Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

日本フィル定期

2008年10月28日 | 音楽
 先週は日本フィルの定期があった。その翌日には「騎士オルランド」があり、記録はそちらのほうが先行してしまったが、日本フィルも印象に残っているので、かいておきたい。
 指揮は尾高忠明で、プログラムは次のとおりだった。
(1)モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
(2)三善晃:交響三章
(3)ラフマニノフ:交響曲第3番

 モーツァルトのハフナーは流れのよい演奏で、このオーケストラが時々きかせる大雑把さが影を潜めていた。これはすでにベテランの域にたっした尾高忠明の力だろう。思い返すと、私はこの指揮者がN響の指揮研究員をつとめていた時代からきいている。つまり、20代の若手のときから60代に入った今に至るまで継続的にきいているのだ。今はほんとうに信頼に足るいい指揮者になった。それが私には嬉しい。

 三善晃の交響三章は、この作曲家の若き日を代表する作品だが、私は初めてきいた。今まではどういうわけか、きく機会を得なかった。全篇にわたって変拍子が続き、当時20代だった作曲家の意欲がみなぎっている。私には何よりも、この作品が今でも少しも古びていないことが驚きだった。曲としての仕上げのよさの故だろう。

 ラフマニノフの交響曲第3番は、出だしはオーケストラに余裕がなくて驚いたが、第1楽章の後半からほぐれてきて、第2楽章冒頭のメランコリックなテーマでは気持ちがよくのっていた。第3楽章では残念ながら一部に粗さを感じた。翌日の演奏では改善されていたことを願う。
 私はこの交響曲をきくと、いつも、作曲の冴えを感じる。この曲と、ピアノとオーケストラのための「パガニーニの主題による狂詩曲」と、オーケストラのための「交響的舞曲」は、いずれもラフマニノフがアメリカに渡ってからかいた曲だ。3曲とも作曲の冴えが際立っている。
 20世紀は、さまざまな事情で、多くの作曲家がヨーロッパからアメリカに渡った。アメリカに渡ってからの人生もさまざまだ。ファシズムを嫌ってアメリカに渡ったバルトークが、そのもっとも悲劇的な例だとすれば、ロシア革命を避けたラフマニノフは成功例だ。ピアニストとしての成功が大きいが、作曲にかんしても新境地をひらいた。
(2008.10.24.サントリーホール)

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