
行きたいと思いつつなかなか行けなかった『巨匠たちの英国水彩画展』にやっと足を運ぶことが出来ました。西洋絵画ではマイナーな「英国」に加えて、「水彩画」の展覧会ということでそれほど混んでないことを期待したのですが、身動きとれないという程ではありませんが、絵の前の人の流れが途切れない、なかなかの盛況ぶりでした。
英国マンチェスター大学ウィットワース美術館が所蔵する、ターナーなどの英国水彩画の作品が150点程展示されています。私の3年半ちょっとのロンドン生活では、結局マンチェスターを訪れることが無かったので、本展覧会はとても楽しみにしていたのですが、内容は期待に十分に応えてくれるものでした。
大きかったのは、150点の作品全体から、私自身がイギリス生活で感じたイギリスそのものの雰囲気が溢れていたことです。イギリスのイメージというのは人それぞれでしょうが、私のそれは、週末のウオーキングや旅行の中で、五感で感じた「静けさ」、「素朴さ」、「自然の豊かさ」なのですが、それらが水彩画と言うメディアを通じて、会場いっぱいに広がっていました。
イギリスを描いた風景画のかなりのところは私自身が訪れたところでしたし、イタリア、フランスと言った大陸の風景を描いた作品にも、イギリス人のまなざし、筆致、感性にかかると、大陸の画家が描くとは異なった素朴さや自然に対する敬意に溢れているような気がします。何かとっても懐かしい風景に出合った感覚です。
風景画以外にも、私が好きなラファエル前派のロセッティ、ミレイ、ハント、バーン=ジョーンズらの水彩画があったのも嬉しかったです。
通常の特別展覧会でよく見るルネッサンス期以降の油彩画と違って、肩こることなく、リラックスして、絵画鑑賞を楽しめる良い機会でした。今週末で終了ですが、まだの方には足を運ばれることをお勧めします。
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