米国のファーウェイ取引禁止措置が騒がれた中、非常に機を得た書籍ではある。筆者はWikiによると、「日本のビジネスアナリスト、実業家、投資家、元株アイドル」とのこと。5年前からファーウェイ社の危険性を訴え、筆者自身同社から度重なる嫌がらせに遭ったと言う(これは本当っぽい)。
ファーウェイ問題は、仕事的に私自身他人事ではないので、何か新たな知見が得られることを期待したが、正直、内容の真偽はともかくロジックや編集が貧弱でトンデモ本に近かった。提示される仮説(事実っぽく書いていあるがほとんどすべてが仮説・噂である)は、筆者なりの論理構成や論拠が殆ど提示されることなく、想像・思いこみ・決めつけとしか思えない部分が多く、普通の論理思考を持った人なら読み進めるのがとっても苦痛である。また、話がポンポン飛ぶので、ついていけない(特に第1章)。口だけの評論家や政治家の著作ではこうしたスタイルの本は珍しくないが、アナリスト(自称?)でもあり、経営者でもある人が書く内容にはとても見えない。
そのスタイルに我慢できれば、自分の知覚のスコープの中に入れておいて損はないネタや視点はなくはない。私にとって新しい視点としては、台湾と北朝鮮の関係だ。これも根拠はテレビに映った北朝鮮のハイテク機器が台湾製のものばかりだったと言った程度なのだが、あまり両国の関係性は気に留めたことが無かったので、私には新鮮だった。
買って読む程ではないが、話のタネに地元図書館に蔵書があれば手にって最初の20ページを読んで、合うか合わないかを見定めて頂ければ。
≪目次≫
プロローグ——日本人にとって本当の戦いが始まった
ファーウェイを告発して六年
激震が走る半導体業界
アメリカの「中国製造2025」潰し
ついに中国製品排除がわが国でも始まった
第一章 ITへの無知が国を亡ぼす
私たちはすでに戦場にいる
ファーウェイのスマホを使ってはいけない
インターネットは軍事的必要性から生まれた
スパイ企業を礼賛する日本の政治家
サーバーに中国スパイチップが
中国に支配されたシリコンバレー
フェイスブックは中国の手先か
米国の反中派実業家が次々に消されている
「AI」に固執する人間不信の習近平
シリコンバレー従業員にも中国の影
プラットフォーム企業にのしかかる膨大なコスト
上場企業の外国人支配
ネット空間の言論統制
中国型インターネットと米国型インターネット
移民受け入れより日本の低消費電力型スパコン技術の開発を急げ
ペジー・バッシング——朝日による偏向報道は日本の技術潰し
ノーモア技術泥棒
読者を馬鹿にした経済誌
シャープ、東芝、タカタに関する大噓報道
狙われるリニアモーター技術
公取委は半分、赤い。
〝経済犯〟の神格化
日本の家電を斜陽化させた鄧小平
第二章 半導体業界を支配する闇社会
台湾半導体シンジケート「青幇」
米国が指摘する偽チップ、リユース部品問題
日本の最先端技術をめぐる中・台・北の暗躍
テリー・ゴウが東芝メモリ買収を焦った理由
盗っ人企業・韓国SKの目論見
産業革新投資機構による東芝再建を
日本政府の怠慢
北朝鮮サイバー軍の攻撃はもう始まっている
中・台・北の通信インフラ工作
リアルとバーチャルの連携
〝成りすまし日本人〟に気をつけて
サイバー攻撃の脅威は仮想空間に留まらない
人工知能で自動化するサイバー戦争
「中国人留学生のほとんどはスパイ」
耳を疑う野田聖子前総務大臣の発言
自動運転のクルマがテロの標的になる
日本にも専門機関の設置が必要だ
第三章 スパイ合法国家の末路
心理戦でスパイ化される日本人
セキュリティ・クリアランス制度とIoT
美女からLGBTハニトラまで
裁判所にまで工作員が⁉
ドローンはオモチャではない
蓮舫氏が国会議員であってはならない理由
蓮舫氏への公開書簡
●台湾バナナ事件と消された資料/●「二位じゃダメなんですか?」/●シャープ買収の真の理由/●「台湾は国家ではない」/●「父のいた大陸を見たい」
「蓮舫法案」の成立を
第四章 日本を脅かす悪のトライアングル——中国・北朝鮮・台湾
中国が支配する仮想通貨
ビットコインは北朝鮮の資金源
北ミサイル製造機械は台湾製
すべては台湾から!
ドゥテルテもキレた! 北朝鮮製ドラッグ
国際条約で規制できない台湾
経産省と警察の連携を
金正恩よ、ミサイルを撃て!
「親日・反日」では見誤る
おわりに——人権のパラドックス