9月N響定期は、私にとって秋のスタートの号砲。定演が始まると、やっと夏の余韻を脱し、日常のサイクルが廻り始める。
今シーズンも、N響シーズン初めの9月はA,B,C定期全てのパーヴォのコンサート。私はこれは常任指揮者として、とっても素晴らしいことだと思っている。今日のAプロはポーランド所縁の音楽で固めたとっても凝ったプログラム。(きっと)どれも私にとってはお初だが、意図を持ったプログラミングもパーヴォらしい。
どの曲も初めて聴くとは思えない程、楽しめたのだが、中でもジョシュア・ベルの独奏によるヴィエニャフスキ ヴァイオリン協奏曲 第2番は圧巻だった。ベルのヴァイオリンの音色は、自然体で伸び伸びとしており、体の中にすーっと浸み込んでくる。N響の個々のプレイヤーの音色も冴えていて、オケとのやりとりも刺激的だった。第3楽章の舞曲的な音楽も活気があって引き込まれた。当然のことながら、会場からは大きな拍手が寄せられたが、残念ながらアンコールは無し。もう少し聴きたかったな~。
最後のルトスワフスキ<管弦楽のための協奏曲>では、ステージいっぱいに広がる大編成のオケが有機的に一体となって、素晴らしい音楽を聴かせてくれた。所々にポーランド民謡っぽい旋律を含んだフレーズがあって、ポーランドとは何の縁のない私でも何となく懐かしような気になるところがある音楽だった。パーヴォはこういう複雑そうな音楽を束ねるのが本当に上手だと思う。バシッと最後〆て、ここでも大きな拍手が飛び交い、終演。
パーヴォとN響は今シーズンでもう5シーズン目となるとのこと。月日の経つのはなんと早いことか。今日の演奏会を聴く限り、このコンビで今シーズンも更なる飛躍が期待できそうだ。来週はマーラー5番。こちらも楽しみである。
2019年9月15日15時
NHKホール
出演:
パーヴォ・ヤルヴィ
ジョシュア・ベル
ポーランドプログラム
バツェヴッチ/弦楽オーケストラのための協奏曲
ヴィエニャフスキ/ヴァイオリン協奏曲 第2番
ルトスワフスキ/《小組曲》
ルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲