子供が夏休みの課題図書として購入していたものを手に取ってみました。私にとっては久しぶりの小説になります。
題名は「さぶ」ですが、物語はさぶと同い年で、ともに経師屋に住み込んでいた栄二を中心に進みます。無実の罪で捕らわれの身となった栄二が、寄場の試練の生活の中から愛、憎、友情について学び、精神的に成長していく物語です。
ひねくれオヤジになりつつある私には、このピュアな人格発達記は、ちょっとお説教くささが鼻につくところもありますが、良いお話であることは間違いありません。ストーリー展開が巧みで、終盤の展開も意外性を伴った仕掛けが仕組んであります。長く読み継がれている物語であるのもうなずけます。