平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第4・5回

2007年02月05日 | 大河ドラマ・時代劇
 武田への復讐に燃える山本勘助(内野聖陽)。
 今川に内乱を起こし、内通している福島越前守(テリー伊藤)を助けにきた武田信虎(仲代達矢)を倒す。
 だが、梅岳承芳(後の今川義元/谷原章介)とその軍師・雪斎(伊武雅刀)の方が一枚上手。
 信虎は彼らの策に乗り福島を見捨て、勘助の策は空振りに終わる。
 以上が第5回「駿河大乱」の大きな流れ。

 全体の感想としては、ドラマとしてあまりのめり込めない。
 歴史の事象としては権謀術策で面白いのかもしれないがドラマがない。

 前面に出して描くべきは勘助の復讐の気持ち。
 しかし、それが策によって成し遂げようとされているため直接伝わって来ない。
 おまけに兄・山本貞久(光石研)との絡みが出て来て、テーマが兄と弟、別の方向に行ってしまった。
 それでもいいのだが、兄と弟の関係が回想でしか描かれていないからふたりの悲劇があまり伝わって来ない。
 貞久はなぜ勘助が反・福島に与しているのかわかっていない。復讐のためだとわかっていたら、勘助との最期のやりとりはもっと別のものになっていたはず。
 また、視聴者はなぜ貞久が福島にこだわって味方するのかわかっていない。こだわって腹まで切るのかが伝わって来ない。
 劇中、勘助を逃がしたことを告白する貞久を許す福島の描写があり、そこで福島の人間性と貞久の主君への信頼が垣間見えるが、それ以上の描写がない。

 この作品、各人物の描き込みが足りない気がする。
 もっと焦点を絞って描かれるべきであって、今回は後に関わってくるであろう義元と雪斎にしてやられて悔しがる勘助をもっと描くべきだった。
 そうすれば勘助と雪斎のライバルの図式が見えてくる。
 義元がもっと名君として描かれれば、信玄との図式が面白くなる。

 その点、第4回「復讐の鬼」の勘助と晴信(市川亀治郎)のやりとりは面白かった。
 勘助の復讐心を見抜き、大望を持たなければ、復讐心だけでは武田家は倒せないと諭す晴信。
 あの浪人なにをしてくるかと楽しみにしている晴信。
 そして何を若造がと反発する勘助。
 いずれも人物としてキャラが立っていた。
 ミツを殺された伝助らを家臣に取り立てる板垣信方(千葉真一)の人情もいい。

 やはりドラマは人の心を掘り下げて見せなければならない。
 『明智光秀が本能寺で織田信長を殺しました』ではドラマにならない。
 そこに信長の狂気や光秀の保守性、はたまた帰蝶への想いなどが描かれているからドラマになる。

 この作品「風林火山」、今川・北条など周囲の状況説明はいいから、早く勘助・晴信VS信虎の対立図式でドラマを展開してほしいと思う。

コメント
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