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さて、2015年3月に長野県佐久市で男子中学生が飲酒運転の車にはねられて殺された事件で、「ひき逃げ」の罪に問われた被告の控訴審判決が東京高裁で行われ、有罪とした長野地裁の一審判決を覆し、無罪を言い渡しました。長野地裁の判決も実刑6ヶ月というなんともぬるいものに感じますが、それすら認めず無罪にするという法家の感覚は、なんとも理解し難いものがあります。一応事故を起こした点については執行猶予付きの有罪判決が出ていて、今回争われているのは、犯人が事故を起こしたあと、すぐに被害者の中学生を助けようとせず、また救急や警察にも連絡しようとせず、まず自身の飲酒運転をもみ消すためにコンビニまで言って口臭消臭剤を購入し使用、その後現場に戻った点が、救護義務違反、すなわち「ひき逃げ」ではないかと検察は主張したわけです。これに対し被告側はすぐに戻って救護したと主張し、ひき逃げには当たらないと抗弁していましたが、今回高等裁判所はその主張を入れて、無罪としたわけです。
田村裁判長は「被告がコンビニで口臭防止剤を買って戻るまでの時間は1分余りで、すぐに救護している」「飲酒運転の発覚を免れようとする意志と救護しようとする意志は両立する」としたそうですが、そんな時間が問題になるような話なんでしょうか? 直ちに救護に入らず一旦立ち去ったのなら、それはもうひき逃げ以外の何物でもないでしょうに。
もちろん、一時的にどうしても現場を去らざるを得なかったという場合もひょっとしたらあるのかもしれません。ブレーキが故障して停止できなかったとか、車が爆発寸前で一旦現場を離れないと現場周辺で被害が拡大する恐れがあったとか、およそ荒唐無稽な想像しか出来なさそうですが、可能性だけを論じるならいくつか合理的な立ち去り理由も考えられるでしょう。しかしこの犯人がやったのは、飲酒運転をごまかすという犯罪行為で、そのような情状酌量が認められるものとは到底言えません。これを認めるということは、もはや東京高裁は飲酒運転をもみ消す行為は罪ではないと主張されているようです。もし糾弾されるようなことがあれば、そんなつもりは毛頭ないと主張されるでしょうが、法家の度し難いのは、それとこれとは話が別と本気で思っているところで、その判決で飲酒運転の撲滅などと行った社会正義がどうなろうが知ったことではないところです。検察は最高裁への上告を検討されているそうですが、東京高裁の木で鼻をくくることしか出来ない頑迷な判決がきちんと覆されることを期待したいです。