その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

慣れないかぶりつき席で大興奮! アラン・ギルバート/都響/ストラヴィンスキー「春の祭典」他 @サントリーホール

2018-12-12 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 都合で行けなくなった知人から都響定期のチケットを譲っていただき、私としては珍しい平日の演奏会へ。行ってびっくり、なんと1階センターブロックの前から2列目。こんなかぶりつき席は何年ぶりだろうか?定期演奏会の自席という概念が無く、比較的演奏会チケットが安価なロンドンのオーケストラでは、ちょくちょくかぶりつき席は経験できましたが、日本に帰ってからというもの、記憶が無いですね。定期会員のN響は会員最安席の巨大NHKホール3階席のサイド(ここはここでNHKホールとしてはかなり良い音で聴こえます)だし、割高な一回券で1回前方の席は手が届きません。前置きが長くなりましたが、このかぶりつき席のおかげで、近年まれな音楽体験となりました。

 前半はメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」とシューマンの交響曲第一番「春」。弦楽器の合奏が引き立つシューマンの「春」で、前方2列目の席の良さを満喫しました。アラン・ギルバートさんが力強い推進力一杯で展開されるこの音楽の音圧を身体全体で受け止めます。弦楽器の夫々の細かいニュアンスや合奏の厚みをダイレクトに感じ取ることができます。アランは暗譜で、体からエネルギーが満ち溢れているのが手に取るように分かります。う~ん、このライブ感はたまらんと、前半だけで満足度いっぱいでした。

 そして、後半は更に圧巻。「春の祭典」のオドロドロしく、時に畳みかけるようなリズムが私に襲い掛かってきました。私自身が「生贄の祭り」の一部に参加しているかのよう。席からは管楽器、打楽器奏者は全く見えないので、管楽器の活躍は、やや遠くから聞こえて来るか、天から降ってくるような感じで聴こえてしまうのがやや残念ですが、それでも冒頭のファゴットによる狼の遠吠えのような不気味な導入に始まるこの曲の管楽器陣の健闘は手に寄るようにわかりました。アランの「ハルサイ」は、力強い各楽器の熱演にとどまらず、見通しの良さと管弦のバランスの良さが印象的で、土臭さや狂気的なものはやや少なかった気がします。固唾をのんで舞台を見入った30分はあっという間に終わってしまいました。

 プログラムにも恵まれたところはありますが、席のアドバンテージが最大限生きた演奏会で満足感一杯。多少、お金がかさんでもこのライブ感は代えがたいですね。これからは1回券は前方の席を買うことを決意して、ホールを後にしました。


第868回 定期演奏会Bシリーズ
日時:2018年12月10日(月)19:00開演(18:20開場)
場所:サントリーホール

出演者
指揮/アラン・ギルバート

曲目
メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》op.26
シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 op.38《春》
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》


Subscription Concert No.868 B Series
Date: Mon. 10. December 2018, 19:00 (18:20)
Venue: Suntory Hall

Artists
Alan GILBERT, Conductor

Program
Mendelssohn: “Fingal’s Cave”, Overture, op.26
Schumann: Symphony No.1 in B-flat major, op.38 “Spring”
Stravinsky: Le Sacre du Printemps
コメント
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