その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

2011クリスマス イスタンブール旅行(その1)

2012-12-24 00:04:55 | 旅行 海外
(昨年の丁度今頃、クリスマスの休暇を利用してイスタンブルールを訪れました。1年遅れですが、その際の記録です)

 2011年12月24日

 8:50発のBA便でヒースロー・ターミナル5からイスタンブールへ。15:40にアタデュルク空港へ到着。地下鉄+路面電車で市街へ向かう。日没が16:40なので、もう廻りは薄暗い。人で一杯の路面電車の車内、車窓から見える薄暗い中にネオンが光る街なみなどの雰囲気は、それまでに訪れた欧州の街とは明らかに異なり、アジア的な雰囲気が満載。エキサイティングな旅の予感が一杯。結構寒くて、気温は間違いなく一ケタ台。ロンドンと変わらない。


<路面電車車内。夕方のせいか日本の通勤電車並みの混みよう>

 トルコはなんちゃってイスラムと言われるように、イスラムの戒律は緩いようだが、それでも車内の人の8割以上が男性だったり、服装も皆さん地味目で、イスラム国に来た実感を覚える。ホテルにチェックインして、空腹を埋めるためにホテル近くの大衆食堂へ。定番料理の豆のスープが美味しい。しかも安い。


<スープとピラフ。薄味で日本人好み>

 食事中、夕方のお祈りの時間なのか、町中に響き渡るような大音響のコーランの読経が、街のどこかに設置されているらしいスピーカーから流れてくる。なんちゃってイスラムでも、イスラムはイスラムなんだなあ~。欧州の街で聞こえる音と言えば教会の鐘だが、鐘の音が天国への響きとすれば、コーランの節は私には地上の人々の色んな思いが詰まった「念」の呻きに聞こえる。強烈な、非日常、異文化を感じた瞬間だった。 

 さあ、腹ごしらえもできたので、暗くなった街をさあ散策と、勇み歩き始めたところ5分も経たないうちに途上国の洗礼を受けた。

 ちょっと人通りの少なくなった道を歩いていたところ、5メートル強ぐらい前を歩いていたおじさんが靴磨きのブラシを落としたのが目に入った。おじさんは落としたことを気がついていそうにない。靴置きとか、靴墨、ワックスなどが入った道具箱が見えたので、既に何人も見かけた通りの靴磨き屋さんであることは簡単に分かった。商売道具のブラシを失くしたらさぞかし困るだろうと思って、ブラシを拾って、おじさんを追って、声をかけ、「落としましたよ」とブラシを渡してあげた。見たところ40歳ぐらいの靴磨きおじさんだったが、大いに感謝され、「これが失くしたら大変なことになった。本当にありがとう。お礼に貴方の靴を磨かせてくれ」と言ってきた(ように聞えた)。別に、靴を磨いてもらうほど汚れていないので、私は「それには及ばないよ。(No, thank you.)」と返事をしたのだが、その一言が終わらないうちの「あっ」という間に、男は有無を言わせず私の靴を磨き始めた。まあ、「Free」と言っていたから良いかと思って、磨かれるままにしていたら、「家には子供が3人いて皆お腹をすかせている。XXXという田舎から出てきたが、イスタンブールで生活するのは大変だ・・・」とかの苦労話を始める。「これは、怪しいなあ」と思ったが後の祭り。確かに靴はピカピカになったが、終わるや否や「10リラ(500円ぐらい)」と右手を出してきた。流石に「はい、ありがとう」というわけには行かないので、「こっちは頼んでない。勝手にお前が始めたんだろ」「だいたいフリーって言ったじゃないか」と大抗議。最初は「こんなに靴は綺麗になった」などと言っていた男も、段段と表情が険悪で凶暴なものに変わってきて、危ない雰囲気になってきた。私が立ち去ろうとしても、服を掴んで離さない。時たま車は通るが、人通りは殆どないし、周囲は暗く、土地勘のない場所でのやり取りはかなり緊張を伴った。結局、お人好しのお大尽日本人は100リラ払って金で解決と言う情けない結果となった。忘れかけていた途上国人の狡さとたくましさ。学生時代にアジア諸国のバックパック旅行で散々な目にあってきたので、十分手口は知っているつもりだったが、さすがに当時から時間も経ち、自分の感度が弱くなっていることを実感。舐めてると酷い目に遭うぞという、入国から3時間後の洗礼だった。

 傷心のまま、初日の行動予定であったトルコ名物ハマム(蒸し風呂)に行く。風呂に入るところまでの雰囲気は、脱衣所が個人別である点を除いては日本の温泉と似ていて、道後温泉に来たかと思ったぐらい。風呂内は蒸し風呂なので、巨大スチームサウナに入った感じ。東京の銭湯の大浴場より一回り大きいぐらいの広さの浴室の中央に、大きな暖かい大理石(岩盤浴の岩盤のイメージ)がある。そこに寝そべって、汗が段々とにじんでくるのを楽しむ。赤摺りを頼んだので、しばらくすると三助のおじさんが呼びに来た。相撲取りのような体格。石鹸を体中に乱暴に塗ったくられて、石綿タオルのようなものでゴシゴシやられる。すごい力なので痛い。サービスという感じではなくて、もうまさにイモ洗いの芋にでもなった気分。体が泡で埋まるかと思うぐらい、泡におおわれたところで、お湯を頭からぶっかけられる。所要時間は5分ぐらいだったろうか?あっという間に終わってしまった。ko優しく丁寧に全身を洗い流してくれるようなサービスを期待したもんだから、随分予想と違って、正直、満足度は低し。終わったら「チップ、よろしく」と微笑みかけてきた。こういうところだけは、調子いいんだよなあ。


<チェンべルリタッシュ・ハマムという観光客向けハマムとしては大手。1584年建造のたてものだそうです>

 
<広間>


<脱衣所>

 外に出ると温まった体に夜風が冷たく当たる。夜にライトアップされたモスクが美しい。でも、初日のイメージはブーである。
 


 ※チェンべルリタッシュ・ハマムのHPはこちら→

(つづく)

 
コメント
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