以前から訪れたいと願うも日曜が定休のため、その都度機会を逃す。
そんな先週末に福井への出張があり、ここぞとばかり暖簾を潜る。
福井の中心市街地に建つ「旬味 泰平」。格子戸を潜ると雛飾りがお出迎え。
使い込まれた日本建築。土間を歩き左手の階段箪笥に目を奪われつつも右奥の座敷へ上がる。
座敷からは山法師が植えられた中庭を眺めることが出来、雨も手伝い敷き詰められた那智石も綺麗に輝く。
人を遠ざける意味で置かれた石は「結界」を示すも飾られた花は人を引き寄せ、何とも粋な
空間にも感じる。。。
そんな空間で頂くランチは「日替わり定食¥900円」(かまど炊きのご飯に鯖の煮付け)
食事をしながら店のご主人と話す機会にも恵まれ、色々とお話しをうかがう。
福井は大きな震災が昭和23年(1948年)にあったため中心市街地に、これだけの日本建築が
残っていることが不思議に思い尋ねてみると、震災後の昭和28年築とのこと。
59年という月日を繰り返される四季ともども生きてきた空間はこれからは白い可憐な花に飾られ
やがて緑燃えゆ葉が生い茂る頃、今では珍しい「油団(ゆとん)」が敷かれ障子も夏障子に入換えられた
座敷から眺められることとなる。
「油団」について、実は座ったどころか触れたことすらない土花吉。夏、再び訪れる楽しみを
貰い、昭和の明かりが灯る店を後にする。。。