平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

東京タワー 第5回

2007年02月06日 | ホームドラマ
 気丈な母が弱さを見せる時、ドラマになる。

 ハワイアンセンターのハワイ旅行。
 癌の不安、家を立ち退かなければならない不安、指輪で象徴される別れた夫への未練……。
 そんな思いを抱えながらオカン(倍賞美津子)は明るく振る舞う。
 病院ではギャンブル、ハワイアンセンターではフラダンスにプールで大はしゃぎ。
 その間、指輪や首の傷などを見せ、オカンの心情をチラリと見せる手法は見事。
 そしてラスト。
 中川雅也(速水もこみち)は「東京でいっしょに住もう」と言う。
 ここがオカンが弱さを見せるシーン。
 「いっしょに住んでいいんね?」
 いつもなら何をバカなことを言ってと断るところ、オカンはその申し出を喜ぶ。
 オカンは自分の死期が近いことを感じているのだろう。
 だから大好きなマーくんといっしょにいたいと思った。
 せりふでは描かれないが、そんなことを想像させる。
 そして今まで気丈な女性として描かれていたから、そうやって見せる弱さが涙を誘う。

 その他ではこんなシーンが印象的。
 ハワイアンセンターでいっしょの部屋に寝る雅也とオカン。
 同じご飯を食べて、いっしょの部屋に帰ってきて、隣り合って寝る。
 子供の時には日常茶飯事だった行為が母にしてみれば今は貴重なこと。
 すごい思い出。(オカンは「この旅行のことは一生忘れられない」と言う)
 人の幸せとはこんなことだと教えてくれる。
 ハワイに行くことが幸せではない。
 お金持ちになることが幸せではない。
 こんな何気ないことが貴重で幸せなことなのだ。
 我々はそんな貴重なことを何と無造作に過ごしていることか。
 仕方ないのだが。

 この作品「東京タワー」はベタでストレートなのだが、我々が忘れてしまっている大事なことを様々な形で教えてくれる。

 あとは佐々木まなみ役の香椎由宇さん。
 「ローレライ」や「マイ★ボス」の時には感じなかったが、神秘的な美しさ。
 これで二十歳。
 将来が楽しみだ。


★追記
 記事としてかけなかったので第3話「祖母の最期」、第4話「病の宣告」について。
 第3話では10円玉の使い方がよかった。
 祖母は雅也が子供の頃、ギザギザの10円玉を与えて喜んだことを覚えている。
 祖母はその記憶が忘れられなくて、10円玉を箱いっぱいに。
 娘(オカン)のために500円ずつでも貯金している通帳にも泣けた。
 教訓としては「自由には覚悟がいる」ということ。
 完全な自由は人を安きに流す。
 大学を卒業した雅也がそう。志を忘れ麻雀三昧。
 結果、下宿を追い出され路上生活。
 旅立つ時にオカンからもらった1万円、それは雅也が最後の一線として手をつけずにいたものだったが、パチンコに使ってしまう。
 大学の友人からは恥も外聞もなく差し出されたお金をふんだくる。
 自分の夢を持ち何にも縛られない生活を送るのもいいが、そこにはどうしても夢を実現するんだという強い意思と覚悟がいる。

 第4話は2プロット。
 「雑誌にイラストを書かせてもらう雅也」と「癌を宣告されるオカン」。
 雅也は一度NGを出されるが踏ん張って雑誌に自分のイラストを載せる。
 そしてまなみとの関係も良好に。
 わずかだが、プラスに前進してきた雅也。
 それに対照的なオカンの癌宣告。
 プラスのプロットとマイナスのプロットが同時進行する。
 このプラスとマイナスが同時進行する所が素晴らしい。
 病気のつらさとマーくんの成功への喜びが相乗効果で伝わってくる。

コメント
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