その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

お菓子だけじゃない 六花亭凄い!:中札内美術村(2019年夏・北海道旅行 (1))

2019-08-18 09:51:31 | 旅行 日本

今年の夏は3年ぶりに北海道を訪問しました。旅行テーマを「十勝・富良野の自然」「札幌のカラバッジョ展」「余市のウイスキー蒸留所」と自然・美術・酒に設定し、帯広Inの札幌Outで4泊の旅程です。あいにく、3年前と同様、前半から中盤は殆ど雨という残念な天候でしたが、雨なりに中身の濃い旅となりました。

最初の2日間は、十勝の自然を満喫すべく庭園や公園でゆっくりするつもりだったのですが、初日は帯広空港で車を借りたところで既に雨。そのため予定を一部変更したのですが、逆に想定外に素晴らしいところに出合えました。北海道土産で有名なバタークッキーのメーカー六花亭が運営する中札内美術村です。

ここには森の中に7つの建物が散在していて、レストラン棟を除いて6つの建物が夫々のテーマを持ったミニ美術館になっています。建物自体が洋館だったり、古民家だったり、昔のお蔵だったりとても個性的です。そして、いくつかの建物からは外の森の緑が入る設計になっていて、自然の中で色んな絵画が楽しめます。私は6つのうち、「ギャラリー柏林」、「小泉淳作美術館」、「真野正美小館」、「真野正美作品館」4つのギャラリーを訪問。


<林の中にこんな蔵のギャラリーが>


<これもギャラリーです>

どれも良かったのですが、特に、日本画家小泉淳作画伯の作品を集めた小泉淳作美術館は圧巻でした。絵を見るまで気が付かなかったのですが、この方、京都の建仁寺天井画「双龍図」を描いた方でした。15年ほど前に建仁寺を訪れた際に、その天井画の迫力に足が竦んだのですが、その小下絵が展示されていて、私的には狂喜。世の評価を得るのに時間がかかったようですが、若き日はピカソのようなキュビズム風の絵を描き、その後も大きく画風が変わっていきます。細部まで魂の籠った絵は、中に吸い込まれるような力を持っています。


<小泉淳作美術館前。写真に雨が写るほどの雨>


<入口を入るとこんな感じ。我々以外の訪問者は0。絵を管理監督している人もいません!>


建仁寺天井画「双龍図」小下絵。本物の迫力には到底及びませんが、そのすごさは感じ取れます>


奈良・東大寺に奉納された蓮の襖絵レプリカ


〈新雪の鳥海山〉

この他も、「真野正美小館」同「作品館」では、北海道の人々の生活や街・村を描いた作品が楽しめ、また「ギャラリー柏」では中札内村が企画する「北の大地ビエンナーレ受賞作家展」が開催され、現代画家たちの様々な絵を鑑賞できます。


真野正美氏の作品:暖かいほのぼのとした絵です


「北の大地ビエンナーレ受賞作家展」@ギャラリー柏>

加えて、更に特筆ものは美術村庭園。いわゆるイングリッシュガーデンなのですが、整備が行き届き、夏の草花が咲き乱れるイングリッシュガーデンは、自分が日本にいることを完全に忘れ、イングランドのマナーハウスの庭園にでもいるような錯覚に陥ります。雨であったのは残念ですが、雨でもいつまでも居たいと思わせてくれるような美しい庭です。美術に興味が無くともこの庭園だけでも訪れる価値は十分。


<なかなかガーデンの全体的な写真は難しいのですが、雰囲気だけでも>


<ラベンダー>

凄いのは、これらの美術・庭園鑑賞は全て無料!日本に美術館多しと言えども、これほど落ち着いて、ゆっくり自分のペースで、緑あふれる林の中という鑑賞環境は数少ないかと思います。これを運営している六花亭。土産菓子屋さん程度の認識しかもっていなかった自分の不明を大いに恥じました。

中札内美術村を出た後は、近くにある「六花の森」にも立ち寄りました。ここも六花亭が運営するギャラリー付きのガーデンですが、こちらはギャラリーよりも森の方に重点が置かれています(ここは有料)。ここでもギャラリーに立ち寄りつつ、傘をさして森の中を散策。散策後は、イギリスのミュージアムCaféのようなCaféでコーヒーとお菓子を頂き、ゆっくりとした時間を楽しみました。


<靄が立ち込める池と林>


<園内を川が流れます>


<六花亭の包装紙の柄がそのまま作品>


<Cafe>

生憎の雨を吹き飛ばしてくれる初日でした。

 

付録≫

帯広空港から最初に立ち寄った幸福駅跡。


201988

コメント
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