会Aシリーズ
場所:東京文化会館

出演者
指揮/アラン・ギルバート
チェロ/ターニャ・テツラフ *
ヴィオラ/鈴木 学 *

曲目
R.シュトラウス:交響詩《ドン・キホーテ》op.35 *
ビゼー:『カルメン』組曲より(アラン・ギルバート・セレクション)
前奏曲(闘牛士)/第1幕への序奏/アラゴネーズ/ハバネラ/闘牛士の歌/間奏曲/密輸入者の行進/ジプシーの踊り
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34

Subscription Concert No.870 A Series
Date: Wed. 19. December 2018, 19:00
Venue: Tokyo Bunka Kaikan

Artists
Alan GILBERT, Conductor
Tanja TETZLAFF, Violoncello *
SUZUKI Manabu, Viola *

Program
R.Strauss: Don Quixote, op.35 *
Bizet: Selections from Carmen Suite
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol op.34


コメント
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