<木々の葉の色が少しづつ変わって来てます>
前週に続いてパーヴォ、N響へ。この日はメインにマーラーがあるためか、完売までは行かないまでも客席は9割以上は埋まっており、普段以上の熱気がむんむん詰まってました。
前半のシュトラウス 歌劇「カプリッチョ」から「最後の場」は全く初めて聴く曲でしたが、「ばらの騎士」風の非常に美しい旋律の音楽。ソプラノのヴァレンティーナ・ファルカシュさんも初めての方ですが、ブルーと紺の地に花柄をあしらった綺麗なドレスを身にまとった姿はとっても華があり、チャーミングな方です。歌声は繊細で優しい。二人の男性から一人を選ばなくてはいけない迷う女心を清らかに歌ってくれました。ちょっとホールが今日の歌には大きすぎる感はありましたが、N響の演奏も素晴らしく、これ是非一度オペラで観てみたいものです。
後半のマーラー交響曲第5番は圧巻でした。冒頭の菊本さんのトランペットソロがびしっと決まり、その後はパーヴォの変幻自在の指揮の元、熱量高く、管と弦のバランスも良い超ハイレベルの演奏。とりわけ、第3楽章のホルン福川さんのソロは秀逸で、ホール一杯に濁りのない音色が広がりました。第4楽章のアダージェットも美しく、お涙もの。パーヴォとN響のマーラー交響曲は1,2,3,4,7,8と聴いて来て、都度都度胸を一杯にしてきましたが、今回、胸いっぱいリストにさらに5番が追加。会場からのすさまじいブラボーと拍手が聴衆からの明確なフィードバックでした。
蛇足ですが、第1楽章途中で前列の方のチェロの弦が切れて、後列のチェロの方と楽器交換するアクシデントがありました。曲が進む中、後列の方は弦切れチェロを一生懸命新しい弦を張り直し。そして、前列と再度交換。ああいうことも演奏中に何気なくスパッとやってしまう楽員さんって、なんか職人ぽくって凄かった。(それに比べて、修理が気になって第一楽章の途中はあまり集中できなかった私は何と未熟な聴衆・・・)
第1919回 NHKホール 9/21(土)3:00pm
指揮│パーヴォ・ヤルヴィ
ソプラノ│ヴァレンティーナ・ファルカシュ
コンサートマスター(客演)│アンドレアス・ヤンケ
R. シュトラウス 歌劇「カプリッチョ」から 「最後の場」
マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調
C Program
conductor│Paavo Järvi│
soprano│Valentina Farcas
concertmaster (guest)│Andreas Janke
Richard Strauss “Capriccio,” opera Op. 85–Last Scene
Gustav Mahler Symphony No. 5 C-sharp Minor