平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

和田アキ子殺人事件

2007年02月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 最後のテロップ「この作品は半分フィクションであり、半分ノンフィクションです」にこの作品のすべてがある。
 昔の言葉で言えば「虚実皮膜」。
 様々なタレントが本人を演じているところが事実。
 和田アキ子が殺されるところが嘘。刑事捜査が嘘。
 その嘘と本当が行き交うところを視聴者は愉しむ。

 例えば細木数子に聞き込みに行く刑事・島袋(上田晋也)。
 島袋は細木に突っ込まれて、上田晋也になる。

 明石家さんまに聞き込みに行く島袋。
 女性のことで聞き込みに来たのではないかと逃げるさんま。
 犯人は島田紳介だと証言。理由は「リーブ21」のCMをひとりでやりたいから。
 そろそろ切り上げようすると、「これだけで終わり?」と寂しそうな顔をする。
 おそらくこのパートはすべてアドリブだろうが、テレビで我々が見ている「明石家さんま」が演じられている。

 嘘と本当が入り交じっているから生まれる面白さ。
 豪華キャストが生み出す華やかさ。垣間見える芸能界。
 また本人が本人を演じているから、その人物のキャラクターをいちいち説明しなくていい。細木数子の人となりを視聴者は知っているのだから。

 犯人は毎日TBSに来ている人物。
 タレント用出入口を使用している人物。
 言い間違いがきっかけとなって嘘がばれ、犯人だと認めることになるが、推理ドラマとしては甘い。
 まあ作品の趣旨は「推理ドラマ」でなく「バラエティ・ドラマ」だから、何らかのオチがつけばいいのだが。
 犯行の動機は面白い。
「これがタレントというものなんです」と犯人は言っていたが、その人物ならではの動機、その人物に根ざした動機というのがいい。
 これは今後「推理ドラマ」が学ぶべき点。推理ドラマではありきたりなものが多すぎる。

 さて容疑者として登場したタモリとたけし。
 明石家さんまや他のタレントとは対照的だ。
 ふたりとも自分を見せない。
 タモリはサングラスの下に自分を隠している。
「和田アキ子さんとの関係は?」と聞かれて少し戸惑った様子。やっと「友人です」と言う言葉をひねりだした。実際にそうなのだろうが、ストレートに「友人です」と口に出すのが照れくさいのだろう。
 たけしはギャグの連発でごまかしている。
 ふたりとも大変シャイだ。
 そんなタレントたちの素顔がうかがえるのも、こういった作品の楽しみであろう。

コメント
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