東京シティ・フィルの1月定期は、児玉宏を指揮者に迎えて、次のようなプログラムが組まれた。
(1)ウォルトン:バレエ組曲「賢い乙女たち」
(2)ピルナイ:ドイツ流行歌の愉快な遊び
(3)プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」
1曲目のウォルトンの作品は、私は初めてきく。2曲目にいたっては、作曲者の名前すら知らなかった。今の日本でこういうプログラムを組むのは児玉宏くらいだ。
ウォルトンの作品は、バッハのカンタータのアリアや合唱曲などを編曲したもの。おそらくだれもが知っているFM番組のテーマ音楽も出てくる。その曲名を書いてもよいのだが、初めてきく人の楽しみのために、あえて伏せておこう。演奏は恰幅のよい音で堂々としたバッハを鳴らしていた。
この日の白眉は、次のピルナイの曲。1945年作曲とのことだが、当時の流行歌をもとに11の変奏曲に仕上げている。その変奏曲が傑作で、さまざまな作曲家の作品を模している。私はときどきクスクスと笑ってしまった。しかもプログラムの解説がふるっていて、クイズ形式になっている。これには感心した。参考までに、どのようなものか、最初のいくつかを紹介してみよう。解答は選択式。
第1変奏曲:( )ヘンデル風 ( )バッハ風 ( )テレマン風
第2変奏曲:( )ハイドン風 ( )サリエリ風 ( )モーツァルト風
第3変奏曲:( )シューベルト風 ( )シューマン風 ( )ブラームス風
(以下略)
なお、出題?は、舩木篤也さんだ。
最後のプロコフィエフの曲は、先週、ラザレフ&日本フィルできいたばかりだが、それとはまったくちがう演奏スタイル。ラザレフ&日本フィルは流動的な線の絡み合いだったが、こちらはブロックを一つずつ積み上げていくような感があった。
児玉宏は、長らくドイツの歌劇場で活動してきた指揮者で、そのキャリアのとおり、重厚で押し出しの強い演奏をする。今の時代には珍しい個性派指揮者だ。朝比奈隆、飯守泰次郎につらなる指揮者の系譜を形成するが、嬉しいことには、特定のレパートリーを繰り返すタイプではない。
どうやら、時代とは、一色に染まりそうでいて、案外そうでもないらしい。
(2009.01.21.東京オペラシティ・コンサートホール)
(1)ウォルトン:バレエ組曲「賢い乙女たち」
(2)ピルナイ:ドイツ流行歌の愉快な遊び
(3)プロコフィエフ:交響曲第7番「青春」
1曲目のウォルトンの作品は、私は初めてきく。2曲目にいたっては、作曲者の名前すら知らなかった。今の日本でこういうプログラムを組むのは児玉宏くらいだ。
ウォルトンの作品は、バッハのカンタータのアリアや合唱曲などを編曲したもの。おそらくだれもが知っているFM番組のテーマ音楽も出てくる。その曲名を書いてもよいのだが、初めてきく人の楽しみのために、あえて伏せておこう。演奏は恰幅のよい音で堂々としたバッハを鳴らしていた。
この日の白眉は、次のピルナイの曲。1945年作曲とのことだが、当時の流行歌をもとに11の変奏曲に仕上げている。その変奏曲が傑作で、さまざまな作曲家の作品を模している。私はときどきクスクスと笑ってしまった。しかもプログラムの解説がふるっていて、クイズ形式になっている。これには感心した。参考までに、どのようなものか、最初のいくつかを紹介してみよう。解答は選択式。
第1変奏曲:( )ヘンデル風 ( )バッハ風 ( )テレマン風
第2変奏曲:( )ハイドン風 ( )サリエリ風 ( )モーツァルト風
第3変奏曲:( )シューベルト風 ( )シューマン風 ( )ブラームス風
(以下略)
なお、出題?は、舩木篤也さんだ。
最後のプロコフィエフの曲は、先週、ラザレフ&日本フィルできいたばかりだが、それとはまったくちがう演奏スタイル。ラザレフ&日本フィルは流動的な線の絡み合いだったが、こちらはブロックを一つずつ積み上げていくような感があった。
児玉宏は、長らくドイツの歌劇場で活動してきた指揮者で、そのキャリアのとおり、重厚で押し出しの強い演奏をする。今の時代には珍しい個性派指揮者だ。朝比奈隆、飯守泰次郎につらなる指揮者の系譜を形成するが、嬉しいことには、特定のレパートリーを繰り返すタイプではない。
どうやら、時代とは、一色に染まりそうでいて、案外そうでもないらしい。
(2009.01.21.東京オペラシティ・コンサートホール)